【遺産総額2億円】子のない嫁をいじめた80代舅の遺言、意外にも常識的だったが…夫の〈まさかのハッチャケ〉で妻「耐えてきた自分がばかみたい」と泣いたワケ
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月12日 11時15分
![【遺産総額2億円】子のない嫁をいじめた80代舅の遺言、意外にも常識的だったが…夫の〈まさかのハッチャケ〉で妻「耐えてきた自分がばかみたい」と泣いたワケ](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goldonline/goldonline_61957_0-small.jpg)
(※写真はイメージです/PIXTA)
多死社会となった日本では、日々多くの相続が発生している。納税資金捻出の苦労や、遺産分割を巡る相続人間のトラブルなど、さまざまな問題があるが、割り切れない思い、納得できない思いは、金額の多寡だけでは説明がつかないようだ。実情を見ていく。
多死社会ニッポン、相続の発生も急増中
高齢化・多死社会の日本。日々膨大な相続事案が発生しており、それに伴い相続トラブルも、相続トラブルが引き金となった家族問題も増加している。
横浜市在住の鈴木さん(仮名)は、50代の専業主婦。2歳年上の夫と2人暮らしをしている。
鈴木さんは大学を出てすぐに結婚したものの、子どもに恵まれず、夫の両親からずっと責められてきた。
「舅・姑からは、子どもができないことをいつもとがめられていました。病院で検査を受けたところ、私は問題なかったのですが、夫が…。でも、両親に黙っていてほしいと土下座され、結局〈私が原因〉という説明のまま、この年齢になってしまいました」
鈴木さんの夫には、妹が2人いるが、それぞれ結婚して家庭を築き、2人ずつ子どもに恵まれている。
「舅と姑からは〈跡取りを産めない嫁なんて〉といわれ、離婚を迫られたことがあったのですが、夫が怒ってくれて。それまでは同居でしたが、夫が私を連れて家を出てくれたんです…」
そのとき、鈴木さんは40歳。20年近い同居生活を経て、ようやく平穏な生活が訪れた。
さらに時間が経過し、鈴木さんに大きな転機が訪れた。舅が亡くなったのである。3年前に姑ががんで亡くなってから、気丈にひとり暮らしをしていた80代の舅だが、出先で転倒して頭部を強打したのが原因だった。
【資料】
令和4年分の被相続⼈数(死亡者数)は156万9,050⼈(前年対⽐109.0%)、そのうち相続税の申告書の提出に係る被相続⼈数は15万0,858⼈(同112.4%)、その課税価格の総額は20兆6,840億円(同111.3%)、申告税額の総額は2兆7,989億円(同114.6%)だった。
![](https://ggo.ismcdn.jp/mwimgs/a/e/800m/img_aef666279e5817fe9f4e08a5aa2cebd078607.jpg)
義両親の死後、夫の口から出た「驚きの言葉」
実は、鈴木さんの夫の父親は自宅不動産と現預金で合計2億円ほどの財産を持つ小金持ち。姑が亡くなったときは、数百万円のへそくり程度の遺産だったが、舅が「子どもたちで適当に分けろ」といったことから、夫と2人の妹で3等分に分けておしまいになった。
しかし今回の相続は金額が大きい。しかも、舅は公正証書遺言を残しているという。
舅の葬儀から数日後、鈴木さんの自宅に妹2人が集まり、遺産相続の話になった。
相続人ではない鈴木さんは、その場にいるのがはばかられたが、お茶を運びつつ、断片的に聞こえてくる話に耳を傾けた。どうやら、遺産はきょうだいで三等分というのが、遺言の中身のようだった。
「税金を払っても、5,000万円ぐらい残るかしら? もしそうなら老後は心配ないかも…」
その日以降、鈴木さんの夫は「相続の件で打ち合わせに行ってくる」といって家を空けることが続いた。
ところがその後、一向に相続財産についての話が出てこない。
鈴木さんはしびれを切らし、夫に聞いた。
「お父さんの遺産、どうなったの? 家は売れた?」
すると、夫の口から驚くような話が出た。
「子どもも残せなかったのに、相続するなんて申し訳ない」
「家は売らないよ。下の妹が欲しいっていうからさ…」
「ええっ、陽子さん(二女)が!?」
鈴木さんは思わず大きな声を出してしまった。
「それであなたと明子さん(長女)は納得したの?」
「うん。明子は貯金を全部相続できればそれでいいって」
「あなたはなにも相続しないの?」
「うん。僕は放棄した」
「どうして?」
「だって、妹たちは子どもがいるだろう? うちは子どもを残せなかったのに、相続なんかしたら、親父とお袋に申し訳ないじゃないか…」
遺言書があっても、相続人全員の合意があれば、遺産の分配は変更しても構わないのだという。
鈴木さんは複雑な表情を浮かべた。
「夫の実家の相続であって、私には何の関係もないのはわかっています。わかっているんですが、夫をかばって、これまでずっと私が矢面に立ってきたことを、夫はなんとも思っていなかったのかな、って」
「両親に申し訳ないと思うなら、どうして舅と姑に、〈子どもができないのは自分のせい〉だと、本当のことを話してくれなかったのか…。耐えてきた私ひとり、ばかみたいじゃないですか…」
この一件以降、鈴木さんはどうしてもむなしい気持ちが消えないという。
相続で手にするのは「お金」だけではなく、何か大きな「家族への思い」でもあるのではないか。
「いっそ離婚したら、この気持ちはすっきりするのでしょうか?」
自分でも自分の気持ちが分からないと、鈴木さんはいう。気持ちの整理がつく日は来るのだろうか。
[参考資料]
法テラス「法定相続人とは何ですか。」
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