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就職氷河期世代の40代男性、転職先でも罵詈雑言から逃げられず…「一度郷里に戻ります」いまなお消えない〈パワハラ企業〉のイヤすぎる実情

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月10日 11時15分

就職氷河期世代の40代男性、転職先でも罵詈雑言から逃げられず…「一度郷里に戻ります」いまなお消えない〈パワハラ企業〉のイヤすぎる実情

(※写真はイメージです/PIXTA)

令和になってもまだ一掃されない「パワハラ体質」の職場。残念なことに、転職したからといって、簡単に逃れられるケースばかりではないようだ。実情を見ていく。

「パワハラを受けたことがあるか」の問いに、「ある」65.5%

振り返れば、昭和時代はビジネスシーンにもプライベートにも「ハラスメント」があふれていたが、令和のいま、人々の意識改革が進み、ハラスメント予防への積極的な取り組みがなされるようになった。

だが、現実問題はどうかというと、一見見えにくくなっただけで、実際にはあちこちで根深い問題として残っているように見える。

株式会社ワークポートは、全国の20代~40代の男女を対象に行った『パワハラ被害の実態についてのアンケート調査』を実施している。これによると「現在の勤務先(または直近の勤務先)で、パワハラを受けたことがあるか」の問いに対して、実に65.5%が「ある」と回答している。内容の最多は「暴言・侮辱(言葉の攻撃)」で78.5%だった。

◆受けたことのあるパワハラ…上位7

1位 「暴言・侮辱(言葉の攻撃)」78.5%

2位 「能力の過小評価・成果を認めない」44.3%

3位 「過剰・過酷な業務の強制」:37.2%

4位 「無視・仲間外れ」31.2%

5位 「業務をさせない・与えない」26.6%

6位 「労働者の権利侵害」25.6%

7位 「プライベートの介入」25.2%

※複数回答

また「パワハラを受けたときどうしたか」の問いには、「誰にも相談せず我慢」が最多で46.4%。ほかには、上司や家族・友人、同僚などに相談をしている。しかし「パワハラ対処後」について聞いたところ、「解決しなかった」が59.1%、「誰にも相談せずに我慢した」が28.9%。結局「解決した」はわずか12.0%に過ぎなかった。

さらに「勤務先(または直近の勤務先)でパワハラ防止に関する取り組みが行われているか」と聞いたところ、「はい」は44.3%と、半数以下だった。

この結果から、いまだにパワハラで悩んでいる人は少なくないと推察される。

厳しいノルマに人格否定、逃れた先でもまた…

40代の男性は深くうなだれる。

「ブラック企業をどうにか退職したのですが、生活に行き詰りまして。給料を妥協して就職した先は、もっとひどいブラック企業でした…」

男性は独身で、横浜郊外のアパートにひとり暮らし。郷里の実家では、年取った両親と兄家族が同居している。

「私は営業職です。ノルマのきつい仕事ですが、転職した直後は、まだ従業員にも一体感があり、やりやすかった記憶があるのですが…」

男性が入社して3ヵ月、部署をまとめていた上司が退職し、別の上司が配属されてきた。新しい上司は非常に威圧的で、成績が出せないスタッフに対し、すぐに大声をあげて威嚇した。それだけではなく、数字が取れない部下を執拗に追い込むようなこともした。

「数字が出せないスタッフには、〈振り返りレポート〉といって、なぜ数字が取れないのか、外に出ている間、どんなことにどれほど時間をかけているのか、それに対して自分でどう思っているのか、すべて事細かく記入・報告させるのです」

「成績が上がらない私も、しょっちゅう記入を求められました」

しかしあるとき、男性は多忙のため、いつもより記述が粗いものを提出してしまった。すると上司は、全員の前でそれを読み上げ、人格否定する激しい言葉を並べ続けた。

「周囲のスタッフは、矛先が自分に向かないよう、どんな罵詈雑言が響いても黙っていました」

「これまで3回転職しています。いまの職場の前も営業でしたが、成績が出せないと、罵詈雑言を浴びるのは同じ。ですが〈振り返り〉がなかっただけ、前職の方がマシだったかも…」

ブラック企業に新卒で入社した就職氷河期世代のなかには、激しいパワハラ被害を経験している人もいるようだ。ある金融会社では、下記のような行為がまかり通っていた。

●朝礼で伝えた金額が達成できていないと、夕礼で怒鳴られる、ときには頭等を叩かれる

●電話営業のノルマがこなせないと、傘や灰皿(アルミ製のもの)が投げつけられる

●成績があげられない状況が続くと、全員の前で「私はダメ人間です」といわされ、土下座を強要される

●顧客と握って会社を欺き、契約ノルマが達成できたかのように見せかける従業員もいる

「もう、仕事をやめようと思います…」

だが、懸念事項がある。やはり「給与」だ。

転職により給与が減少した人、3割

厚生労働省『令和5年上半期雇用動向調査』によると、転職によって給与が増加したのは38.6%。1割以上の増加は27.2%だった。一方で転職により給与が減少したのは33.2%で、1割以上の減少は25.8%だった。

年齢別では、転職による給与アップは年齢が上がるにつれて減少傾向にあることがわかる。一方、「転職による給与減」の割合は30代後半をピークにした減少するも、定年間近の50代後半では再び上昇する。

◆年齢別「転職による給与増減」の割合

20代前半:54.0% / 19.3%

20代後半:47.7% / 22.3%

30代前半:47.4% / 32.6%

30代後半:40.8% / 31.4%

40代前半:43.9% / 26.1%

40代後半:38.0% / 28.1%

50代前半:25.3% / 38.1%

50代後半:30.2% / 35.8%

※数字の左が給与増・右が給与減

男性は悩んだ結果、退職して、まずは一度郷里に帰ることにしたという。

「両親と兄が〈いいから一度帰って来い〉といってくれて…」

仕事は生活の糧だが、人生そのものを損なう結果になっては元も子もない。幸せの根本は、心身の健康があってこそ。まずは家族のもとで健康回復に努めるのも、状況によっては、最もメリットある選択肢となるのではないだろうか。

[参考資料]

株式会社ワークポート『パワハラ被害の実態についてのアンケート調査』

厚生労働省『令和5年上半期雇用動向調査』

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