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AI導入が遅れる「フィリピン」だったが…「ロードマップ作成」&「研究拠点設立」で本腰

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月8日 7時15分

AI導入が遅れる「フィリピン」だったが…「ロードマップ作成」&「研究拠点設立」で本腰

写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週は、フィリピンのAI導入への取り組みと最新の不動産市況についてレポートしました。

フィリピン「人工知能戦略ロードマップ2.0」を作成

フィリピンの経済産業省(DTI)とアジア開発銀行(ADB)は、フィリピンの人工知能(AI)戦略ロードマップ2.0と人工知能研究センター(CAIR)を立ち上げました。このロードマップは、フィリピンをAI主導のイノベーションと投資のための主要な目的地に変革させることを目指しています。

このロードマップは、ネットワーク環境の構築、データアクセスの改善、教育の変革と未来のAI人材の育成、労働力のスキルアップとリスキリング、AIエコシステムの構築、イノベーションの加速など、戦略的重点事項に焦点を当てています。

直近の優先事項としては、研究開発への支出額を国内総生産(GDP)の0.3%からユネスコの推奨目標である1%に引き上げることを目指しています。また、現在の労働力のスキルアップとリスキリングも重要課題としています。

フィリピンは2023年、オックスフォード・インサイツによる政府AI準備度指数で193ヵ国中65位でした。経済開発庁(NEDA)のバルサカン長官は、教育にAIを統合することで、フィリピン人は新興技術を活用するのに必要なスキルを身につけ、競争優位を確保し、より多くの投資を呼び込み、経済成長を促進することができると述べています。またデータ伝送のオープンアクセスに関する法律(コネクテッド・ピノイ法案)がAIのメリットを最大化させるのに役立つと期待されています。

一方、DTIは、国家AIガバナンスフレームワークの策定を主導していますこれは、AIイノベーションと責任ある導入のバランスを取るためのガバナンスフレームワークで、開発者や利害関係者ができることの範囲と制限を確立するものです。2024年末までの完成を目指しています。

フィリピン「住宅価格」上昇率、鈍化

フィリピンの中央銀行バンコ・セントラル・ング・ピリピナス(BSP)は、2024年の第1四半期の全国的な住宅価格の上昇率が鈍化したと発表しました。住宅不動産価格指数(RREPI)は、前年同期比で6.1%の上昇を記録しましたが、これは前四半期の6.5%、前年の10.2%の成長率と比べると減速しています。全国的な住宅価格の成長率としては、2022年第2四半期の2.6%以来の低い数値となりました。

四半期ベースでは、住宅価格は1.1%上昇し、前四半期の3.6%の減少から回復しました。このRREPIは、異なる住宅タイプと場所の住宅価格の平均を追跡し、銀行の不動産市場への露出を監視するためにBSPが活用しています。

コリアーズ・インターナショナルは、住宅への需要の低迷が価格上昇の鈍化の主な原因であると指摘しています。メトロマニラでは、プレビルドで販売されたユニット数は前年同期比で52%減少し、3,000ユニットのみでした。発売も前年同期比で59%減少しています。

BSPのデータによると、マンションユニットの価格は前年同期比で10.2%上昇しました。これは前四半期の4.1%および前年同期の1.2%と比べて高い数値です。一方で、戸建住宅の価格は前年同期比で5.1%上昇しましたが、これは前四半期の9.5%および前年同期の17%と比べて鈍化しています。

コリアーズは、特に海外フィリピン労働者(OFW)にとって戸建て住宅や土地は依然として魅力的ですが、需要はまだパンデミック前のレベルには戻っていないと述べています。

マニラ首都圏(NCR)の住宅価格は第1四半期に前年同期比で2.8%上昇し、前四半期の4.3%、前年同期の7.3%と比べて鈍化しました。一方、NCR以外の地域(AONCR)の住宅価格は前年同期比で7.4%上昇しましたが、前四半期の7.8%および前年同期の11.4%と比べて鈍化しています。

コリアーズは、需要の増大は、特に中央ルソン、カラバルソン、西ビサヤ、中部ビサヤ、ダバオ地域の戸建ておよび土地のみから来ると予想しています。また、不動産ローンは、第1四半期に前年同期比で8.9%増加しましたが、前四半期の30.5%および前年同期の16%と比べて鈍化しています。

詳細に見ると、NCRおよびAONCRの住宅ローンはそれぞれ3.2%および11.4%増加。第1四半期におけるフィリピンの新規住宅ユニットの平均価格は、平方メートルあたりP82,260でした。NCRはP132,743で、AONCRはP61,163でした。

今後の、メトロマニラでのプレビルドマンションの発売については、在庫が依然として約3年分あるため、ディベロッパーは新規発売に慎重になると予想されています。また、戸建てや土地はOFWの間で人気がありますが、依然として高い住宅ローン金利がバイヤーを様子見にさせています。

BSPは、基準金利を6.5%で据え置いており、これは過去17年で最高水準です。年内に金利の引き下げがない場合、住宅への需要は引き続き低調である可能性があります。このため、2024年の残りの期間で需要と価格の大幅な増加は見込めいというのがコリアーズの見立てです。

BSP総裁レモロナ氏は、8月に25ベーシスポイント(bps)の金利引き下げを視野に入れていると述べ、第4四半期にさらに25bpsの金利引き下げを行う可能性があるとしています。

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