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《初心者のための会計入門》会社の経営状態が見えてくる!「決算書」の超キホン【公認会計士が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月2日 11時15分

《初心者のための会計入門》会社の経営状態が見えてくる!「決算書」の超キホン【公認会計士が解説】

(画像はイメージです/PIXTA)

会社の決算書には「会社の健康診断」ともいうべき重要な情報が詰まっています。決算書が読めるようになると、会社の問題点はもちろん、投資するメリットがあるかどうかまでわかるようになります。税理士・公認会計士の岸田康雄氏が、超基本的な部分を初心者にもわかりやすく解説します。

決算書は会社の「健康診断結果」のようなもの

生徒:先生「株式投資を始めるときは、会社四季報で決算書を読まなければいけない」といわれました。決算書を読むことで、なにがわかるのでしょうか?

先生:決算書が読めるようになると、さまざまなことがわかるようになります。決算書は「会社の健康診断」の結果のようなものです。この1年で身長・体重がどのぐらい増えたのか、メタボになっていないか、病気にかかる心配はないか、治療が必要かどうかもわかるようになります。

生徒:具体的に、なにを診断するのでしょうか?

先生:事業はお金を稼ぐことが目的ですから「無駄なく稼いでいるかどうか」を診断することがいちばん重要です。これを「収益性」といいます。それから「安全性」、すなわち倒産の危険性がないか。「成長性」、すなわち事業の規模はどれくらい大きくなっていくか。このようなことが診断ができるのです。

生徒:私はいままで決算書を読んだことがありませんでした…。一般的に、決算書はだれが読むものなのでしょうか?

先生:「株式投資のため」といいましたが、株主が読むものです。株式が上場されている場合は、個人を含めた数多くの株主、すなわち投資家ということになります。

生徒:なるほど…。

先生:上場企業は投資家からお金を出資してもらっています。つまり、会社にとって見ず知らずの他人からお金を集めていることになります。株式を上場させた会社には、社会的にキチンと経営することと、お金を出してくれた株主へ会社のお金に関する詳しい報告が必要です。この報告を行うものが、決算書なのです。

生徒:会社は銀行からもお金を借りていますよね?

先生:そうですね。銀行は株主ではなく債権者という立場ですが、お金を借りている会社は、継続的に決算書を銀行へ提出しています。

「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュ・フロー計算書」

生徒:決算書は具体的にどのようなものですか?

先生:重要な決算書は「損益計算書」と「貸借対照表」です。上場企業になると、「キャッシュ・フロー計算書」というものも追加されます。ここにあるように、損益計算書は、売上高や利益を報告するものです。専門用語が並んでいるから、見慣れない人にはわかりづらい内容かもしれませんね。

生徒:どれだけ儲かったのか報告するわけですね。ほかの決算書はどのようなものでしょうか?

先生:決算書のなかで、いくら稼いだかがわかるのが「損益計算書」で、会社がお金をどのような状態で持っているのか、どこから調達したのかがわかるのが「貸借対照表」なのです。そして、純粋なおカネの流れがわかるのが「キャッシュ・フロー計算書」です。これら3つの表はつながっていますが、その関係がわかれば、会社の状況を深く理解できるようになりますよ。

「管理会計」「財務会計」それぞれのルール

生徒:難しい単語が多くて理解しづらそうですが、株主や銀行が理解できればそれでいいですね。

先生:いいえ、それでは不十分なのです。それ以外にも決算書を作る目的があります。それは「会社の経営者や従業員のために決算書を作って報告すること」です。これを「管理会計」といいます。この一方で、株主や銀行などに決算書を作って報告することは「財務会計」といいます。

生徒:管理会計でも同じ決算書を作るのでしょうか?

先生:いいえ。目的が違うので、違った形式の決算書を作ることになります。

生徒:決算書を作るためのルールはありますか?

先生:会社内部で使う管理会計の決算書にはルールはなく、自由に作っても問題ありません。しかし、外部へ報告する財務会計では、金融商品取引法や会社法などの法律によって決められたルールがあります。外部の人にもわかりやすいように共通の会計基準で作成されているのです。

生徒:同じルールに基づいて作成されていなければ、健康診断の結果を比較することができませんものね。日本企業の決算書と外国企業の決算書は、同じルールで作成されているのでしょうか?

先生:実は、会計のルールは複数あり、日本基準、米国会計基準、国際会計基準(IFRS)などが挙げられます。日本の企業が必ずしも日本基準を使う必要はなく、グローバルに営業を展開する大企業だと、米国基準やIFRSを使っているところもあります。

生徒:そうなると、トヨタ自動車やソフトバンクの株式に投資するのであれば、日本基準だけでなく米国基準やIFRSまで理解しないといけないでしょうか。大変ですね。

先生:でも、基本的な計算は似ていますから、それを覚えてしまえば、理解できるようになりますよ。これから会計の勉強を始めましょう。

生徒:はい、わかりました!

岸田 康雄 公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)

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