「少ない年金をやりくりしながら生きるのも、案外楽しいものだ」…〈現役老人〉が過剰な老後の心配はしなくていいと語るワケ
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月8日 7時15分
「老後のことばかり心配する人が多すぎる」…こう話すのは、妻を看取り一人暮らしをしている60代の〈ぺこりーの氏〉です。本記事では、フリーコンサルタント、YouTuberとしても活躍し、「ようやく妻が死んでくれた」の動画が857万回再生を超える〈ぺこりーの氏〉の著書『妻より長生きしてしまいまして。』(大和書房)より一部を抜粋・再編集。老後不安を抱えるあなたに向けて、老後だからこそ広がる可能性についてご紹介します。
老後の心配ばかりしてたらストレスで死ぬぞ
老後などまだまだ先だというのに、老後の心配ばかりされているみなさんがいかに多いことか……。そんなに心配ばかりしていたら、ストレスで長生きなどできなくなる。本末転倒だ。
日本人が心配性なのはよくわかるが、人生には困難がつきものだろ。あなたが晴れて年金生活に入るまで生きられる保証など、まったくないというのに。
現に先月、私の飲み仲間の友人が44歳という若さで亡くなった。美しい女性だった。しかし、高校生の息子をひとり残して天国へと旅立った。おそらく本人は、まだ自分が死んだとは思っていないかもしれない。
もうひとりの飲み仲間も、3年前にアラフィフで亡くなった。私の妻が亡くなったのも58歳。みんな1円の年金ももらわずに死んだのだ。
あなたが無事に60歳を迎え、年金を繰り上げ受給できる歳になったとしよう。少ない年金でも、年金がもらえる歳まで生きてこれたことを、まずはお祝いしようじゃないか! 丈夫に産んでくれた親にも感謝だな!
自分は100歳まで生きられるとみんな思っているだろうが、現実はそうはいかない。平均寿命の足を引っ張っる人がいなければ、とっくに平均寿命は100歳を超えているだろう。うちの妻も平均寿命を下げたほうの人間だ。
老後の心配は「そのとき」になってからすればいい
この言葉は哲学者の岸見一郎先生が、「老後の不安」についての相談に答えられた一文である。まったくもって同感だ。人生は総じて苦しい時も多い。もちろん楽しいこともたくさんある。そうやって、若い時から困難を乗り越えて生きていくのが人生であろう。決して老後だけが辛く苦しいわけではないと、岸見先生もおっしゃっている。
現に、ここにいる現役老人が言うのだから間違いない! 長生きできる保証などないのに、長生きしてしまったことばかり考えて不安になるなんて、当たらないガリガリ君を憂いてばかりいるようなものだ。
ん? ちょっと違う? それよりも、今の生活の設計をしっかりとやって、いずれ訪れるかもしれない困難に備えておくほうに考えを巡らせよう。
困難がこなければ、それでいいではないか。少ない年金をあれこれやりくりしながら生きるのも、案外楽しいものだよ。年金生活者の醍醐味だ。
そうは言ってもお金も必要
金融庁が年金以外に2,000万円持っていないと生活できないなんて言ったもんだから、年寄りだけでなく若い人たちまで心配するはめになった。しかし一番心配したのは、今まさに老後を過ごしている年金生活者の人たちだろう。なんせ60歳の平均貯蓄額の中央値が1,200万円なのだから、大半の方は2,000万円なんて貯金はないのである。
じゃあ、老後の生活はどうする? 私は、もらえる年金の中で生活するしかないと思っている。
今日のYahoo!ニュースで、世帯年収が3,000万円の方のインタビュー記事が掲載されていた。その方によると、2,000〜3,000万円の年収では税金が高すぎて、裕福感はまったく感じないとのこと。生活もごく普通で、服はユニクロ、車もコンパクトカーに乗っているとおっしゃっている。
よく話題にもなっているが、年収1,200万円くらいの世帯が一番貯金額が少ないという統計。家賃が高額なタワマンに住み、いい車に乗って派手な生活が身についてしまっているため、貯金にはお金がまわせない人が多いらしい。
要するに、お金はいくらあっても足りないのである。さすがに5,000~6,000万円の年収を超えるとそれも違ってくるらしいが、そういう方の生活を参考にしてもしょうがない。いくら稼いでも足りないのであれば、今の収入で足りる生活ができるようになるだけのことである。
どうしても年金で足りないぶんに関しては、働くか、稼ぐ術を若い頃から身につけておくこと。仕事もなかなかないとはいえ、選ばなければ結構あるもんだ。
うちの隣のクリーニング屋だって、居酒屋だって、スーパーだって、いつもパート募集の張り紙が貼ってある。まかないがついている求人だってあるから、食費だって浮く! みんなわざわざリクナビやマイナビみたいな、競争相手が大勢いるところで仕事を探しているからダメなのだ。
近所をちゃんと徘徊してみよう! ハローワークなんかに行かなくたって、そこかしこに求人情報が貼ってあるから。
歳をとってもなんでもできる
お金を稼ぐ方法として私が一番おすすめするのは、年金をもらいながらフリーランスで働くことだ。60歳を過ぎて会社に再就職したりすると、さらに年金を払う立場が続いてしまう。なので、できるだけ若いうちから、ひとり立ちできるスキルを磨いておくこと。これは絶対に、若いうちから考えておかなければならない。
私は、61歳でフリーのコンサルタントとして独立した。だから、コンサルの収入と年金の両方で生活をしている。定年まで仕事を続けたサラリーマンのスキルはバカにできない。自分では気づかないけれど、必ずそのスキルにお金を出す人たちがいるのである。
ずっとサラリーマンとして勤めた人が、定年後にフリーランスとして独立するというのは、なかなか勇気がいる決断かもしれない。ケンタッキー・フライド・チキンの創業者カーネル・サンダースがフランチャイズ事業を始めたのは、60代半ばだったと思う。それから世界を席巻したのだからすごい! カーネル・サンダースの人形があんなにおじいちゃんなのも、理由がよくわかるというものだ。
浮世絵の葛飾北斎も90歳で亡くなる年に「あと5年あれば本物の絵描きになってみせたのに」と言ったとのこと。先日北斎の遺作となった作品をテレビで見たが、それはそれは素晴らしい絵だった。それでも北斎自身は、まだ半人前としか思っていなかったのだろう。偉人が言う言葉は違う。
何かを始めるのにも極めるのにも、もう遅いということはきっとない。あるのは老後だからこそ広がる可能性だけだ。
ぺこりーの コンサルタント・YouTuber
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