年金月20万円・65歳の元勝ち組サラリーマン、元同僚と生涯年収3,000万円の差も「なぜ、お前のほうが年金が多いんだ!」と嫉妬のワケ
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月29日 12時45分
![年金月20万円・65歳の元勝ち組サラリーマン、元同僚と生涯年収3,000万円の差も「なぜ、お前のほうが年金が多いんだ!」と嫉妬のワケ](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goldonline/goldonline_61589_0-small.jpg)
(※写真はイメージです/PIXTA)
同じタイミングで大学を卒業し、同じタイミングで就職。スタートラインは同じでも、その後、勝ち組とは大きな給与差が生じます。しかし、定年後に手にする年金では、それほど大きな差がなかったり、逆に勝ち組のほうが少なかったりということも。勝ち組との逆転現象、その理由をみていきましょう。
「平均的なサラリーマン」と「出世街道をゆく勝ち組」…給与に生じた大きな格差
人と比べるものではないといいつつも、やはり気になる他人の給与。
厚生労働省の調査によると、大卒サラリーマン(平均年齢42.6歳)の平均給与は、月収で40.8万円、賞与も含めた年収は673.6万円です。
共に大手企業(従業員1,000人以上企業)に就職した2人の大学生。ひとりは平均的なサラリーマン人生を歩んでいきます。20代前半の給与は月収で24.7万円、年収で370.3万円ほど。月収は手取りにすると20万円を切るくらいでしたが、年齢があがるにつれて収入は上昇し、60歳定年前の50代後半では、月収58.3万円、年収は1,000万円の大台に。華々しくフィナーレを迎えます。
【年齢別「大卒×大企業勤務」サラリーマンの給与】
20~24歳:24.75万円/370.3万円
25~29歳:29.22万円/518.22万円
30~34歳:35.31万円/626.58万円
35~39歳:41.45万円/753.49万円
40~44歳:46.7万円/810.02万円
45~49歳:50.81万円/882.23万円
50~54歳:56.87万円/988.86万円
55~59歳:58.34万円/1009.77万円
※数値左より月収/年収
大卒でさらに大企業勤務というだけでも、世にいう勝ち組ですが、もうひとりは、さらに出世街道を順調に歩んでいったという正真正銘の勝ち組。44歳で係長に昇進、47歳で課長に昇進、そして52歳で部長に昇進します。部長での月収は77.7万円、年収は1,318.5万円。同期との差は、月収で20万円、年収で300万円に。
――やっぱりお前はすごいなぁ
“同期の星”として、おだてられることも多い勝ち組サラリーマン。60歳定年までエリートコースを歩んで、ゴールテープを切ります。
スタートラインは同じでも、キャリアに大きく差がついてしまう……それがサラリーマンです。
大きな給与差でも年金受取額は変わらず…さらに「勝ち組のほうが少ない」逆転現象も
同じスタートラインに関わらず、かたや終始アベレージで終わったサラリーマン、かたやエリートコースを歩んだサラリーマン。生涯年収は3,000万円ほどになります。
給与に大きな差が生じた、2人のサラリーマン。65歳から受け取ることのできる年金でも大きな差が生じる……と思ったら、そうでもありません。
――えっ、あいつと年金が同じ受取額って……何かの間違いでは?
老齢厚生年金の計算のもとになる平均標準報酬月額は収入によって32等級に区分されますが、世間的にはどちらも勝ち組というふたり。どちらも平均標準報酬月額は32等級となり、65歳から受け取る年金額は、併給の老齢基礎年金と合わせて月20万円ほど。そこに差はありません。
さらに場合によっては、
――えっ、何でお前のほうが年金が多いんだよ!
勝ち組のプライド崩壊……同じタイミングで年金をもらうのにも関わらず、年金額に差が生じる要因とは……家族構成や学生のころの保険料の納付状況によって、年金額に差が生じる可能性があります。
1)加給年金
厚生年金保険の被保険者期間が20年以上あり、さらに65歳到達時点で、その人に生計を維持されている65歳未満の配偶者や18歳までの子どもがいる場合、加給年金がプラスされます。加給年金額は、配偶者で年間23万4,800円。1~2人目の子は年間各234,800円、3人目以降は各78,300円。65歳で18歳までの子どもがいるケースはあまりないかもしれませんが、「妻が年下の専業主婦」というケースは多いのではないでしょうか。その場合、月2万円弱の差が生じます。
2)国民年金保険料の学生納付特例制度
日本国内に住むすべての人は20歳を迎えたら国民年金保険料を払わないといけません。国民年金保険料は令和6年4月から月額1万6,980円。ただ学生によっては、「月々1.6万円は厳しい……」というケースも。そのような時に検討したいのが、学生納付特例制度です。これは申請により在学中の保険料の納付が猶予されるもの。10年以内であれば保険料をさかのぼって追納することもできます。ただ追納せずにそのままだと、その分、老齢基礎年金の受給額に差が生じます。
令和6年度、老齢基礎年金の満額は81万6,000円。仮に3年間、保険料の猶予を受けて、追納をしていなかったら、年間6万1,200円、1ヵ月あたり5,000円強の差が生じる計算です。
思わぬところで差がつく老齢年金。制度を知っていれば、年金の減額を防げることも。「何であいつのほうが年金が多いんだ!」なんてことにならないようにしたいものです。
[参照]
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