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月収30万円、32歳サラリーマン…最新の政府試算で判明した、65歳でもらえる「衝撃の年金額」

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月5日 5時15分

月収30万円、32歳サラリーマン…最新の政府試算で判明した、65歳でもらえる「衝撃の年金額」

(※写真はイメージです/PIXTA)

5年に1度行われる“公的年金の健康診断”である「財政検証」。その最新の結果が公表となりました。そこで明らかになったのは、明るいとはいえない日本の未来。みていきましょう。

そもそも「財政検証」とは?

厚生労働省は、7月3日に開かれた社会保障審議会の年金部会で「財政検証」の結果を示しました。

そもそも「財政検証」は、少なくとも5年ごとに人口や経済の実績を織り込み、公的年金の財政バランスの見通しを示すもの。“公的年金の健康診断”といわれています。

「財政検証」では、年金の加入期間や賃金に一定の仮定を置いた「モデル年金」を設定し、将来の年金の給付水準がどのように変わるかを検証。そのモデル年金は、夫が厚生年金に加入して平均的な男子賃金で40年間就業し、その配偶者が40年間にわたり専業主婦の夫婦である場合の2人分の基礎年金と夫の厚生年金の合計額です。

また年金の給付水準は「所得代替率」で示されます。これは、年金を受け取り始める65歳における年金額が、現役世代の手取り収入(ボーナス込み)と比較して、どれくらいの割合かを示すものです。

「財政検証」では「所得代替率」のほか、物価上昇率を用いて現在の価値に割り戻した年金額も示します。「所得代替率」は現役世代の賃金に対する相対的水準、「物価上昇率を用いて現在の価値に割り戻した年金額」は、購買力の絶対的水準、というわけです。

現行の年金制度は給付水準を物価や賃金の上昇率よりも低く抑える「マクロ経済スライド」を導入。所得代替率が50%を下回らないようにすることが法律で決められています。

日本経済が順調に成長する場合の年金額、日本経済が現状のままの場合の年金額

2024年の「財政検証」では、実質経済成長率がプラス1.6%~0.7%までの4つのケースを想定し試算が行われました。

「モデル年金」は月額22万6,000円。現役世代の男性の平均手取りは37万円と想定。2024年時点の所得代替率は61.2%。2019年の「財政検証」よりも0.5ポイント下がりました。

現状よりも高い経済成長を見据えた「成長型経済移行・継続ケース」では、物価上昇率は2.0%、実質賃金上昇率を1.5%と想定。所得代替率は2029年度に60.3%、モデル年金は24.0万円。2037年度に所得代替率は57.6%、モデル年金は25.1万円。以降も所得代替率は57.1%をキープし、2060年度のモデル年金は33.8万円。年金の水準は、現状と比較して6%程度の減少に踏みとどまる見通しです。

一方、経済成長率が現状に近い状態が続くとする「過去30年投影ケース」では物価上昇率を0.8%、実質賃金上昇率を0.5%と想定。所得代替率は2029年度に60.1%、モデル年金は22.3万円。そして2040年度には所得代替率は56.3%、モデル年金は21.6万円。そして33年後の2057年には、所得代替率は50.4%、モデル年金は21.1万円。以降はマクロ経済スライドが終了し、所得代替率は50.4%をキープするとしています。つまり、33年後の年金水準は、現状の2割減になるということになります。

さらにマイナス成長という最悪のケースでは、2059年に国民年金の積立金が枯渇するとしています。つまり事実上、年金制度は破綻を迎えてしまうわけです。

2024年に32歳のサラリーマン、33年後、65歳で手にする衝撃の年金額

2057年に65歳を迎え、年金をもらいだすのは、1992年生まれ、2024年に32歳の人たち。平均的なサラリーマン(正社員)であれば、月収30.7万円、賞与も含めた年収は516.7万円(厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』より)。

あくまでも2024年の統計を用いた単純計算ですが、20歳から60歳まで平均的な給与をもらい続けると仮定すると、65歳からもらえる老齢厚生年金は12.36万円。併給の老齢基礎年金も合わせると17.10万円となります。

現在、年金の手取り額は額面の85~90%なので、手取りは14.53万~15.39万円ほどになる計算。ただ現状の経済状態が続くと仮定すれば、年金の価値は2割減の11.62万~12.31万円になるということになります。月12万円程度の年金……ライフスタイルは人それぞれなので一概にいえませんが、これで十分というには心許ない金額です。

また、今回の「財政検証」では合計特殊出生率を2070年時点1.36%と想定しています。一方で6月5日に厚生労働省が公表した2023年の出生者数は、72.7万人と過去最低水準を更新。合計特殊出生率は1.20と、前年1.26からさらに低下しました。今後の状況によっては、今回のシミュレーションをさらに下回る年金水準になるかもしれません。

月収31万円・32歳のサラリーマン。33年後にもらえる年金は、2割減が既定路線。さらにそれよりも下回る可能性もゼロではありません。

最新の政府の試算で判明した、65歳でもらえる「衝撃の年金額」。厳しい状況が見込まれますが、この事実に悲観したとしてもあと33年の猶予があります。いまから少しずつでも資産形成を進めていくことが重要です。

[参照]

厚生労働省『将来の公的年金の財政見通し(財政検証)』

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』

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