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「おふくろ、ありがとう。」亡き母、長男の自分を「生命保険金の受取人」に指定していたが…保険会社への請求手続き・相続時の扱い・その他、押さえておくべき注意点【相続専門税理士が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月13日 11時15分

「おふくろ、ありがとう。」亡き母、長男の自分を「生命保険金の受取人」に指定していたが…保険会社への請求手続き・相続時の扱い・その他、押さえておくべき注意点【相続専門税理士が解説】

(画像はイメージです/PIXTA)

亡くなった方の生命保険(死亡保険金)の請求手続き、そして相続手続きは、人生で何度も経験するものではありません。ここでは多くの人が疑問を持ちやすい保険金の請求手続きのほか、相続における保険金の扱いの基本を見ていきます。公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

「亡き母が私を生命保険(死亡保険金)の受取人に…」

先日、母が亡くなりました。実家を整理していたところ、生命保険の保険証券を発見しました。長男である私を受取人としたものだったので、死亡保険金を受け取りたいのですが、どのようにして死亡保険金を生命保険会社へ請求すればいいのでしょうか。また、ほかのきょうだいを受取人とした生命保険はないようです。それを踏まえたうえで、注意点や手続きの方法について教えてください。  

50代 会社員(蕨市)

生命保険金の受け取りは、人生で何度も経験することではありません。そのため、どういった手続きをすればいいか、迷われる方も多いでしょう。

ただでさえ相続手続きに追われているところ、生命保険の請求まで…となれば「いっそ誰かに代理申請を頼みたい!」と思われるかもしれませんが、生命保険は基本的に「受取人として指定されている方」が請求手続きをおこなう必要があります。

ただし、契約者と被保険者が異なり、契約者ではない別の人が受取人の場合は、受取人のほかに契約者も請求することも認められています。また、「指定代理請求人」が指定されている場合には、代理人が請求できる場合もあります。

相続時の生命保険(死亡保険金)には請求期限がある

死亡保険金の請求には期限があり、3年で請求権は時効で消滅してしまいます。

被相続人の死後10ヵ月以内に完了させなければいけない相続税の手続きと比べて、まだ余裕があるように思いますが、死亡保険金は相続税の課税対象であるため、契約者と被保険者が同じ人であり、受取人が相続人である場合、早急な手続きをおすすめします。

生命保険(死亡保険金)の請求に必要な書類

死亡保険金の請求手続きに必要となる書類は、被保険者に関する書類として「保険証書」「戸籍謄本または住民票の除票」「死亡診断書」などがあります。

また、受取人に関する書類としては「本人確認書類」「戸籍謄本」「印鑑証明書」、また「生命保険会社への支払請求書」も書くことになります。支払請求書や必要となる書類は生命保険会社によって違いがあるため、請求手続きをおこなう際にホームページ等で確認をしたうえで用意してください。

生命保険金(死亡保険金)は相続財産? 非課税枠は?

死亡保険金は相続財産ではありませんが、上述の通り、亡くなった方が保険料を支払っていた場合は相続財産とみなされ、相続税がかかります。

とはいえ、生命保険は遺族の生活を支えるものなので、一定額までは非課税となっています。具体的には、「法定相続人の数×500万円」までは非課税で、その枠内であれば相続税は発生しません。

もし法定相続人が3人であった場合は、「500万円×3人」となり、1,500万円までは相続税はかかりません。相続人の数が多いほど非課税枠は増え、有利だといえます。

相続放棄しても、死亡保険金は「受け取れる」が…

もし、被相続人に借金などがあり、相続放棄を選択した場合でも、死亡保険金の受取人に指定されていたのであれば、受け取ることはできます。

しかし、相続放棄すれば「相続人という立場を放棄した」ことになるため、非課税枠は使えなくなり、死亡保険金の全額に相続税がかかることになりますので、注意が必要です。

もし受取人が先に死去したら…?

もし、受取人として指定されていた方が、被保険者よりも先に亡くなり、受取人の変更手続きをおこなわないまま、被保険者も亡くなった場合はどうなるのでしょうか。

手続きなどをしないまま、受取人が遺言書で次の受取人を指定していればその方が受取人になりますが、そのような指定もない場合、先に亡くなった受取人の法定相続人が、死亡保険金の受取人となります。本来の受取人に法定相続人が複数いた場合は、法定相続分ではなく、均等に分けて受け取ることになります。

契約者が「被相続人ではない」場合の相続手続き

念のための情報として、さらに変則的なケースについて見ていきましょう。もし相談者の方の例で「契約者と受取人が母親、被保険者が相談者」という生命保険に加入していたとしたら、一体どうなるのでしょうか?

子どもが親より先に亡くなることを想定した生命保険契約はあまり聞かないのですが、それでもまれに契約があるようです。その場合、母親が亡くなると、保険契約の権利は子どもに相続されるので、相続発生日の解約返戻金相当額が「生命保険契約に関する権利」として相続財産となります。そして、生命保険契約は、相続人全員が共有する財産となり、契約が継続することになります。

相続税ですが、解約返戻金相当額が相続財産になるため、当然かかってきます。ただし、死亡保険金のような非課税枠の適用はありません。解約して返戻金を受け取った場合でも、非課税枠の適用はありません。

また、相続人が複数いるとしても、契約を共有することはできません。相続人のなかの1人が、契約の契約者となって継続するか、それができないなら、契約を解約することになります。

契約を継続する場合は、被保険者である子どもを契約者とし、受取人を契約者の子どもに変更するのが一般的なやり方だといえます。

死亡保険金の受取人、きょうだいで自分ひとりだけ…

死亡保険金に関連する、相続トラブルに発展しやすい事項として「きょうだいのうち、1人だけ死亡保険金の受取人に指定されている」というケースがあります。このような場合は、受取人以外のきょうだいが不満を抱きやすく、トラブルに発展する可能性があります。

そのような場合、相続財産で調整し、不公平感を減らすことが、トラブル回避の手段となります。遺産分割協議の際に申し立て、話し合うことをおすすめします。

「ほかにもまだ、保険契約があるかも…」探す方法は?

上記のようなケースで、実はほかの相続人を受取人にした保険契約もあったが、相続人がそれを知らないだけ、というケースもあります。

亡くなった方が遺言書を書いていた場合は、どのような保険契約があるのかを知ることができますが、遺言書がない場合、相続人が自ら探し出す必要があります。

では、どうすればいいのかというと、地道な方法ですが、被相続人の遺品のなかに保険証書がないかよく探したうえで、なにかしらの保険契約の手がかりが残されていないか調べていくのです。

保険契約の手がかりとは、保険会社からのハガキ等のほか、預金通帳に生命保険料の引き落としの記録があれば、保険契約があると考えられます。また、確定申告書に生命保険料控除の記載があれば、そこも手がかりになります。どうしても手がかりが見つからない場合は、相続人が生命保険会社に問い合わせることもできます。

岸田 康雄 公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)

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