年金「14万円」、老後破産へのカウントダウン…「自助努力」の裏にある現実
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月10日 17時0分
![年金「14万円」、老後破産へのカウントダウン…「自助努力」の裏にある現実](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goldonline/goldonline_61927_0-small.jpg)
(※写真はイメージです/PIXTA)
将来の生活への不安が増すなか、投資による資産形成を促す声が高まっています。「貯金だけでは食っていけない時代」になった……ともいえますが、新NISAや個人型確定拠出年金(iDeCo=イデコ)に過度な期待をしすぎるのも考えものです。
高齢化社会「年金足りず老後破産」の現実味
国民年金受給者の「老後破綻」の話を聞くと、「ウチは厚生年金をもらえる。ずっとサラリーマンだったし、大丈夫だ」と考える人は少なくないのではないでしょうか。
しかし厚生労働省年金局が発表した『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』では、以下の事実が報告されています。
●厚生年金保険(第1号)受給者の平均年金月額は、老齢年金では14万4,982円となっている
●国民年金受給者の老齢年金の平均年金月額は5万6,000円、令和4年度新規裁定者で5万4,000円となっている
月14万円。サラリーマン時代を思うと、なんとも心細い数字ではないでしょうか。さらに同調査では、受給者が毎年増加していくなか、厚生年金受給額はこの5年間で1,300円以上減少していることが示されています。
■年金で足りるか?支出額を調べると…
総務省『家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)Ⅱ 総世帯及び単身世帯の家計収支』では二人以上の世帯および単身世帯の家計収支の状況について詳細が記されています。
65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)について見ていくと、1ヵ月あたり実収入は24万6,237円、消費支出は23万6,696円となっています。実収入の89.5%は社会保障給付。そして日々の不足分は「2万2,270円」。
また世代別に65歳以上の無職世帯の家計収支を詳しく見ていくと、65~69歳世帯の生活資金の「黒字」は「-4万2,889円」、70~74歳世帯では「-2万4,852円」、75歳以上世帯では「-1万5,266円」となっています。
ちなみに、2021年調査では75歳以上世帯は「485円」とギリギリ黒字でしたが、それすらも赤字に転換してしまったことになります。
「破産へのカウントダウン」という言葉が、現実味を帯びてくることがわかるでしょう。「老後破産」は誰にとっても決して他人事ではないのです。
年金受給額の減少…「自助努力」の裏に隠された真実
■「自助努力」は本当に可能なのか?
「年金」制度は現役世代が受給世代を支える賦課方式ですが、すでに「支えきれていない」ことは明らか。見かねた政府は「新NISA」「個人型確定拠出年金(iDeCo=イデコ)」をはじめ、投資による自助努力を促しています。
初心者にもわかりやすく描かれた「お金が増える仕組み」を目の当たりにし、投資を始めれば安心なのか!と考える方もいますが、100万円がいきなり200万円になる……といった話でもありません。
新NISAは金融庁の指導のもと、選ばれた投資信託のみで運用されます。ざっと(極めて概算ではありますが)年利は1~5%といったものでしょう。5%でも、チャレンジングな投資をしているほうです。100万円が1年で102万円になった、105万円になった……という地道な投資なのです。
とくにiDeCoの場合、原則60歳まで引き出すことはできません。病気しかり事故しかり、人生いつ何が起き、まとまったお金が必要になるかわからないものです。十分な貯金がない場合は、一考の余地ありといえるのではないでしょうか。
ちなみに、投資には「複利」という考え方があります。複利とは、簡単にいうと「元本+利息」に利息が付くことを指します。新NISAをはじめとした長期積立のメリットのひとつであり、銀行や証券会社が「右肩上がりにお金が増える」と説く一因です。
■超低金利時代の「資産形成」その第一歩は…
バブル時代、銀行の利率はなんと6パーセントを超えていました。そして現在、定期預金の利率は0.01%程度となり、銀行は「お金をただ預ける場所」となりました。
「それでもよい」と考えるか、「投資で増やしたい」と考えるか。預金だけしているとインフレリスクを警鐘されることもありますが、そうはいっても日本は長年デフレでした。現在も多少のインフレが見られたとはいえ、他国と比べるとその率はかなり低く、疑問視する声が多いのも事実です。
資産形成について学ぶセミナーは至るところで開催されています。まずは参加するのも一つの手といえましょう。証券会社や銀行開催のセミナーでは、投資信託をすすめてくることもありますが、「帰って検討してみます」としっかり断れば、プロの情報をゲットしたうえで、無理に契約させられることもありません。
SNSやYouTubeにも資産形成を促す投稿があふれています。投資の世界はポジショントーク。誰かひとりの言葉を鵜呑みにするのではなく、多様な意見を聞き、吟味し、自分に合った資産形成をすることが大切といえましょう。
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