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押し潰されて死ぬなんてイヤだ「年金13万円」77歳のおひとり様女性、「耐震不安のマンション」を出ていけず、怯えて生きる絶望の老後

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月29日 9時45分

押し潰されて死ぬなんてイヤだ「年金13万円」77歳のおひとり様女性、「耐震不安のマンション」を出ていけず、怯えて生きる絶望の老後

(※写真はイメージです/PIXTA)

5年に1度行われる『マンション総合調査』。管理組合や入居者(区分所有者)の現況が分かる調査ですが、そこから見えてきたのは、「引っ越したくても引っ越せない」と取り残された高齢者の姿でした。みていきましょう。

マンションで進む高齢化…4人に1人は70歳以上

国土交通省『令和5年度マンション総合調査』によると、マンション居住者の年齢は、60代が28%、70歳以上が26%。一方、2023年の人口推計によると、同年10月1日時点、60代人口は1,484万人、70歳以上人口は2,889万人。総人口に占める割合は、60代が12%、70歳以上が23%です。マンション居住者の高齢化が、経年でみても2023年単体でも、見てとることができます。

【マンション居住者の年齢分布】

●2003年

~20代:1.2%、30~50代:67.0%、60代:21.5%、70代以上:10.2%

●2008年

~20代:0.8%、30~50代:58.9%、60代:26.4%、70代以上:13.0%

●2013年

~20代:0.2%、30~50代:49.3%、60代:27.0%、70代以上:18.9%

●2018年

~20代:0.5%、30~50代:49.8%、60代:27.0%、70代以上:22.2%

●2023年

~20代:0.3%、30~50代:45.3%、60代:27.8%、70代以上:25.9%

また築年数が古いマンションほど70歳以上の居住者割合は高くなり、1984年以前のマンションでは70代以上が55.9%と半数以上を占めています。

マンション居住者の高齢化は、永住志向が高いこともひとつの要因。調査で「永住するつもり」と回答したのは60.4%。対し、「いずれは住み替えるつもり」17.7%を大きく上回りました。ただ永住志向は年齢が高い人ほど高く、30代では38.8%、40代で45.3%と4割前後だったのが、60代では65.9%、70代で75.2%に達します。

一生に一度、最も高い買い物といわれるマイホーム。さらに長年暮らしてきた愛着もあるでしょう。

――できることなら、死ぬまでここにいたい

――愛着あるこの家で最期を迎えたい

そう考えるようになるのも当然のこと。ただすべての人がそういうわけではなく、「引っ越したくても引っ越せない」という人も多いようです。

耐震性がないと判断も「お金は出せない」と反対多数

1970年代に建てられた、築50年近い都内マンションで暮らす77歳の女性も「引っ越したくても引っ越せない」というひとり。亡くなった夫が必死に働いてローンを返済。慎ましく老後を過ごしてきたマンションは、家族との思い出もたくさん詰まった愛着のある住まいです。

――最期までここで暮らしたいと思っていましたよ、つい最近までは

心変わりのきっかけは、旧耐震マンションの耐震診断。東日本大震災のあと、建物の耐震性が叫ばれるなか、女性の住むマンションでは耐震診断を実施したとか。その結果、「耐震性がない」と判断されたといいます。

――直すこともできないなら、診断をしないほうが良かったのに

耐震改修の実施に向けての機運は、もちろんありました。もし大地震が起きたら、住んでいるマンションは崩れてしまうかもしれないのですから……しかし、問題はその費用。一部の入居者から反対意見があがり、話がまとまらなかったというのです。

女性も月13万円の年金で暮らすなか、プラスαのお金がかかるのはかなり痛いとのこと。先の生活を考えると、貯蓄も心許ない……。

――このマンションに住んでいるのはお年寄りばかり。直したところでその先、何年住めるか分からないので、余計にお金を払いたくない、という思いも、分からなくはないんだけど

明日にでも来るかもしれないといわれる首都直下地震。本当に来たとしたら、このマンションは耐えられないと烙印を押されたようなものです。

――押し潰されて死ぬのは痛いだろうに……ほんとイヤ

結局、耐震改修工事は棚上げ状態で今に至る女性が住むマンション。女性は住み替えも検討したといいますが、引っ越し費用などを考えると断念せざるを得ないという結論に。

――終の棲家として考えていたマイホームが、こんなことになるなんて

いつか来る地震に怯える毎日に、絶望感を覚えると女性は嘆きます。

前出のマンション調査によると、旧耐震マンションの耐震診断を行ったマンションは31.6%。診断を行った結果、4分の1のマンションが「耐震性がない」と判断されました。これらのマンション、45.8%は耐震改修を行い、また29.2%は今後実施する予定だといいます。残る25%のマンションは「実施する予定はない」と回答しています。

マンションによって事情はさまざまですが、多くの人がそれぞれの意見をもつマンション。防災を考えるならすぐにでも工事をすべきですが、入居者の意見がまとまらず進まない例は珍しくありません。

遅々として進まない、マンションの耐震工事。そこには引っ越したくても引っ越せない、取り残された高齢者の存在があります。

[参照]

国土交通省『令和5年度マンション総合調査』

総務省統計局『人口推計の概要、推計結果等』

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