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言葉は真実を伝えているとは限らない…対人関係で相手の心を開き、信頼関係を構築するために効果的な〈接し方〉 

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月10日 16時15分

言葉は真実を伝えているとは限らない…対人関係で相手の心を開き、信頼関係を構築するために効果的な〈接し方〉 

社内コミュニケーションにおいて、相手のことを理解するための“聴く”能力が重要です。新人指導をする際には「傾聴」と「質問」の二つの聴くテクニックを活用することで、円滑なコミュニケーションが可能になります。JMAM「基本能力研究会」の著書『新人指導の教科書』(日本能率協会マネジメントセンター)より、詳しくみていきましょう。

「聴く」は2つの意味をもつ

一方的に何かを教えるより、質問を投げかけ、相手の気づきをうまく利用しながら教えていくと、理解がスムーズになるばかりでなく、教えられたほうもやる気が出るものです。

こうした教え方の手法を、「コーチング」といいますが、コーチングの手法は、今日、ビジネスの幅広い場面で取り入れられています。

この手法で、特に重要となるのが「聴く」です。話すことが情報提供のスキルだとすれば、聴くことは情報収集のスキルであり、相手を認め、受け入れるという重要な働きかけの手段です。相手の知識はどれほどか、やる気はどうか、期待される答えはどのようなものかなどを知り、相手に合った最適なアプローチをするには、「聴く」姿勢がとても重要になるのです。

「聴く」姿勢には、2つの意味があります。

1つは、相手の真意を理解しようとして、話に耳を傾けるという意味です。自然に聞こえてくる“聞く(hear)”と区別し、理解しようとして“聴く(listen)”ことをいいます。

もう1つは、より積極的に相手を知るために尋ねる、質問するという意味での“聴く(ask)”をいいます。つまり、聴く技術には、「傾聴」と「質問」という2種類のスキルがあることになります。

これらを区別して意識的に使うことで、みなさんは新人の情報を収集し、相手の立場・状況を認めて指導することができるようになります。

相手の真意をつかむ――「傾聴」

言葉は真実を伝えているとは限りません。たとえば、新人に仕事を説明し、理解を確認したときに、「はい」という返事が返ってきたとします。「はい」と言われれば、「承知しました」ということなのだと受け止めるでしょう。

ところが、目を見てはっきりと答える「はい」と、浮かない顔で語尾が下がるような小声での「はい」では、同じ返事であっても異なります。後者の場合は必ずしも納得したうえでの了解を伝えているとはいえません。

新人の表情や口調、しぐさなどに注意して、どのような気持ちであるかを読み取ることも必要です。言葉で「何を」言ったということよりも、「どのように」言ったかを重視することが、相手の気持ちを知るうえで重要なのです。

実際に、「さっき、はいと答えたばかりだろう!」などと語気を荒らげる人を見かけることがあります。相手の気持ちを察知できる人なら、「何か気になることがあるの?」と、相手の状況に配慮する言葉が出てくるものです。後者の言動のほうが、相手の心を開き、信頼関係を構築することにもつながるでしょう。

コーチングは、教える側が上の立場に立って一方的に教えるのではなく、人として、対等に向き合うものです。だからこそ、「聴く」ことが特に重要になるのです。傾聴のスキルを身につけるかどうかで、新人の理解度も大きく変わってくるのは明らかです。

傾聴のスキルを磨くためには、基本的な態度と動作の2つの側面をチェックすることが大切です。態度と動作を意識し、実際にやってみることで、自然に磨かれていきます。

①傾聴するときの3つの態度

相手の真意をつかむには、事前の心がまえが大切です。単なるテクニックではなく、相手に対するつぎの3つの態度がもっとも大事です。

●相手に共感的態度を示す

●独断・先入観を捨てる

●今、この場だけを見る

②傾聴するときの3つの動作

いかに真剣に相手の話を聴いているかをつぎの3つの動作で示すと、相手との心の垣根を取り除くことができます。最初はぎこちなさを感じるものですが、打ち解けるにつれて、無意識にできるようになります。

●相手の表情や身体の動きを見る

●うなずきやあいづちなど、相手の話にリアクションをする

●ときどき質問して、話をきちんと聴いていることを示す

積極的に相手を知る――「質問」

指導の場面では、「質問」をうまく使うことで、新人の理解度を的確に把握することができます。

質問は、単にわからないことを聞くためだけの手段ではありません。テーマに興味をもたせたり、自分で考えさせたり、相手の状態を知るなどの目的もあります。話し方や傾聴のスキルとあわせて活用することが大切です。

質問の目的に応じて、発問のパターンにもさまざまなものがあります。ワンパターンにならないよう、場面や相手の理解度に応じて質問の仕方を変えていくとよいでしょう。

以下、質問する際の留意点をまとめておきます。

留意点① 相手が答えられる質問をする

正しく答えられるかどうかは別にして、相手が経験している範囲で答えられる質問に限ることが大事です。新人ですから、答えられないことで、人によっては自信をなくすこともあります。特に、集団のなかで質問をするときには経験をしている内容を確認しながら質問するように注意しましょう。

たとえば、「電話応対の基本的な受け答えについては、入社時の研修でやってみましたね(確認)。実際に職場ではどのくらい電話応対をしてみましたか?」

留意点② 明快な表現にする

意味のつかみにくい質問は避けます。

たとえば、「今の仕事はどう?」という質問をされても、「やりがいを感じているかどうか」を聞いているのか、「困っていることはないか」を聞いているのか、相手は困ってしまいます。何を聞こうとしているのか、相手がわかる質問を心がけるようにしましょう。

留意点③ 質問のレベルを考える

やさしすぎる質問は、その裏に別の意図があるのではないかと、警戒心をもたれることがあります。逆に、難しすぎる質問は、相手との心理的距離をつくることになり、興味をなくしてしまうおそれがあります。相手の理解度の確認のために、質問として、やさしいか難しいかを聞いてみることも必要でしょう。

留意点④ 「どう思う?」は濫用しない

「どう思う?」という質問は、そのときどきの新人の気持ちや意思を確認するために有効ですが、一方で、答えがばらつきやすい質問でもあります。

相手が本題に集中していないときは、答えが主旨からはずれる危険もありますから、濫用しないように注意しましょう。

留意点⑤ 質問は1回に1つの内容

質問をするときは、1回の質問に1つの内容というのが原則です。答を待ってからつぎの質問に進みましょう。

あれもこれもと質問を浴びせても、質問された側は何を答えればよいのかわからなくなり、頭を混乱させるだけになってしまいます。

留意点⑥ イエス・ノーで終わらない

「イエス・ノー」の選択式の質問は、相手にとってもっとも答えやすい質問です。たとえば、「この作業が、なぜ大切だと思う?」のような質問だと難しくて答えられない場合もあるので、まず「イエス・ノー」で答えられる質問をすることも大切です。

ただし、「イエス・ノー」だけでは考えが深まりませんし、質問自体の意義も薄れてしまいます。相手に考える習慣をつけさせるためには、「どうして、イエスなの?」といった答えの理由を続けて質問することが大切です。

JMAM「基本能力研究会」

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