1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

「マンションバブルだからどんな物件も値上がりする」と思い込むのは危険…〈平成〉と〈今〉の不動産バブルで「明確に違うこと」【不動産のプロが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月17日 7時45分

「マンションバブルだからどんな物件も値上がりする」と思い込むのは危険…〈平成〉と〈今〉の不動産バブルで「明確に違うこと」【不動産のプロが解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産価格の上昇に関するニュースを見聞きして、「今はマンションバブルだから、どんな物件でも値上がりする」と思い込んでしまう人がいるかもしれませんが、果たして本当にそうなのでしょうか? 本稿では、不動産コンサルティング会社〈さくら事務所〉の創業者である長嶋修氏と〈さくら事務所〉の共著『マンションバブル41の落とし穴』(小学館)から一部抜粋して、今のマンションバブルの正体と価値が下がっていく可能性が高い物件についてご紹介します。

「平成」の不動産バブルと「今」のバブルは違う

200億円もするような超高額物件は異例としても、都心部には1億円を優に超えるマンションが多く、購入できる層は限られます。一般のファミリー層が現実的に購入できる物件を探すなら、もう少し都心から離れたエリアに照準を合わせる必要があります。

2024年現在、都心から少し離れたエリア(都内で、都心部に1時間以内で出られるエリア)のファミリー向けマンションの価格は、新築・中古ともに5,000万〜7,000万円台あたりがボリュームゾーンです。少し前までは3,000万円台から4,000万円台の物件もボリュームゾーンに入っていたことを考えると、やはり値上がりが顕著です。

とはいえ、昨今の価格上昇は平成バブルとは異なり、一部エリアの物件しか高騰していない「局地的バブル」です。

平成バブルの折には、交通の便が悪い郊外を含む広範囲のエリアで不動産価格が高騰しましたが、今は郊外で利便性の悪いエリアになると、価格上昇の動きは見られません。むしろ値下がりしている物件もたくさんあります。

この先、平成バブル期のように広範囲の不動産が値上がりする可能性は少ないでしょう。

さくら事務所では前々から、日本の不動産市場で「三極化」が進行していることを指摘しています。日本の不動産市場は次の「三極」に分類できます。

①価格維持・上昇の地域(全体の10〜15%)

②なだらかに価格が下落する地域(全体の70〜80%)

③限りなく無価値、あるいはマイナスの地域(全体の10〜15%)

今バブルになっているのは①の地域、つまり都心の好立地エリアにある駅前・駅近のマンションだけです。地方でも、そのエリアの中心都市における一等地や、インバウンド人気の高い観光地などでは、不動産価格が上がっています。

①と対照的なのが③の限りなく無価値、あるいはマイナスの地域ですが、面積としては①のエリアよりもずっと広くなります。過疎化、高齢化が進む地方の市区町村では空き家が増え続け、不動産価格はほとんどゼロに近づいています。もともと人口の少ない離島などでは、住戸の半分以上が空き家という極端な事例も見られます。

こうした空き家は売却してもほとんど利益にならず、逆に解体する費用が高くつくなどの理由で放置されています。もし、あなたが実家の相続などで空き家を所有しているなら、放置するのは危険です。近隣住民を悩ませる「特定空家」に指定されると、所有者は固定資産税の軽減措置対象から外れたり、解体費用を請求されたりすることがあるからです。

なだらかな不動産価格「下落」が予想される地域の共通点

バブル期に建てられたリゾートマンションのなかにも、発売当初に何千万円もしたものが、今や老朽化でほとんど資産価値がなくなり、住むための維持修繕費用のほうがずっと高くつくような負の資産、いわゆる「負動産」が数多くあります。

1960年代の高度経済成長期に、当時の住宅難への対応策として開発された全国のニュータウンにも、価格が下落している物件が少なくありません。都心部から離れていて駅からも遠く、老朽化が進んだ団地が多いのですが、居住している方の多くは高齢者です。

居住者が亡くなったり転居したりしても、次の入居者が見つかりづらいため、夜に近くを通るとほとんど明かりが灯っていない棟もあります。

①や③以上に多いのは、現状ではある程度価値を保っているものの、これからなだらかに不動産価格が下落していく地域です。

代表的なのは、都心から30〜40㎞ほど離れている、かつてのベッドタウンです。そこまで都心部から離れていないということで、従来は人気の高かったエリアでも、今後は高齢化・人口減少が進み、徐々に価値が下がっていく可能性が高いです。

駅から離れれば離れるほど、価格の下落幅は大きくなっていきます。よっぽど高い付加価値がない限り、マイホームは駅から近ければ近いほど良い、という価値観が大勢を占めます。以前は「徒歩10分以内」なら十分駅近というイメージでしたが、今は「徒歩7分以内」など、より駅近の物件を探す人が増加しました。

かつてはブランド力の高い街であれば、利便性に多少の難があっても高額物件が売れました。たとえば、長らく人気エリアとされてきた東京都の世田谷区には、昔からの高級住宅街が多く、なかには最寄り駅から20分以上離れたところもあります。

しかし、最近はそうしたエリアで、駅からの遠さがネックとなって、地価の下落が見られるように。緑豊かで閑静な住宅街が広がり、住環境は最高だとしても、駅から遠いと敬遠される傾向が強まっていることがわかります。

長嶋 修 さくら事務所 会長

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください