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やられた…百戦錬磨の不動産会社社長が、タイの不動産売買でトラブルに巻き込まれた「まさかの顛末」

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月8日 11時15分

やられた…百戦錬磨の不動産会社社長が、タイの不動産売買でトラブルに巻き込まれた「まさかの顛末」

(※写真はイメージです/PIXTA)

タイの首都バンコクは、日本人にも住みやすいことから、リタイアした富裕層やフリーランスの居住者が増えています。今回は、日本・タイ・カンボジアの3カ国で不動産会社を経営する富士リアルティの永松秀行社長の経験談を交えつつ、バンコクの投資メリットのあるエリアや物件の特徴、投資にまつわる注意点を見ていきます。※本記事は、OWL Investmentsのマネージング・ディレクターの小峰孝史弁護士が監修、OWL Investmentsが執筆・編集したものです。

もし日本人がバンコクに移住するなら?

小峰:永松社長は日本・タイ・カンボジアの3カ国で不動産会社を経営し、それぞれの現地事情に精通されていますが、日本人がバンコクに移住する場合のお勧めのエリアを教えてください。

永松:お子さんと一緒でないなら、バンコクの伝統的な中心街のシーロム通り周辺がお勧めです。ここは、東京で言えば丸の内周辺に該当します。大歓楽街のパッポンや、日本人向け歓楽街のタニヤがありますから、丸の内に銀座と歌舞伎町が隣接しているイメージでしょうか。ビジネスにも利便性が高く、プライベートも楽しめるでしょう。

小峰:賃料はの目安はどれぐらいですか?

永松:30平米くらいの1ベッドルームの部屋で2万5,000~3万バーツ(約10万円~12万円)程度です。

小峰:中心地なのにお手頃価格ですね! 永松さんもこのエリアに家を借りているのですか?

永松:以前はシーロム通り周辺をバンコクの拠点にしていました。しかし最近は、スクンビット通り周辺で人と会うことが増えてきたため、スクンビット通り周辺のコンドミニアムを借りています。日本人にとっては、スクンビット通り周辺のほうも便利になってきています。

スクンビット通りエリアが日本人に人気のワケ

小峰:スクンビット通り周辺について教えてください。

永松: BTS(高架鉄道)の駅でいうと、アソーク駅から、プロンポン駅、トンロー駅、エカマイ駅という4つの駅の周辺が一番人気です。弊社もアソーク駅の近くに事務所を構えていますし、私もコンドミニアムを借りています。私のコンドミニアムは、約30平米で3万5,000バーツ(約14万円)です。

出所:タイ国政府観光庁、タイ観光案内サイト「バンコク路線図」より、一部編集部が加工 ※ 赤い線で囲ってある場所がE4からE9でスクンビット通り周辺の日本人の多いエリア(クリックで拡大版が表示されます)

小峰:このエリアが日本人に人気な理由はなんでしょう?

永松:日本人学校のスクールバスが廻るのが、基本的にこのエリアなのです。そのため、お子さんのいる日本人家庭が暮らすようになり、塾やその他の習い事ができる教室も集まってきました。さらに、日本の食材を扱うスーパーマーケット、日系のレストラン、居酒屋、日本語の通じる病院もあります。日本式スーパー銭湯まであります。もちろん、タイ料理屋なども揃っています。

小峰:それはいいですね! 家賃の手ごろな物件はありますか?

永松:BTS(高架電車)の駅で、エカマイ駅の先のプラカノン駅、オンヌット駅の周辺もいいでしょう。この辺りは、BTS(高架電車)で中心地まで行きやすい割には、家賃も手ごろです。駅からの距離や築年によりますが、約30平米で2万バーツ(約8万円)前後です。

タイのコンドミニアムを買う目的にも変化が…

小峰:コンドミニアムを買う方もいらっしゃいますか?

永松:以前は、キャピタルゲイン(値上がり)狙いで購入される方が目立ちましたが、最近は「バンコクが気に入った」という理由で購入する方も増えてきました。さらに、アセットアロケーションの一環として、タイにも資産を持っておこうと考える方も増えてきています。

小峰:どれくらいのお値段でしょうか?

永松:BTSスクンビット線のアソーク駅~トンロー駅あたりがお勧めなのですが、新築の1ベッドルームで1,000万~1,250万バーツ(4,000~5,000万円)ぐらいです。

不動産のプロ、タイでトラブルに巻き込まれる

小峰:タイは安定成長している国ですから、安心してコンドミニアムを買えそうですね。

永松:ただ、注意は必要です。なにを隠そう、この私もトラブルに巻き込まれました。海沿いの保養地パタヤのコンドミニアムが1部屋1,500万円くらい、場所がいい割に安かったので購入したのですが、完成後、登記できないというのです。役所に提出していた計画ではコンドミニアム2棟だったのに、実際に作ったのはコンドミニアム1棟、ホテル1棟だったので、登記できないということでした。

小峰:いまさらですが、どうするべきだったのでしょうか?

永松:弁護士を入れて契約書や関連文書を確認していれば、トラブルを防げたはずです。お客さんが買うときは弁護士を入れて確認するのですが、今回は買うのが自分だったうえ、金額も小さかったので、弁護士の確認を省いたのが敗因です…。

有名デベロッパーでも安心できない

小峰:でも、そんなトラブルはそう多くないでしょう?

永松:いいえ。実はこうしたトラブルは少なくないのです。この手のトラブルに巻き込まれないようにするには、チェック体制の整った不動産会社が間に入るほうがよいのです。

小峰:なぜでしょうか?

永松:顧客が直接デベロッパーの事務所に行ってしまうと、「デベロッパーが直で見つけた顧客」として記録され、不動産会社が入ってチェックすることができません。「不動産会社を入れると負担が増す」と考える投資家の方もいらっしゃいますが、そんなことはないので、お声がけ頂ければと思います。

小峰:なるほど…。

【補足】改めて調べると、報道されている事例として以下のケースがありました。

●JR九州とタイのデベロッパーのInspireが合弁でコンドミニアムを建設する予定だったが、Inspireが資金難で計画がストップしてしまった

●三井不動産とタイのデベロッパーのAnandaが合弁で、BTS(高架鉄道)と地下鉄の交差する最高の立地というべきアソークにコンドミニアムを建設したが、建物完成後、接道要件を満たしていないとして問題になり、現在も未解決

こうした事案が実際にあったことを踏まえると、永松社長の指摘されたように、購入前のチェックは必須と言えそうです。

二流物件を2つ買うより、一流物件を1つ買え!

小峰:賃貸の利回りはどれくらいでしょう?

永松:外国人や外国企業は不動産を賃貸して収益を得ることはできませんが、外国人でも「タイ法人」を設立すれば賃貸できます。ただ、利回りは3%くらいですから、収益という点では、キャピタルゲインの方が狙い目でしょう。

小峰:購入時に気を付けるべきポイントはなんでしょうか?

永松:デベロッパーと立地です。先ほども申し上げましたが、タイの不動産投資にはリスクがありますが、一流デベロッパーであればリスクは抑えられます。60社ほどのデベロッパーがタイで上場していますが、弊社の場合、そのなかから信頼性が高く日本人が満足できるデベロッパーの物件を選んでいます。

小峰:立地について、タイ特有の事情はありますか?

永松:日本では南向きが好まれますが、タイでは暑すぎるため北向きが好まれます。しかし、方角以上に重要なのは眺望で、眺望によって値段が変わります。さらに高層階、できれば最上階がいいですね。東南アジアや中華圏の富裕層は希少性を重視しますので、最上階で眺望のよい部屋がベストです。

小峰:立地・眺望・高層階と揃った物件がいいのはわかりますが、出口(売却時)に高いだけでなく、入口(購入時)も高くて、手が出ません…。

永松:アドバイスとして申し上げるなら、二流の物件を2つ買うなら、一流の物件を1つだけ買ってください、ということです。富裕層はみなこの行動パターンです。車であれば、ベンツGクラス2台よりフェラーリ1台。これが富裕層の法則なのです。

小峰:なるほど…。ありがとうございました。

小峰 孝史 OWL Investments マネージング・ディレクター・弁護士

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