退職代行サービスなんか使わなければ…GW明けに広告代理店を辞めた社会人1年目女性の「衝撃の現在」【FPの助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月7日 11時45分
![退職代行サービスなんか使わなければ…GW明けに広告代理店を辞めた社会人1年目女性の「衝撃の現在」【FPの助言】](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goldonline/goldonline_61618_0-small.jpg)
(※写真はイメージです/PIXTA)
ここ最近、大きな話題を呼んでいる「退職代行サービス」。さまざまな事情で退職をいいだせない人の味方となり、利用者数も急増しています。しかし、後に後悔したというケースもあるようで……。本記事では、Sさんの事例とともに退職代行サービスの落とし穴について、社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏が解説します。
夢と希望を胸に就職も…
Sさんは大学でデザインを専攻し卒業後、念願叶って広告代理店にデザイナーとして就職しました。希望の職業に就職できたものの、慣れないことばかりで入社後1週間ころから、毎日残業続き、自宅に戻ってからも仕事をする毎日となりました。
「早く仕事を覚えなくっちゃ。慣れれば土日に休むこともできる!」と責任感が強いSさんはいわゆるサービス残業をしながら1ヵ月が経ち、世間ではゴールデンウィーク(GW)に突入。学生時代の友人から、近況報告がてらみんなで集まろうと誘われています。
SさんのGW前半は仕事をし、後半、少し休もうと友人と会うことに。入社してたった1ヵ月にもかかわらず、1ヵ月ぶりに会う友人はどこか遠い過去のように思えます。
会ったとたん友人から「大丈夫? とても疲れているみたい」と顔を覗き込まれました。せっかく友人と会って嬉しいはずなのに気分は上の空。笑顔はむしろ作り笑いに。
Sさんは、デザイナーとして入社。労働時間は裁量労働制により実際の労働時間ではなく、労使間の協議により労働時間を決め、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなす制度です。たとえば、みなし労働時間を8時間とした場合、実際に働いた時間が何時間だったとしても、8時間働いたものとしてみなされます。
GWの最終日、Sさんは自宅でゆっくり過ごそうとしていました。ただ、明日から仕事のことを考えるとお腹が痛くなります。疲労感とストレスでなにもやる気がおきません。やりたい職業に就いたのに、いまは会社に行きたくない、辞めたいと考えているなんて……。
同期が次々に退職
GW明けに出社すると、4月末で2人退職したと噂になっていました。Sさんは驚きを隠せません。Sさんも精神的にまいり、自分も同じように退職しようかと悩んでいた矢先の同期の退職。1ヵ月足らずですでに同期が2人辞め、Sさんは上司に自分も退職したいといいだせずにいたところ、SNSの投稿で「退職代行サービス」の文字が目に入ってきました。
辞めないといえない自分に変わって会社に伝えてくれるサービスがあるのか……。ちょっと話を聞いてみようかなと、退職代行サービスに連絡したところ、早速、入社したばかりで有休もないため、いつ辞めてもかわらないからすぐに代行しますといわれ、依頼することに。
こんなはずじゃなかった…
退職代行サービスとは、本人に代わり、会社側に退職の意思を伝える代行をするサービスのことです。Sさんのように会社にいいだせない、精神的に伝えられられない人の代わりを担ってくれます。Sさんは疲労とストレスで咄嗟に退職代行サービスにすがりました。退職はできたものの、このあとSさんは後悔することに……。
新入社員にとって3万円は高い出費となった代行サービスでしたが、お金には代えられない状況であれば、納得できるかもしれません。しかしながら、Sさんのようにもともと責任感が強く、真面目な性格の人が安易に頼ってしまうと、自責の念に駆られてしまいます。Sさんも例外ではありませんでした。
会社に在籍している同期入社で仲良くなり励ましあっていた人から、あんなに急に辞めるなんてと、非難されます。担当部署では挨拶もなく突然の退職で怒っている人も多いとのこと。朝礼では、「退職代行を利用して辞めるなんて非常識。このようなことが二度とないように」と釘を刺されたそうです。
「自分のせいでみんなに迷惑をかけてしまった。退職代行サービスなんか使わなければなんて使わなければよかった。こんなはずじゃなかったのに……」
Sさんは社会人1年目にして、自分でけじめを付けなかったという罪悪感から、次の職業を探すことができなくなってしまいます。同じデザインの仕事に就きたいと思っても、どこかで前の職場の人に会うのではと、自宅に引きこもってしまいます。
選択肢は多いほうがいいが…一時の感情であとから後悔することのない決断を
社会人としての心構えとして、経済的自立、社会的責任等、十分に理解していたはずのSさん。会社の先輩や上司に相談することなく、先走って判断を誤ってしまったと、逆に自分を追い込んでしまう結果となり、現在は悶々と自室に引きこもっている毎日を送っています。
夢と希望に満ちた社会人生活が、わずか1ヵ月で衝撃の結末を迎えたSさん。苦い経験となりましたが、いまは心穏やかに過ごしながら気持ち新たに、行政(公共職業安定所)等に相談しながら、再度、目標をもって社会人生活をしてほしいと願うばかりです。
三藤 桂子
社会保険労務士法人エニシアFP
代表
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