どうして!?…株価暴落局面、急いで「損切り」したのに(涙)。価格がアッサリ戻る、株式相場の切なすぎる実情【経済評論家が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月14日 9時15分
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(※写真はイメージです/PIXTA)
株価が上昇している局面では、投資家も楽しく相場を見守れますが、何かをきっかけに急落したらとても冷静ではいられません。そんなとき初心者は、慌てて株を売り払いがちですが、そんなときに限ってすぐに株価が戻り、悔しい思いをしてしまいがちです。なぜそのようなことが起こるのでしょうか? 投資経験豊富な経済評論家の塚崎公義氏が解説します。
株価はときに「暴落」するもの
平均株価は、ときに暴落します。悪いニュースが流れて暴落する場合もあれば、悪い噂が流れただけで暴落する場合もあります。その時々の市場の気分によっても、暴落するか否かは左右されるのです。
問題は、株価が暴落すると「売りたくない売り」等々がでてきて、株価が値下がりし続ける場合があることです。理屈では説明できないほどの値下がりに直面すると、投資初心者はなにが起きているのか理解できず、「この世の終わり」が来るような気がして「狼狽売り」をしてしまう場合も多いようです。
これは大変にもったいないことなので、ぜひ株価暴落が増幅するメカニズムを理解し、狼狽売りをしないですむように、心の準備をしておきましょう。
暴落すると「売りたくないのに売らざるを得ない」人が出てくる
値上がりすると思う人が買い注文を出し、値下がりすると思う人が売り注文を出し、両者が均衡した所に株価が決まる、というのが通常時の姿です。しかし、株価が暴落すると、「売りたくないのに売らされる」人が出てきます。そうした人の売り注文が、値下がりを加速させるのです。
たとえば、銀行からの借金で株を買っている人は、株価が暴落したとき「1,200円に値上がりすると思って1,000円で買った株が800円に値下がりした。さらに借金をして800円で株を買い増せば、大きく儲けられる」と思っているでしょう。しかし、銀行としては「株価が値下がりしたので、借り手が倒産するかもしれない。急いで返済を要求しよう」と考えるはずです。そこで、「買い増ししたいのに、借金返済のために泣く泣く売る」ということが起きるのです。
機関投資家のなかには、担当者に「損切り」のルールを課しているところも多いといわれています。「損失が一定以上に膨らんだら、持っている株を全部売って休暇を取って頭を冷やしてこい」というルールです。損失が無限に拡大するのを防ぐ目的なのでしょうが、担当者は悔しいでしょうね。上記投資家と同じ気分でしょう。
投資初心者、暴落でパニックとなり「狼狽売り」しがち
株価暴落が「売りたくない売り」を誘発すると、株価が理屈で説明しにくいほど値下がりすることがあります。そうなると、投資初心者のなかにはなにが起きているのか理解できず、「この世の終わり」が来そうな気がして狼狽売りをしてしまう人が少なくないのです。
とくに「だいぶ値下がりしたから、この値段で買えば儲かるだろう」と考えて買った投資初心者は、その後も値下がりを続ける株価を見てパニックになりがちです。これが一層株価を押し下げるので、一層多くの投資初心者がパニックになり狼狽売りをするのです。
投機家、狼狽売りを見越して「予め売っておく」ケースも
このように、ひとたび株価が暴落すると、暴落が暴落を加速させるメカニズムが働く場合があります。それを知っている投機家たちは、株価が最初に暴落した時点であらかじめ持っている株を売っておく場合があります。
本稿のなかでは暴落、売りたくない売り、狼狽売り、投機家の売り、の順番で登場しましたが、実際の売りの順番は暴落、投機家の売り、売りたくない売り、投資初心者の売り、です。
初心者が狼狽売りすると株価が戻るワケ
投資初心者が狼狽売りを終えると、株価がスルスルと戻っていく場合が少なくありません。売りたい人はすべて売り終わっていて、売り注文がほとんど残っていないため、少量の買い注文でも株価が大きく上がるからです。
投機家たちは、あらかじめ売っておいた株と同じものを、売ったときよりはるかに安い価格で買い戻せるでしょう。機関投資家の担当者も、休暇から戻って来て売ってしまった株を買い戻すでしょう。借金で買っていた投資家たちも、株価が戻れば銀行が融資を再開するので、再び買うかもしれません。
狼狽売りをした投資初心者だけは、「ええっ、どうして!?」「もう、株なんかコリゴリだ。二度と買わない!」などと考えるかもしれませんが、これは大変にもったいないことです。狼狽売りで安く売ってしまったことに加えて、将来にわたって株式投資で儲けるチャンスを自ら放棄するわけですから。
損切りはすべきだが、狼狽売りは避けるべき
平均株価が暴落したら、まず深呼吸して落ち着きましょう。そして、過去数十年の平均株価のグラフをじっくり眺めましょう。そして考えましょう。「過去、何度も暴落したが、そのたびに戻って来た。今回に限って戻らないと考える理由はあるだろうか」と。
多分、理由を思いつかないでしょうから、今回も戻るだろうと信じて売らずに持ち続けましょう。
以上は、平均株価の話ですが、個別株が暴落したときには、「損切り」をするべき場合も多いので、平均株価の話とは分けて考えましょう。その話は別の機会に。
最後に、平均株価が1,000円程度下がっても、暴落とは言いません。株価が3%下がるたびに騒いでいては、過去の暴落に笑われてしまいます。平均株価が短期間で1割以上下がったら、騒いでも笑われないと思いますが。
本稿は以上ですが、投資判断等は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があります。
筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「THE GOLD ONLINE」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。
塚崎 公義 経済評論家
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