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【資産総額1億円超】「私はまだ生きている!」がんを患う90代母、絶叫…70代~60代の4人の子どもの財産争いに「もういい、解散!」→その後のあんまりな顛末

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月1日 11時45分

【資産総額1億円超】「私はまだ生きている!」がんを患う90代母、絶叫…70代~60代の4人の子どもの財産争いに「もういい、解散!」→その後のあんまりな顛末

(※写真はイメージです/PIXTA)

広い邸宅に暮らす90代の母親はがんを患っており、70代~60代の子どもたちも真剣に相続を考えるタイミングとなりました。しかし、母親の希望と子どもたちの考えが合わず、話し合いの席は大混乱に…。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、事例をもとに解説します。

父の遺産を相続し、ひとり暮らしを続ける90代の母

今回の相談者は60代の佐藤さんです。がんのため余命宣告を受けている90代の母親の相続対策について相談したいということで、筆者のもとに訪れました。

「母は10年前に父を亡くしてから、自宅でひとり暮らしを続けています。ここ数年、がんを患っているのですが、年齢が年齢なので、積極的な治療はしていませんが、いよいよ余命宣告を受けてしまいました。とはいえ、現状ではなんとかヘルパーさんの手を借りて、ひとり暮らしが成立している状態です」

「亡くなった父は公正証書遺言を準備しており、母親が全財産を相続しましたが、そのときも正直、揉めまして…」

佐藤さんは4人きょうだいの末っ子で、家族構成は下記のとおりです。

母親…90代、ひとり暮らし

長男…70代、既婚、自宅あり

長女…70代、既婚、自宅あり

二女…60代、既婚、自宅あり

二男…60代、独身、賃貸住まい(相談者)

父親の財産は自宅と預金で合計約1億5,000万円でしたが、相続時には配偶者の特例を活用して相続税の納税は不要となりました。母親は父親が亡くなったあとも、預貯金と年金で不自由のない生活を送っています。

200坪の敷地に建つ、築古の鉄筋コンクリート住宅をどうするか

「父の相続では、遺言書のお陰で問題なく手続きは完了したのですが、2人の姉が遺産を巡って激しい主張を繰り返し、母と大げんかになりました」

長男と佐藤さんがなんとかなだめたものの、このままでは、母親が亡くなったときが思いやられると、佐藤さんはうなだれます。

母親の財産構成は自宅不動産に大きく偏っており、また、自宅は形状から均等な分割が難しく、また現状では、こちらから母親に遺言書の準備を頼める雰囲気ではないといいます。

母親が暮らす実家は敷地200坪の豪邸ですが、敷地に接する道路は一方向のみです。しかも、鉄筋コンクリートの2階建ての建物は敷地のちょうど中心に位置しています。建物は築50年を超え、今後は高額な修繕費が必要になると思われます。

現状の金融資産の残高は不明であり、このまま成り行きで相続を迎えると、問題が噴出する可能性があります。

自宅の独り占めは困る」と兄が…

佐藤さんの母親は自宅不動産に愛着をもっており、売却を嫌がっています。

「兄と姉は全員自宅を保有していますが、私は実家近くの賃貸暮らしです。また、母親のサポートに関わっているのはほとんど私です。母からは〈あなたが継いでくれればねぇ…〉といわれているのですが…」

そして先日、母親は佐藤さんと兄の2人を自宅に呼び出しました。

「母は兄と私だけ呼び出し、相続について〈不動産は二男に継がせたい〉という、母なりの考えを話しました。兄はその場では黙って聞いていましたが、帰りの車のなかで〈母親の面倒を見てくれるのはありがたいが、不動産の独り占めは困る〉といわれてしまいまして…。それに、姉2人にこの話がもれたら、大変なことになりそうです」

目指す着地は「不満の出にくい分割・不動産の有効活用」の両立

佐藤さんの悩みに、提携先の税理士は次のような提案を行いました。

①小規模宅地の特例が適用できるのは330m2までなので、敷地のおよそ半分に自宅を建て替え、それを佐藤さんが相続する。自宅の奥に戸建ての貸家を3棟建て、それを長男・長女・二女が相続する。

②敷地の半分に自宅を建て替え、佐藤さんが相続する。それ以外の部分は売却して、長男・長女・二女でお金を分ける。

③全部を売却し、自宅と区分マンションに買い替え、きょうだい全員で分ける。

佐藤さんはこの3つの案について、母親ときょうだいとともに検討することにしました。

いずれにしろ現状維持では問題が多く、建て替え・買い替えのいずれかが選択肢となるといえます。そのうえで分割を検討し、遺言書を作成することになります。

せっかくの話し合いが…長女・二女のふるまいに母親、激怒

それからしばらくして、疲弊しきった佐藤さんが事務所を訪れました。

「…結局、相続発生後に売却して4分割することになりました」

家族会議の席で、母親が「本当は、二男に自宅を継がせるのが理想なのだけれど…」と前置きをしただけで、長女と二女がヒートアップし、話の継続が不可能に。佐藤さんと兄が必死でその場を収めようとしましたが、どんどん声が大きくなり、収拾がつきません。そのうちなぜか長女と二女がつかみ合いを始め、大混乱になってしまいました。

「お母さんはまだ生きる! あんたたち、一体なんなの!?」

「もういい、もう結構! 解散!!」

母親は病気を抱える90代とは思えない大声で叫び、話し合いは強制終了となりました。

「翌日、私ひとりだけ母に呼び出されました。母がいうには、自宅は売却して4分割、預金は少し多く私に相続させる内容で、遺言書を準備するそうです…」

「不動産1つ、相続人複数」は、最も分割がむずかしいパターン

佐藤さんの母親のような資産構成は、遺産分割がむずかしくなる典型例です。今回の場合、自宅を建て替えるなどして分割しやすい状態にするのが基本となります。また、一部を収益物件にして収益を得る筋道をつけることで、土地の有効活用ができるようになります。もちろんその場合も、遺言書の準備は必須です。

親が健在のうちに分割しやすい財産に替えるなどしておかないと、のちのち相続人から不満が噴出ことになるため、要注意なのです。

※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

曽根 惠子 株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

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