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税務調査官「ありました!」…80代女性が驚愕、愛する夫の死から2年後〈タンス預金8,000万円〉が見つかったまさかの場所【税理士の助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月21日 11時15分

税務調査官「ありました!」…80代女性が驚愕、愛する夫の死から2年後〈タンス預金8,000万円〉が見つかったまさかの場所【税理士の助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

日本に数十兆円規模で存在するといわれる「タンス預金」。タンス預金自体は違法ではありませんが、このお金の性質上、相続税等で申告されないケースも多く、税務署はタンス預金の存在に目を光らせています。そこで、具体的な事例をもとに、タンス預金に潜む追徴課税のリスクをみていきましょう。多賀谷会計事務所の税理士でCFPの宮路幸人氏が解説します。

「税務調査」の対象はどのようにして決まるのか

日本では、納税者の自己申告により申告納税する「申告納税制度」が採用されています。

国税庁によると、この申告納税制度が適正に機能するためには「第一に納税者が高い納税意識を持ち、法律に定められた納税義務を自発的に、かつ適正に履行することが必要」とのことです。

こうしたなか、納税者が正しく税務申告を行っているかどうか、また納税者の税額の計算ミスや虚偽の申告がないかどうか、不正行為を働いていないかなど、納税者の申告内容が正しいかどうかを税務署が確認するために、「税務調査」が実施されます。

「納税者の申告内容が正しいかどうかを確認するため」とはいいましたが、実際には税務調査の対象となった段階で、税務署は「正しくないだろう(追徴税を課せるだろう)」というスタンスでいると考えていいでしょう。

では、税務署はどのようにして税務調査の対象を選定しているのでしょうか。

2001年から導入されている「国税総合管理(KSK)システム」

調査対象の選定には、「国税総合管理(KSK)システム」がおおいに役立っています。

国税総合管理(KSK)システムとは、全国524の税務署と12の国税局をネットワークで結ぶコンピュータシステムです。毎年の確定申告や給与の源泉徴収票等もこのシステムにまとめられており、私たち納税者の所得や財産は、おおよそ把握されています。

たとえば、生前の確定申告の情報などから、「この人は3憶円くらいの財産を持っているだろう」とKSKシステムが導き出したとしましょう。

このとき、提出された相続税の申告書に「1億円」と記載されている場合「差額の2億円をどこかに隠しているのではないか?」といった疑念から税務調査の対象となるわけです。

また、税務署は強い調査権限を有しています。そのため、たとえば相続税の調査を行う場合、被相続人と相続人の金融機関の預金口座について、過去10年ほどの履歴をさかのぼって調べることもできるのです。

ここで、仮に100万円単位の大きな出金が複数回ある場合などは、タンス預金を隠しているのでは? 高額な財産を購入したのでは? 誰かに贈与しているのでは? などと推測され、税務調査の対象となる可能性が高まります。

あった、ありました!…調査官が見つけた「タンス預金」

税務署の調査力に驚いた事例として、知り合いの80代女性(以下、Aさん)から次のような話を聞きました。

Aさんの夫は会社を経営しており、A家は金銭的になんの不自由もない生活をしていました。夫はかなりの本好きで、家とは別にトランクルームを借りるほどだったそうです。

その夫が亡くなった際、Aさんは「トランクルームを解約しなければ」と考えましたが、本の数が膨大であることに加え、愛する夫の遺品が詰まっている場所をすぐに手放すことはできませんでした。そのため、Aさんはたまにそのトランクルームへ立ち寄っては、少しずつ整理する日々を送っていたといいます。

そうして夫の死から2年ほど経ったある日、Aさんのもとに税務署から1本の電話が入りまました。話を聞いてみると「相続税調査に伺いたい」とのことです。

相続税の申告と納税を長男に一任していたAさんは、まったく心当たりがありません。しかし、「変に渋って目をつけられるのも嫌だから」と、素直に調査を受けることにしました。

税務調査当日、Aさんの自宅に、調査官2名(B、C)がやってきました。緊張していたAさんですが、税務調査は雑談からスタートし、和やかな雰囲気です。やがて、調査官はAさんに次のように尋ねました。

調査官B「旦那さんにご趣味はおありでしたか?」

Aさん「はい。夫は本が好きで、家に入りきらず別にトランクルームを借りているほどです。維持費もかかるし、そろそろ解約しなきゃと思っているんですが、なかなか踏ん切りがつかなくて……。たまに立ち寄っては整理しているんですけれど」

調査官B「そうなんですね。そのトランクルームを実際に見せてもらうことはできますか?」

Aさん「え、ええ……かまいませんけど、散らかっていますよ?」

その後、調査官とAさんは、自宅近くのトランクルームに移動しました。そのトランクルームは、亡き夫が生前集めた本の数々が所狭しと並んでいます。

調査官B、C「おお、見事ですねえ……」

Aさん「ええ(笑)これでも整理したほうなんですが……ここに来ると夫との思い出が蘇ってきて、思わず『あの人が一生懸命集めた本を全部捨ててしまっていいのか』って気持ちになるんですよ。だからなかなか片づけが進まなくて」。

調査官B「お気持ちわかります。本にはあまり詳しくありませんが、これは価値がありそうですね」

さも本に興味を持っているように話す調査官ですが、実は狙いは別のところにありました。しばらくして、ずっとなにかを探していた調査官Cが声を上げます。

調査官C「あった、ありました!」

なんと、トランクルームのダンボールから現金が見つかったのでした。その額、なんと8,000万円。寝耳に水のAさんは思わず腰を抜かしてしまったそうです。

タンス預金は税務調査の「重点項目」

国税庁の「令和4事務年度における相続税の調査の状況」によると、相続税の税務調査で申告漏れがあった財産の種類は「現金、預貯金」が全体の69.1%を占め、申告漏れの金額は825億円にのぼります。

同資料によると、相続税の実地調査の件数は8,196件で、実地調査が実施された全体の85.8%が、申告漏れなどの指摘を受けて追徴課税されています。

これはつまり、税務署は「現金、預金」の発見に力を入れていることがわかります。したがって、タンス預金は相続税の税務調査において「重点項目」となっているのです。

税務署からの指摘による追徴税額は合計669億円で、実地調査1件あたり816万円となっており、「想像以上に多額の相続税を追徴された」という人が少なくありません。

税務調査で未申告のタンス預金が見つかると、本来の税額のほか、過少申告加算税に加え重加算税がかかる場合があります。重加算税は遺産の仮装・隠ぺいがあるときに課されるもので、本来の税額に35~40%される非常に重いペナルティです。

隠していた金額が大きく悪質な場合は国税局が検察に告発することもあります。裁判の結果、罰金刑を含めた有罪判決が下されることもありますのでお気をつけください。

宮路 幸人

多賀谷会計事務所

税理士/CFP

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