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亡き母の相続手続き「出生から死亡までの戸籍謄本」の収集に疲労困憊…なぜ必要なの?【相続専門税理士が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月10日 11時15分

亡き母の相続手続き「出生から死亡までの戸籍謄本」の収集に疲労困憊…なぜ必要なの?【相続専門税理士が解説】

(画像はイメージです/PIXTA)

相続手続きの際、銀行預金の解約や不動産の相続登記など、ほとんどの場面で「戸籍謄本」の提出が求められます。ここでは、相続時に必要となる戸籍謄本の種類や記載内容、入手の方法や費用について見ていきます。公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

相続手続きに必要な「戸籍謄本」…その取得方法は?

先日、母が他界しました。これから相続手続きに着手しますが、知人から「〈お母さんが生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本〉を全部集めるのが一苦労だよ?」といわれました。実際やってみると、本当に大変でウンザリしています。この作業はなぜ必要なのでしょうか? 40代会社員(横浜市港北区)

戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場、実家がある街の役場でしか取ることができませんが、本籍地の市区町村役場が遠い場合には、郵送で請求することができます。コンビニ交付に対応している場合は、セブンイレブンやローソンなどのコンビニの機械からも取得することができます。

しかし、今回のケースは、それだけでは完了できません。なぜなら、亡くなった方の戸籍謄本は「出生から死亡まで」のものを揃える必要があるからです。

被相続人の出生→死亡まで、連続した戸籍謄本が必要

なぜ、出生から死亡までの戸籍謄本をそろえる必要があるのでしょうか?

それは、亡くなった人の相続人を調査して、相続人を確定するためです。そのためには「生まれてから亡くなるまで」の間、いつ身分に変動があったか、出生から死亡までのすべての連続した戸籍謄本を集めて調査する必要があります。

結婚したり、離婚したりすると戸籍は変動しますし、養子縁組をしても変動します。これらをすべて連続させて、死亡から出生まで遡ります。

「相続人は私たちきょうだいしかいない」と思っていても、戸籍を調べてみると、片親違いのきょうだいの存在が判明するなど、想定外の法定相続人が見つかることもあります。

たとえば、母親が養子に入っていた場合、死亡時の戸籍謄本から、その前、さらにその前とひとつひとつ遡って、「改製原戸籍謄本」「除籍謄本」を取り寄せる必要があります。

手順は以下の通りです。

①被相続人の最後の戸籍謄本または除籍謄本をとる

②そこに記載されている内容を読み、その前の改製原戸籍謄本、除籍謄本の本籍地などを読み解き、ひとつずつ順番に古い戸籍に遡り、本籍地の市区町村役場に請求していきます。

③そこから順次遡り、出生まですべての戸籍を揃える

逆に、相続人の戸籍謄本は、相続人が健在であることを示すためのものなので、出生まで遡る必要はなく、現在の戸籍謄本があれば大丈夫です。戸籍謄本でなく、戸籍抄本でも問題ありません。

被相続人の「除籍謄本」「改製原戸籍」とは?

「除籍謄本」

亡くなった人の戸籍謄本は、配偶者や親族が同じ戸籍にいなければ、「除籍謄本」と呼ばれます。つまり、除籍謄本とは、記載されている人がすべて抜け出して誰もいなくなってしまい、閉鎖された戸籍の写しのことです。

「改製原戸籍」

「改製原戸籍」は〈かいせいげんこせき〉と読むこともありますが、〈かいせいはらこせき〉と読まれることが多いです。戸籍は、コンピューター化する前は紙で保存されていました。この紙の記録が「改製原戸籍」と呼ばれています。また、戸籍法の改正で、記録が新しい様式に書き換えられると、書き換え前の戸籍のことを、改製原戸籍といいます。

被相続人の「戸籍抄本」「戸籍全部事項証明」とは?

「戸籍抄本」

戸籍抄本とは、戸籍に記載されている方のうち1人の身分事項を証明するものです。戸籍謄本と戸籍抄本で証明される身分事項に違いはありません。

「戸籍全部事項証明」

戸籍全部事項証明とは、戸籍謄本のことです。名称が変わっただけです。また、戸籍個人事項証明は戸籍抄本のことです。

戸籍謄本の取得に必要な書類と、かかる費用

市区町村役場で戸籍謄本を取るときに必要な書類は「戸籍交付申請書」と、運転免許証・パスポート・マイナンバーカードなどの本人確認書類、そして印鑑です。印鑑は認印で構いません。

戸籍謄本の発行料金は、一般的に戸籍謄本が1通450円、除籍謄本が1通750円、改製原戸籍は1通750円です。

ちなみに相続手続きには、住民票の除票や印鑑登録証明書、固定資産税証明書も必要になりますが、いずれも1通300円です。

市区町村役場で手続きする前に、戸籍謄本の提出先が何カ所になるか、事前に確認しておいて、必要部数を数えておきましょう。

金融機関、法務局、税務署など、複数の提出先があるので、少し余裕を持って取得することをお勧めします。

遠方の市区町村役場に、郵送で申請する方法

郵送で戸籍謄本を取り寄せる場合、「戸籍交付申請書」に、本籍地、戸籍筆頭者、亡くなった人の氏名を正確に書きます。

使いみちは「相続手続き」としてください。備考欄など具体的に説明できる場合には、「被相続人の出生から死亡までの戸籍が必要」と記載すればいいです。

手数料は「定額小為替」を郵便局の窓口で買い、指定受取人などの記載欄には何も書かず、払渡票は切り取らずに、郵便局から受け取ったままの状態で送ります。

それに加え、切手を貼って返信先を記入した返信用封筒も同封する必要があります。

戸籍謄本の代わりになる「法定相続情報一覧図」

相続手続きをおこなうとき、金融機関や税務署や法務局など、戸籍謄本を提出する公的機関がたくさんあります。

そこで、法務局の「法定相続情報証明」をもらうと便利です。

相続人が戸籍謄本を集めて「法定相続情報の一覧図」を作成し、それに被相続人の住民票の除票、相続人の現在の戸籍謄本を一緒に法務局に提出すると、法務局が無料で認証印を付けてくれます。

この法定相続情報一覧図を法務局で作ってしまえば、無料で必要な枚数を取得できるので、同時並行して相続手続きをおこなうことができるようになります。

岸田 康雄 公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)

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