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〈退職金4,000万円・年金夫婦で月29万円〉のはずが…65歳の元大手企業部長、勝ち組確定が一転〈年金3割減〉の想定外「何かの間違いでは?」

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月11日 11時15分

〈退職金4,000万円・年金夫婦で月29万円〉のはずが…65歳の元大手企業部長、勝ち組確定が一転〈年金3割減〉の想定外「何かの間違いでは?」

(※写真はイメージです/PIXTA)

仕事一色だった40年余りのサラリーマン人生。現役を引退した後は「妻とゆっくり過ごそう」などと、老後を思い描いているケースも多いでしょう。しかしそれは夫だけの幻想で、老後のベースとなる年金まで減額という、まさかの事態に直面することも。最悪の老後、そのシナリオをみていきましょう。

老後、「年金だけで暮らすことは可能ですか?」

先日、年金の健康診断である財政検証の結果が公表され、いまのままの経済状態が続けば、年金は2割減、経済成長なら6%減となる見通しであることが明らかになりました。

何十年もあとのことなど分かりませんが、できることなら現役を引退したあとは、何も心配することなく暮らしたい、できることなら年金だけで暮らせたら安心と考えるでしょう。仮にいまの家計支出、いまの年金水準で、「老後、年金だけで暮らすには」を考えてみましょう。

総務省「家計調査 家計収支編 2023年平均」によると、65歳以上の高齢者夫婦の1ヵ月の支出は平均25万0,959円。一方、年金は標準的な夫婦で230,483円。年金の手取りは額面の85~90%とされているので、手取りは19万5,900円とします。支出との差額は、月5万5,000円ほどです。

・1年で年金のほかに、66万円が必要

・5年で年金のほかに、330万円が必要

・10年で年金のほかに、660万円が必要

・20年で年金のほかに、1,350万円が必要

・30年で年金のほかに、1,980万円が必要

これが標準的な家計で考えた場合です。ちなみに公益財団法人生命保険文化センターで行った調査によると「ゆとりある老後生活費」は平均で37.9万円でした。このなかには旅行やレジャーなどを楽しむための余裕が含まれています。

それから考えていくと、

・余裕の老後のためには1ヵ月で18万3,000円ほど必要

・余裕の老後のためには1年で220万円ほど必要

・余裕の老後のためには5年で1,100万円が必要

・余裕の老後のためには10年で2,200万円が必要

・余裕の老後のためには20年で4,400万円が必要

・余裕の老後のためには30年で6,600万円が必要

となります。これは、ちょっとした勝ち組でないと実現が難しいレベルかもしれませんが、平均的な家計であれば「年金だけで暮らしてく」ことも意外と現実的かもしれません

60歳定年退職→再雇用で65歳まで現役延長、「年金増額」の喜び束の間…

大手企業で部長だった大卒サラリーマン。60歳で定年を迎え、このとき退職金は4,000万円ほど手にします。そして再雇用で65歳まで働き、いよいよ年金生活をスタートさせる……そんな勝ち組サラリーマン、仮に60歳で現役を引退していたら、年金は老齢厚生年金が月額13.1万円。併給の老齢基礎年金と合わせて20.0万円でした。

*厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』より算出

65歳まで現役を延長したことで、老齢厚生年金は15.0万円に増額。老齢基礎年金と合わせて月21.8万円となりました。妻の老齢基礎年金と合わせると、月28.6万円。手取りは24万~25万円程度。平均支出額から考えると、年金だけでやりくりすることも視野に入り、まさに老後は勝ち組確定。これまで支えてくれた妻を労い、ゆっくり暮らそう……そう思っていたのは男性だけ、というのはよくあること。定年を迎えて、男性は妻から「離婚」の意思を告げられます。

一般的に結婚から20年以上たった夫婦の離婚を熟年離婚といいますが、2021年で婚姻20年以上の夫婦の離婚は3万8,968件。離婚件数のうち、実に5件が1件が長年連れ添ったパートナーとの離婚。定年と共にさようならを言い渡されるケースは、それほど珍しいことではないのかもしれません。

離婚の場合に考えなければならないことは色々とありますが、そのひとつが財産分与。夫婦期間中に築いた財産が対象となります。それは年金も同様で、専業主婦だった妻は、別れる夫の老齢厚生年金部分について、「年金分割請求」を行うことができます。

つまり夫の年金月21.8万円のうち、15.0万円が老齢厚生年金で7.5万円ほどが別れる妻にもっていかれるということ。夫の年金は月14.3万円と、3割超の減額となるということになります。

実際の計算は、婚姻期間中の第3号被保険者期間を考慮したものになるので、こんなに単純な話ではありませんが、熟年離婚では年金減額も確実。「夫婦で悠々自適に暮らしていこう」という夢はもちろん「年金だけで暮らしていこう」という目論見も泡と消える可能性も。

――そんな、何かの間違いではないのか……

そんな悲劇に直面することのないよう、定年前、しっかりとパートナーの心をつかんでおきたいものです。

[参照]

総務省「家計調査 家計収支編 2023年平均」

日本年金機構『令和6年4月分からの年金額等について』

日本年金機構『離婚時の年金分割』

法テラス『財産分与とは何ですか。』

法テラス『財産分与の際には、どのような財産が対象となるのですか。』

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