年金14万円「〈普通に生きる〉だけで赤字」…日本人の「安泰とはほど遠い」老後
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月11日 17時15分
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(※写真はイメージです/PIXTA)
老後資金の不安は尽きないものですが、果たして将来、年金はどれくらいもらえるのでしょうか。『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』より見ていきましょう。
「足りない分は働いて」国主導で進む「自助努力」
高年齢者雇用安定法も改正され、70歳まで働き続けることが国主導で推進されている現在。「年金だけでは老後の生活費が賄えないから、足りない分は働いたり、投資で増やしたりしてください」と言われているのが現状だ。
「もはや年金には期待できない」というのが、国民の総意になってきたともいえるが、改めて現況を把握してみよう。
年金が受け取れるのは原則65歳から(繰上げ受給の場合は減額される)。日本人の平均寿命が男女ともに80歳を超えているのだから、15年~20年は年金頼りの生活になる。では、実際の受給額はいくらか。
厚生労働省年金局発表の『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』では、以下の事実が報告されている。
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●令和4年度末現在における厚生年金保険(第1号)の老齢給付の受給者の平均年金月額は、併給する老齢基礎年金の額を含めて、老齢年金が14万5千円、通算老齢年金・25年未満が6万4千円となっている。
●国民年金の老齢年金受給者の平均年金月額は、令和4年度末現在で5万6千円、令和3年度新規裁定者で5万4千円となっている。
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この数字ですら「生活していくには少なすぎる」と感じる人も多いことだろう。しかし、追いうちをかける事実がある。受給者が毎年増加していくなか、厚生年金受給額はこの5年間で2,000円以上減少しているのだ。
さて、1971年~74年生まれを指す「団塊ジュニア」。現在49歳~53歳、働きざかりの彼らが定年退職を迎えたときには、平均寿命が100歳近くなっていても何らおかしくない。老い先40年間の年金生活を問題なく過ごせるだろうか? 労働人口が減少の一途をたどるなか、無理があるのは明らかだ。
「年金だけで暮らすと赤字」というシンプルな事実
総務省『家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)Ⅱ 総世帯及び単身世帯の家計収支』には、二人以上の世帯および単身世帯の家計収支の状況が記されている。
65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)について見ていくと、1ヵ月あたり実収入は24万4,580円で、実収入の89.3%は社会保障給付。消費支出は25万959円、非消費支出は3万1,538円。そして不足分は「3万7,916円」だ。
また世代別に65歳以上の無職世帯の家計収支を詳しく見ていくと、65~69歳世帯の生活資金の「黒字」は「-4万630円」、70~74歳世帯では「-3万5,546円」、75歳以上世帯では「-2万4,640円」となっている。
こつこつ働き続けた元サラリーマンが夫婦で厚生年金と国民年金を受け取ったとしても、よくてカツカツ、もしくは貯金を切り崩してどうにか生活できるといったところか。
ちなみに50代における教育費の平均支出は年間56万5,784円で、どの年代よりも高くなっている(総務省 2021年)。晩婚化が進む今、50代の教育費支出は今後さらに増えていくことだろう。教育資金を切り崩すほかない、という選択肢だけは避けたいものだ。
「貯めても減る」時代に突入した日本社会。安泰な老後を過ごすためには、長期的、かつ能動的な資産形成が求められる。
QUICK資産運用研究所が2023年11月に実施した『個人の資産形成に関する意識調査』では、「資産形成・資産運用の必要性を感じますか」という質問に対し、「非常に必要性を感じる」と「やや必要性を感じる」との回答が全体の62.0%にのぼったことが報告されている。
新NISAや不動産投資など、サラリーマンに向けわかりやすく解説した記事はウェブ上に溢れている。専門家の意見も聞きながら、適切な資産形成の方法を知ることが、穏やかな老後を過ごすための第一歩といえよう。
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