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日本の住宅の間取りは“無駄がなく機能的”だが…快適な暮らしを邪魔する「思い込み」の正体【一級建築士が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月30日 17時0分

日本の住宅の間取りは“無駄がなく機能的”だが…快適な暮らしを邪魔する「思い込み」の正体【一級建築士が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

日本の住宅の間取りは、狭い空間を無駄なく効率的に使えるよう工夫されてきました。しかし、一級建築士で模様替えアドバイザーのしかまのりこ氏によると、この住み慣れた日本の住宅に対する「固定観念・思い込み」によって、実は快適な暮らしが遠のいている可能性があるというのです。はたしてその「思い込み」の正体とは? 『狭い部屋でも快適に暮らすための家具配置のルール』(彩図社)より詳しくみていきましょう。

ダイニングの隣はキッチン…間取りへの“思い込み”の「根本原因」

いまでこそ当たり前の「LDK」…始まりは団地の「2DK」から

日本の住宅の間取りは、狭い空間が効率的にレイアウトされており、無駄がなく機能的にできています。その最たるものがLDKです。今でこそ2LDKや3LDKなど、様々な間取りがありますが、その始まりは団地における2DKでした。

2DKとは、寝室(洋室)2つに、DKがついたものを表します。DKは、食事空間であるD(食事室またはダイニング)とK(台所またはキッチン)のことで、当初はL(居間またはリビング)という考え方や、その空間はありませんでした。

また、食事室であるダイニングは、「台所を広くすれば、同じ空間で食事もできる」という台所空間の拡張から生まれたもので、単独で作られたものではありません。

こうした経緯もあり、ダイニングは、キッチンの隣にあるのが当たり前という常識や思い込みが、私たちには強いのです。

快適な暮らしのためには、“思い込み”はいったんリセット

キッチンの隣にダイニングがある間取りは、料理の配膳や、片付けを考えると、とても機能的で便利です。しかし、どの様な場合にも、キッチンの隣にダイニングを置いた方が良いかというと、そうとも限りません。

例えば、リビング空間が狭く、ダイニング空間が広い場合。家族の人数にもよりますが、基本的には、ダイニングテーブルやダイニングチェアなどのダイニング家具よりも、ソファやリビングテーブルなどのリビング家具の方が、広いスペースを必要とします。リビング空間が狭ければ、リビング家具を置くことにより、さらにリビングは狭くなってしまいます。

そこで、ダイニング空間が広く、リビング空間が狭い場合は、キッチンの隣は、必ずダイニング」という、間取りへの思い込みを一度リセットし、狭いリビング空間と広いダイニング空間を入れ替えてみましょう。そうすることで、空間の広さに見合った、無理のない家具レイアウトができるようになります。

このように、固定観念や思い込みにしばられず、家の間取りをフレキシブルに考えることができれば、スマートな家具レイアウトが可能になります。

では、リビング空間とダイニング空間を入れ替えると、どのような部屋になるのでしょうか? 実際のプランで確認してみましょう。

【事例】リビングが狭く、ダイニングが広いです

家具と部屋のサイズがミスマッチで、ストレスフルな家具レイアウトに…

[図表1]は、リビング6畳、ダイニング8畳、キッチン3畳の、LDKの間取りの様子です。リビングとダイニングの大きさを比べてみると、ダイニングの方が大きいですね。

しかし、[図表2]のようにソファやテレビボードなどのリビング家具のほうが、ダイニングテーブルやダイニングチェアなどのダイニング家具よりも、必要とする空間は広いですよね。

ダイニングにはゆったりテーブルがレイアウトできているのに、ソファは窮屈そうです。このように家具が必要とする広さと、部屋の広さのミスマッチが起きていることが、部屋が狭く使いにくい原因となっています。

家具と部屋のサイズが合わないと動線も確保できない

また、ダイニングからバルコニーへ向かう動線(矢印)が、ソファにぶつかっています。[前掲図表2]そのため、バルコニーへ出るときは、障害となるソファを少し移動するか、または、テレビの前の狭いスペースを通らなければならなくなり、かなりストレスフルな家具レイアウトとなっていました。

「D」は「K」の隣じゃなくていい…「入れ替え」でゆったりした空間に

ダイニングよりリビングが狭く、思うように家具レイアウトができないときには、思い込みをリセットし、全体的に視点を変えてみます。そこで、リビング空間とダイニング空間を入れ替え、家具をレイアウトしてみました。

[図表3]は、リビング空間とダイニング空間を入れ替えた後の家具レイアウトの様子です。ソファやテレビボードなどのリビング家具は、空間を入れ替えたことで、ゆったりしたレイアウトにできました。

また、ダイニングテーブルは、壁に寄せてレイアウトし、バルコニーへの動線(矢印)を確保しました。空間を入れ替えて家具をレイアウトしたことにより、部屋の中心は広くなり、動きやすいリビング・ダイニングになりました。

ときには固定観念や思い込みをリセットし、フレキシブルに間取りを考えれば、無理のない理想的な家具レイアウトが可能になり、ダイニングが広く、リビングが狭いなどのような部屋の悩みが解決できます。

しかま のりこ COLLINO一級建築士事務所 一級建築士/模様替えアドバイザー

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