1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

「安い土地を買って高い建物を建てる」→節税効果はMAXだが…孫の代まで迷惑が降りかかる「トラブルの種」に。いったいなぜ?【不動産投資のプロが解説】<br />

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月11日 7時45分

「安い土地を買って高い建物を建てる」→節税効果はMAXだが…孫の代まで迷惑が降りかかる「トラブルの種」に。いったいなぜ?【不動産投資のプロが解説】&lt;br /&gt;

(※写真はイメージです/PIXTA)

「不動産投資」と聞いて、不動産投資の経験があったり、興味を持っている方のなかには、「節税」のイメージが思い浮かぶかもしれません。富裕層にとっての昨今の流行でもあるでしょう。しかし、訳も分からず不動産を購入しようとすると、逆にリスクを被ったり、損をする恐れがあります。今回は、株式会社プラン・ドゥの代表・杉山浩一氏の著書『新富裕層のための本質的不動産投資』(明日香出版社)より一部を抜粋し、ご紹介します。

「安い土地に高い建物を建てて節税対策」は大間違い

不動産投資というと、何はさておき「節税対策」というキーワードを思い浮かべる人も少なくありません。たしかに、不動産を購入すれば節税対策にはなるでしょう。

しかし、節税を目的に不動産を購入しようとすると、何が正解なのか分からない世界に迷い込んでいくことになります。少なくとも私はそう確信しています。とはいえ、節税の件に少し踏み込まなければ私の想いも伝わりにくいと考えますので、簡単にではありますが説明していくことにします。

ご存じの通り、不動産投資による節税には2つの軸があります。

1つ目の軸が「減価償却によって所得税を減らす」というものであり、もう1つの軸が「相続税を減らす」です。

これら2つの観点から不動産投資は節税に大きな効果がある、そんな謳い文句を耳にされた方は多いのではないかと拝察します。もちろん、節税効果があること自体は事実です。問題はそれが不動産投資の本質かどうかという点です。この点を見極めるには、それぞれの仕組みについて理解を深める必要があります。

まずは、減価償却から見ていくことにしましょう。大前提として、減価償却するのは建物だけで土地は減価償却しないということを改めて理解する必要があります。土地の相続税価格はあくまでも路線価によって決まり、年数等によって自動的に目減りするような性質のものではないからです。

ここから、単純に減価償却だけを考慮に入れるのであれば、「評価の低い土地に評価の高い建物」の組み合わせが最も高い節税効果を狙えます。しかし、ここに1つ目の罠が潜んでいます。

つまるところ、「評価の低い土地」とは価値の低い土地です。良い土地は、上物が傷むたびに建て替えながら、何代にもわたって活かし続けることができます。そのような良い土地が脈々と受け継がれていくことは、土地を入手した人にとっても、子孫にとっても、そこで暮らす入居者にとっても、多くの幸せをもたらします。

「安い土地に高い建物を建てて節税対策を!」

そんな考え方に縛られて、価値のない土地を入手するという行いは、自分だけでなく、子孫の代にも累が及ぶトラブルの種を抱えるようなものです。

相続税評価が時価を上回っても心配はない

続いて、相続税というもう1つの軸について見ていきます。

不動産投資による節税を、「相続税を減らす」という方向で考えている人たちの中には、「路線価は低いが(=相続税評価は低いが)、時価が高い」土地を狙う人もいます。相続税評価と時価に乖離があればあるほど、節税効果が高いからです。

もう少しかみ砕いて言うと、

「時価は2億円もするけれど、路線価相続税評価としては1億円しかないから、同じ相続財産として残すなら現金2億円を使って評価1億円の土地を買った方がいい」

という考え方です。

さらに借り入れをして土地を購入すれば、節税効果はよりいっそう高まります。たしかに、こうしたやり方で高い節税効果を見込めるケースもあります。それでも、相続税評価の低い土地は路線価の低い土地であるという事実は、どこまでも付きまといます。

節税を目的としたばかりにわざわざ路線価の低い土地を購入する。それ自体にどのような意味があるのかと言われれば、私自身は答えに窮します。

当然のことですが、価値あるものには押しなべて高い値段が付きます。良い土地とはやはり、路線価評価が高い資産価値が高いものなのです。そもそも、土地の相続税評価は時価の8掛けで計算します。

節税に関してはそれで十分と考え、収入に応じてしかるべき税金を支払い、価値のある土地を手に入れて、社会にとって良い形で運用したうえで子孫に残していくという考え方が、どこまでも王道であると私は確信しています。

さらに言えば、子孫に残すことを考えたときには、相続税評価と時価が逆転し、むしろ相続税評価の方が高い土地でもよいくらいだと思っています。

繰り返しにはなりますが、目先の節税だけを最優先に考えて、相続税評価の低い土地を狙っていくと、「価値のない土地を高く買う」というおかしな事態が起きてしまいます。言葉を選ばずに言えば、「結局のところ、損をしている」ことになります。

残されても嬉しくない、むしろ処分に困るような土地を子孫に残して迷惑をかけるのは、誰にとっても望むことではないと考える次第です。

法の抜け穴を狙った節税はNG

時価と相続税評価の極端な乖離を活かして節税効果を狙う。そんな「抜け道」のような事例に対しては、「路線価評価が著しく不適当である」との判断が最高裁で下されてもいます。税に対する考え方は社会の状況により変化していきます。

その意味でも、あまりに軸を傾けるのは危険であると言えます。また、銀行をはじめとする金融機関は一般に、資産管理会社の資産を、相続税評価による積算評価で評価します。

こうした点からも、節税目的のリスクを感じ取っていただければ幸いです。法の抜け穴を狙ってまで目先の節税のために奔走するというのは、この資本主義社会を実力で生き抜いて、資産を成してきた新富裕層の方々にはふさわしくない。僭越ながらも、私は常にそう思って仕事をしています。

こうした価値観に共感していただける方々と共に、社会に対して大きな価値を提供していきたいと考えています。このような考え方は、何も不動産投資に限ったものではありません。多くの方が本業を通じて日々体現されているものだと理解しています。それを不動産投資においても、そのまま継続していただきたいわけです。

これから物件を買おうとしている自分の目的は何なのか? 単なる節税なのか。それとも、良い土地を活用し、社会を豊かにしていくことなのか? 不動産の購入はその人の生き方が表れます。だからこそ、新富裕層の方々には、本質としっかりと向き合い、判断していただきたいと思っています。

杉山 浩一 株式会社プラン・ドゥ 代表取締役

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください