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「長男の嫁」が相続に口出し…遺言書だけじゃない、事前にできる〈4つの対処法〉

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月20日 11時45分

「長男の嫁」が相続に口出し…遺言書だけじゃない、事前にできる〈4つの対処法〉

(※写真はイメージです/PIXTA)

相続が発生すると、長男の嫁を筆頭にトラブルや困りごとが起こるケースは少なくありません。長男の嫁に遺産を相続させたいと考える場合、どのような方法があるのでしょうか。また、長男の嫁が相続に口出しをしてトラブルにならないようにするためには、事前にどのような対策ができるのでしょうか。愛媛県相続診断士会会長である浜田政子氏監修のもと、詳しく解説します。

法定相続人の範囲は? 「長男の嫁」は含まれるか

相続が発生した際に相続財産を誰がいくら相続できるのかは法律によって定められています。この法律は民法によるものであり、民法が定めた相続人を法定相続人といいます。

法定相続人に該当する人は、配偶者、子供、両親、兄弟姉妹になります。なお、被相続人の配偶者である夫や妻は常に法定相続人に該当しますが、法律上の婚姻関係にある配偶者に限定されており、婚姻関係のない配偶者は相続人になることができません。

法定相続人の範囲は上述した通りですが、長男の嫁は含まれるのでしょうか。

以下では、具体例を挙げて解説していきます。なお以下では相続人として、被相続人である両親、配偶者、長男、次男がいることを前提とします。

長男が健在な場合

長男が健在である場合の法定相続人には、両親、配偶者、長男、次男が該当し、長男の嫁は相続人には該当しません。

長男が亡くなっている場合(長男の子供あり)

長男が既に亡くなっている場合は、子供の子供(孫)が代わりに法定相続人になります。

被相続人が死亡した際に、被相続人の長男が亡くなっており、孫(長男の子供)がいた場合にはその孫が長男の代わりに相続人となります。これを代襲相続といい、その孫を代襲相続人と言います。  

この場合にも相続人は、両親、配偶者、長男の子供、次男が該当し、長男の嫁は相続人には該当しません。

長男が亡くなっている場合(長男の子供なし)

長男が亡くなっており、その長男に子供がいない場合には、両親、配偶者、次男の他に、被相続人の兄弟や兄弟の子供が相続人に該当する場合があります。この場合にも長男の嫁は相続人には該当しません。

また、兄弟間で仲が悪い場合などには相続争いなどのトラブルも発生する可能性がある為、事前に対策が必要になります。

長男の嫁に遺産相続させたい場合はどうするのか

息子の妻は法定相続人ではないため代襲相続人として遺産相続を受けることはできません。

長男の嫁に遺産を相続させるには、以下の方法があります。

遺言書を書く方法

長男の嫁は法定相続人ではないため、遺産を相続させることは基本的にできませんが、遺言書により遺産を相続させる事が可能です。

遺言書には様々な種類がありますが、自筆証書遺言は費用もかからず、手軽に作成出来るのでおすすめです。

自筆証書遺言の場合、遺言書を自宅に保管するケースが多く、遺言書を紛失してしまったり、改ざんされてしまう可能性があるため、法務局に遺言書を保管する自筆証書遺言書保管制度を活用することをおすすめします。また、自筆証書遺言書保管制度を利用する場合は、法務局が遺言書の確認も実施してくれます。

自筆証書遺言のほかに、公正証書遺言というものもあります。これは自筆証書遺言に比べて作成費用はかかりますが、遺言が無効になりにくく、検認が不要であるなどのメリットがあるため、遺言書の種類に悩む場合には専門家に相談するのがおすすめです。

生前贈与をする方法

長男の嫁に生前贈与をする方法もあります。

ただし、注意点として相続人でない人に生前贈与をしている場合に、相続開始1年以内に贈与していたものに対しては遺留分侵害額請求の対象となります。

そのような財産については、相続人が長男の嫁に遺留分を請求する可能性もあるため注意が必要です。

生命保険を利用する方法

生命保険金は、法律上では遺産とはならないため、生命保険の受取人固有の財産となります。

つまり、長男の嫁に遺産を相続させる方法としては、生命保険を利用する方法もあります。

特別寄与料を利用する方法

被相続人の親族が献身的に介護した等、労務の提供をした場合などには相続開始後に長男の嫁が特別寄与料を請求することができます。詳細内容については次章で説明します。

養子縁組する

被相続人が長男の嫁と養子縁組することにより法律上の親子関係ができます。ただし養子縁組した相続人以外の相続人が反発して相続トラブルになるリスクがあります。

特別寄与料と寄与分とは? 何が違うのか

相続が発生した際に、被相続人に生前、介護や看護などにより何らかの形で貢献した場合、相続財産を請求する事が出来る特別寄与料や寄与分というものがあります。

以下では特別寄与料と寄与分について解説していきます。

特別寄与料と寄与分とは

特別寄与料とは、民法改正により新しく設けられた制度であり、被相続人が生前に介護や看護などで相続人でない人が被相続人に貢献していた場合、その貢献に報いる制度です。

特別寄与料の請求権者となる要件は、

①親族であること

②相続人でないこと

③相続放棄、欠格、廃除により相続権を失った者でないこと

の3つで、被相続人に貢献していた場合には相続人でない人であっても貢献度に応じて金銭を相続人に請求する事が出来ます。

特別寄与料に似たようなものとして、寄与分があります。

共同相続人のうちで、被相続人の事業を手伝っていたり、あるいは被相続人に対して財産的な援助や、療養看護その他の方法により、被相続人の財産の維持または増加について、特別の寄与をした人がいるときは、その人の法定相続分にその寄与した分を上乗せします。

なお、寄与分は法定相続人のみ認められています。寄与分とは、被相続人に貢献した場合に他の相続人と比べて多く財産を受け取る事が出来る制度であり、特別寄与料と寄与分の違いは、相続人に限定しているかどうかといった点になります。

特別寄与料の請求要件

特別寄与料の請求要件は以下の3つすべてを満たしていることです。

要件①被相続人の親族であること

特別寄与料が請求出来るのは、被相続人の親族であり、相続人でない人になります。例えば、被相続人の兄弟や甥、姪、子供の配偶者などが該当します。

要件②被相続人に対して無償で療養看護などをしたこと

上記①の他に、生前、被相続人に無償で介護や看護などの役務提供を行ったことが必要になります。

要件③被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をしたこと

上記②をしたことにより、介護費などを支払わずに済んだ場合、被相続人の財産の維持や増加に貢献した事になります。

特別寄与料の請求金額について

特別寄与料の請求金額には明確な基準はありません。実務上は特別寄与料を請求する人と相続人とが交渉して請求金額を決めることが多いです。

しかし、請求金額がなかなか決まらずに揉めている場合には、特別寄与料の金額を決める一つの目安として、寄与分の金額の算定方法を参考にすることができます。

寄与分の算定方法として、家庭裁判所では相続人が被相続人の療養看護をした場合の寄与分を下記算式で求めることがあります。

第三者が療養看護を行った場合の日当額×療養看護の日数×裁量割合(※)

(※)0.5から0.8程度(裁量割合とは、療養看護を専門職としていない人が看護をした場合の割合を指します)

なお、特別寄与料を請求できる金額は上記算式により計算した金額が遺産総額を超えていた場合であっても、遺産総額の範囲内になります。

また、特別寄与料の請求方法としては、次の2つの方法が挙げられます。

 ①遺産を相続する相続人と直接交渉する方法

 ②家庭裁判所に「特別の寄与に関する処分調停」を申し立てる方法

「民法改正」で長男の嫁に特別寄与料や寄与分は認められるのか

民法改正により、これまでの相続人以外の人にも特別寄与料が認められることになりました。

上述したように、特別寄与料とは被相続人に生前、介護や看護をしたことによって被相続人の財産の減少を抑えることに貢献していた相続人以外の人が、被相続人の遺産を相続人へ請求することが出来るものです。よって、長男の嫁は本来であれば被相続人の財産を相続することは出来ませんが、特別寄与料として相続人に金銭を請求することが認められます。

特別寄与料と似たものとして、寄与分というものもありますが、寄与分は相続人に限定されているので、長男の嫁は寄与分を請求することは出来ません。

嫁が相続に口出し…トラブルになるケースは

相続発生により、長男の嫁が口出ししてトラブルになるケースはよくあることです。

ここではどういった場合が考えられるのか下記より紹介します。

・相続が発生時の被相続人の長男への相続財産が少ない場合、嫁が口出ししてトラブルになるケース 

・生前、長男の嫁が被相続人の面倒を見ていたケース

上記のような理由があれば、長男の嫁ともめる可能性もあります。そのため、事前に対策が必要です。その対策法に関しては後述します。

また、その他のトラブルとしては、被相続人が生前に長男の嫁に財産を渡していた場合でも、他の相続人が相続発生時に嫁へ生前贈与されていた財産を請求してくるケースも考えられるので、そのような場合にも税理士へ事前に相談する事をおすすめします。

相続に口を出す嫁への対処法

相続が発生し、長男の嫁が相続に対して不満を持つ際の対処法は下記になります。

・事前に遺言書で相続人を決めておく

・法律上の相続人を事前に明確にしておく

・生前贈与をして対策をしておく

・財産の遺留分を確定しておく

上記のような対策を事前に準備しておくことで、相続争いを避けることが可能です。

今後、日本は高齢化社会がますます進み、相続が発生する件数も増加します。相続は、早め早めに準備をしておくことが円満相続の鍵となります。

浜田 政子

愛媛県相続診断士会 会長

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