老後はバリバリ運動しなくても大丈夫!精神科医が教えるプチずぼら健康法
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月12日 11時0分
(※写真はイメージです/PIXTA)
老後はどうすれば健康な生活が送れるのでしょうか? 精神科医の保坂隆氏は、による著書『精神科医が教える ずぼら老後の知恵袋』の中で「プチずぼら」を推奨しています。一体それはどんなことをすればいいのでしょうか? 具体的な方法を本書から紹介します。
ほどほどウォーキングで大丈夫
日本初の歩数計が発売されたのは今から60 年ほど前でした。その当時、1週間に7万歩歩くと健康増進に役立つというハーバード大学の研究結果があり、それを元に、厚生省がキリのよい1日1万歩にして大々的な健康キャンペーンを行ったのが始まりで、歩数計も「万歩計」とネーミングされたことで「1日1万歩」が合言葉のように広まったようです。
ところが、それから60年たった今、「1日1万歩の運動量は多すぎる」という専門家の報告があり、これまで毎日1万歩をめざして歩いてきた健康志向の中高年にも少なからずショックを与えました。研究によると、「運動のしすぎはかえって逆効果で、健康効果がないどころか免疫力を下げるリスクがある」ということですから、「過ぎたるは及ばざるが如し」の諺どおり、歩けば歩くほど体にいいというのは、残念ながら間違いだったようです。
特にシニアの場合は、歳とともに関節や腰など弱い部分に痛みが出たり、無理なウォーキングで足の筋肉や靭帯を痛める場合がありますから、ある程度の年齢になったら、まずは自分の体をよくチェックして、きちんとメンテナンスする必要があります。
スポーツ医によれば、一説として「中高年の望ましい運動は1日合計8000歩程度のウォーキングと20分程度のストレッチや筋トレ」ということです。これを目標値としてあまり疲れない程度に体を動かせばいいでしょう。
若い頃からトレーニングを積んだアスリートならまだしも、歳をとってからハードな運動に励むと、骨折やねん挫などのリスクが高くなります。そのためにも、運動前後のストレッチは、ずぼらではなく、必ずやるようにしてください。
プチ瞑想で気分スッキリ
ひと昔前までは、瞑想というと禅宗のお坊さんやヨガの行者がするものというイメージがありましたが、近年アメリカでは「マインドフルネス」という新しいスタイルのヨガが登場。これがエリートビジネスマンや都会のインテリ層に受けて、一気に全米へと広まりました。当然のように、このトレンドは日本にも伝わって、東京など大都会ではいくつかのヨガジムがオープンして、人気を集めているようです。
この瞑想法がこんなに早く一般社会に浸透したのは、難しい理屈や厳しい修行抜きで心の平安や精神の安定が得られるところ。いわば、ヨガの「いいとこ取り」が受けたのです。それなら、「老後はプチずぼらモードで行こう」をコンセプトにしている本書で、おすすめしないわけにはいきません。気負わずにプチ瞑想にトライするなら、次のようなやり方がいいでしょう。
(1)畳や床の上であぐらをかき、背筋を伸ばします。
(2)座ったまま30回ほどゆっくり腹式呼吸をします(難しい人は胸式呼吸でOK)。最初に息を吐き切って、そのまま2~3秒息を止めてからお腹いっぱいに息を吸います。息を吸うときは自然に、吐くときはゆっくりと。
(3)両手はハスの花のような形にして両膝の上に置くか丹田(下腹)に置きます。
(4)体の力を抜いて目を半開きにし、意識を眉間のあたりに集中します。無理に「何も考えないようにしよう」と思うと、かえって雑念が湧いて集中できなくなるので、ぼんやりした気分でいましょう。もし、いろんな考えが湧いてきても「雑念があって当たり前」「気にしない気にしない」と、一休さんの心境でいきましょう。
(5)30分ほどして気持ちが落ち着いたら瞑想を終えます。ただし、時間は厳密に決めず、何十分でも好きなだけやればいいのです。
(6)最後に3回ほど大きく深呼吸してから思い切り背伸びをします。プチ瞑想を終えると、心が軽くなったりスッキリとした気分になったり、心と体がリラックスしていることに気づくでしょう。心身ともに固くなっている人は、ヨガの前後に5分ほどでいいので、ストレッチをすると一層効果的です。
最近は研究が進んだ結果、瞑想にはストレス性胃腸炎や頭痛、高血圧や不安障害などの精神障害、うつ病や自律神経失調症などに対して、改善効果があることがわかってきました。瞑想は何にでも効く万能薬ではありませんが、私たちに必要な「脳の休息」を確実に与えてくれる、最強のヒーリングです。
さらに最新の情報として、瞑想には記憶力を向上させる効果もあることがわかったのですから、高齢者には見逃せません。しばらく瞑想を続けていれば、素早く心が安定するようになって、パニックになるのも防げます。自然に心身を癒してくれる気軽な瞑想は、プチずぼら派としては見逃せませんね。
お風呂でまったりホットヨガ
ここ数年、美容と健康を気遣う女性の間でブームになっている「ホットヨガ」をご存じでしょうか。室温が39度前後、湿度は60%程度の暖かい室内で行うヨガですが、この環境で体は柔軟になり、発汗も促されるため、ダイエット効果やデトックス効果も高まります。
高温多湿な環境でのヨガは、むくみの緩和や冷え症の改善、アンチエイジングや美肌づくりにも効果的だというので、最近では高齢者にも愛好家が増えはじめ、ブームは年々広がっているようです。ホットヨガはたっぷり汗をかいて代謝を高め、体内の老廃物を排出することもできますから、普段汗をかく機会の少ない中高年にもぴったりなのです。
そこで、お風呂を利用して、簡単にホットヨガを始めてみませんか。お風呂では肩まで浸かるのではなく、腰湯の要領で下半身をお湯につけながら、ゆっくり無理をしない程度にヨガのポーズをとります。初心者におすすめなのは、「ねじりのポーズ」で、座った姿勢で片足を伸ばし、もう一方の足は片膝を曲げた状態で、ゆっくりと上体をねじります。
ねじることで背骨を矯正し、柔軟性を高めるこのポーズは、背筋をピンと立てて伸びやかなラインをつくるのがポイント。ゆっくりとした動きで運動量も少ないヨガですが、2~3分続けるだけで結構汗をかきますから、お風呂から出たときの爽快感もひとしおです。出かける手間もなく、のんびり、プチずぼらにできる軽い運動です。
ただし、動くときはすべらないように足元に注意して、入浴後には冷たすぎない飲み物を飲んで脱水を避けましょう。安眠のためには眠る1~2時間前に入浴するのがベストですから、そのタイミングを逃さないでください。
保坂隆
保坂サイコオンコロジー・クリニック院長
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