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融資担当「銀行員」は企業の決算書のどこを見ているのか。経営者が見落としがちなポイント【経営コンサルタントが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月10日 8時15分

融資担当「銀行員」は企業の決算書のどこを見ているのか。経営者が見落としがちなポイント【経営コンサルタントが解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

会社の経営状況を向上させるにはまず何から取り組めばいいでしょうか? その答えのヒントは決算書に記されています。本記事では決算書から分かることや、融資を担当する銀行員が見ているポイント等、決算書の使い方を経営コンサルタントの石原尚幸氏が詳しく解説します。

決算書で分かること

決算書とは損益計算書(以下、PL)と貸借対照表(以下、BS)の総称です。皆さんがよく見るのは売上と利益がわかるPLでしょう。ですが、実はPLだけでは会社の力量は判断できません。私が最初に見るのはBSです。

BSは右側が資金の調達方法。どこからお金を入れて何に使っているかを表しています。短期的に返さないといけないお金を流動負債。長い期間(1年以上)借りるお金が固定負債、返さなくていいのが純資産です。

BSはの左側は資金の運用方法。調達したお金を何に使っているかを表したものです。すぐにお金に変えられる現金、売掛金、在庫を流動資産、土地・建物等の現金化しづらいものを固定資産と分類します。

見てほしいのはBSの合計額。この会社はどれだけ資産をもっているか、いわゆる「総資産」です。この総資産に対して何%利益を上げているか、これが世に言うリターン・オン・アセット(以下、ROA)です。

不動産や株で投資すると利回りを問われます。1,000万投資して100万円の利益なら利回り10%です。投資ファンドや不動産業の人たちは7%から8%の利回りを目標としています。7%利回りを10年続けると元本が倍になるからです。

商売も同じ見方をしてみます。何らかの手段でお金を調達し、調達した資金を商品や土地、建物といった資産に変えます。そして、その資産を使い売上と利益を上げに行く。これが商売の流れであり、ROAがその会社の力量となります。ROAが高ければ高いほど経営者の手腕が高いと言えますよね。ROAが低い場合は残念ながらその会社の経営の力量が低いということです。

ビジネスの基本的な考え方

お金を調達して、資産に変えて、商売をする。商売した結果何パーセントの利益を残せたか、商売の原点です。銀行から連帯保証までついてお金を借りて、社員に頑張ってもらって、結果、何%残せたかがわかってしまいます。

今の日本の企業の平均値でいけば5パー超えたら優秀です。低金利ですから2%で借りて、5%の利回りを残せればお金は残せます。

ですが、今後インフレとなり金利が上がっていくと利回りを上げていかなければいけません。まずは、自社の決算書を持ってきて、あなたの会社のROA(経常利益÷総資産✖100%)を出してみてください。銀行もこの数字は見ています。

ROAを上げるにはどうしたらいいか?

問題は、ROAを上げるにはどうしたらいいか? 下記2つの方法が挙げられます。

ROAを上げるためにやるべきこと

  1. (今の経営資源を有効活用して)利益を上げる
  2. 資産を圧縮する

1. (今の経営資源を有効活用して)利益を上げる

利益を上げるのは、わかりやすいでしょう。

◆利益を上げるためには

粗利(粗利 = 売上高 - 売上原価)を上げるか、固定費を減らす

◆粗利を上げるためには

客数を増やすか、客単価を上げる

◆固定費を減らすためには

戦略経費(広告宣伝費、販促費等)、運営経費(水道光熱費、雑費等)、設備費(賃料等)ごとに総点検する

2. 資産を圧縮する

次に、資産を圧縮する策を考えます。多くの人が行わないのがこちらです。BSは皆さん嫌いですからね(笑)ですが、BSの方にこそ改善の余地が埋まっています。総資産は増やすことも大切ですが、増えた資産が利益を上げるために活用されていなければ意味がありません。たくさん食べて体が大きくなっても贅肉だらけでは動けないのと同じです。筋肉質な引き締まった身体をもちたいものです。

会社の資産を筋肉質な体にするための重要ポイントは3つ。売掛金、在庫、遊休資産です。

(ポイント1)売掛金の回転日数(売掛金÷月商(月平均の売上高)✖30(日))

売掛金を月商で割り、30を掛けると売上が経ってから何日で回収できているかがわかります。売掛金とはいわば「つけ払い」です。この日数が長いと、それだけ資金が必要となります。

また、いくら商品が売れても回収できていなければそれは商売ではありません。ただのボランティアです。売掛サイトのルールが曖昧になっていませんか?

締め日を決め、契約書を結び、一日でも遅れたらすぐに飛んで回収する。そして、今の売掛サイトが長い先は1日でも短くしてもらう、この努力が必要です。

長いこと商売してれば色々な事情で3ヵ月、半年払ってくれませんというお客さんもいるでしょう。ですがそれを放置してはいけません。売掛サイトが長ければその分会社、借金とリスクを背負うことになります。

ROAを上げるにはどうしたらいいか? 資産を圧縮するための3つの7ポイント

(ポイント2)在庫の回転日数〔在庫(=商品)÷月の平均仕入高✖30(日)〕

在庫(商品)を月の仕入高の平均金額で割り、30を掛けると、何日分の在庫を持っているかがわかります。放置しておくと、販売チャンスを逃したくないため現場はたくさん仕入れます。

仕入れた商品がすべて売り切れていれば問題ないですが、売れ残っていた場合は在庫となります。稀に、仕入れをしくじったことを隠している組織があります。これは危険です。お金が倉庫に眠っているのと同じですから。在庫回転日数を見て、長すぎると判断した場合は、在庫をぎりぎりまで絞ってもいいという許可を現場に与えることが大切です。

(ポイント3)遊休資産

固定資産の中身は固定資産台帳を開くと内容がわかります。年1度でいいので「うちの資産って何があるのかな」と確認してください。この土地や建物、何か商売に使えないかなという資産、いわゆる遊休資産があればもうけものです。ぜひ商売に活用してください。

また、中にはもう捨てられているのに台帳に載っているなんて資産も私はよく発見します。すぐに台帳から削除ください。

ROAの高さはそのまま経営体質の強さに

こうして資産をギュッと圧縮し、その資産を有効に活用することでROAはアップできます。ROAの高さは経営体質の強さを表します。ROAを上げて、強くたくましい会社にしていきましょう。

石原 尚幸

株式会社プレジデンツビジョン 代表取締役

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