保険は本当にいらない?ネットやSNSの「保険不要論争」に流されないために知っておくべきこと【FPが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月23日 7時45分
![保険は本当にいらない?ネットやSNSの「保険不要論争」に流されないために知っておくべきこと【FPが解説】](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goldonline/goldonline_61981_0-small.jpg)
(※写真はイメージです/PIXTA)
ネットやSNSでもよく目にする保険必要or不要論争。それぞれの主張に説得力があるからこそ、「我が家の場合はどうなんだろう」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか? 今回は清水さんご夫婦(仮名)を参考に、情報に踊らされず保険と上手に付き合っていくための方法をFPの金子舞氏がお伝えします。
「私たちには保険はいらないと思うんです」
今回ご相談に来たのは、29歳の清水さんご夫婦(仮名)。先日ご結婚されたばかりで、共働きでお忙しいなか、保険をどうしたらいいか悩んでご相談に来られました。
お話をお伺いすると、保険は不要と考える清水さん、そして必要と考える奥様で意見が分かれていました。清水さんは「共働きで子どもがいない場合保険はいらない」とネット記事で見たため、自分達もこれに当てはまると感じているとのことでした。
一方奥様は、結婚した以上はなにかあってはいけないと保険を入りたいとのことでした。
なぜ保険が不要と言われているのか
一般的に保険は不要といわれている理由として、以下の3点が挙げられます。
1.日本の公的医療が充実している
日本は「国民皆保険」で全員が公的保険に入っているため、窓口負担額は最大3割となっています。日本では当たり前に感じるこの制度、実は世界を見ても類を見ないほど国の保障が充実しています。もちろん全額自費になる治療などもありますが、公的医療の範囲内であれば、高額になったとしても高額療養費制度も利用することで、自己負担額を大幅に減らすことができます(平均的な所得の会社員の場合で約8万円程度)。
2.会社員の福利厚生が充実している
会社員の方であれば、休んだ場合でも手厚い保障を受けることができます。たとえば、有給休暇を取得すれば給料は全額支給されますし、傷病手当金などの制度を利用すれば、休んでいる期間や割合に応じて給料が支給されます。また勤め先の健康保険組合によっては、自己負担限度額を超えた分の費用を払い戻せる「付加給付」もあります。
3.保険以外で備える方法が拡充されている
以前は貯金以外で備えるとしたら保険が主流でしたが、今や個人で資産運用をして、お金を増やし備える流れも強くなりました。NISA制度(少額投資非課税制度)も期間や金額が増えどんどん使いやすく拡充されていて、個人でお金を増やして備えていくほうにシフトしていく人も多くなっています。便利で情報が簡単に手に入る現代だからこそ、個人でも多種多様なお金の備え方ができるようになりました。
保険の本来の考え方とは
先ほど挙げた理由などから、保険はいらない、無駄であると考える人も増えてきたように思います。ですが保険とは本来、日常で起こるさまざまなリスクに備える制度です。
病気、ケガ、死亡、事故、自然災害をはじめ、いろんなリスクに対して、なにが不安なのか、どう備えたいかは人によってまったく異なります。
よく「保険は損」という言葉も聞きますが、そもそも保険は損得で判断するべきものではありません。保険金がたくさんもらえたから得した、なにももらえなかったから損した、ということではなく、自分では賄えないリスクに備える方法の手段の1つとして保険は存在します。
清水さんご夫婦のように、新婚で子どもはいなくて共働きであれば、一見保険は不要に思われます。しかし、貯金が少ない、家系的に不安な病気がある、住宅を購入予定である、今後子どもが欲しい、転職予定である、ケガをしやすいお仕事・趣味がある、自営業であるなど、条件が1つでも変われば、保険を検討する必要があるかもしれません。
またいざというときに貯金は使いたくないという方や、自分で資産運用は面倒だし怖いという方なら、保険という手段で「備える・増やす」をしてもいいのではないかと思います。
清水さんご夫婦とお話した結果、家系的に不安とのことでがん保険を検討されたうえで、今は資産運用メインで備えていくこととしました。
大事なことは、保険はあくまで手段であり、安心できる方法や備える方法は人それぞれということです。私自身保険などの金融商品を販売しないFPだからこそ、保険や資産運用など手段に捉われずリスクに備えていくことが重要だと実感しています。
保険と上手に向き合っていくには
さきほどの清水さんご夫婦の結論も、もちろんがんにかかる費用も貯蓄から賄うという方法もありますが、ご自身の考えやその他の家計状況によっても異なります。
まずはあなたの周りにどんなリスクがあるのか、どんな不安があるのか書き出して整理してみましょう。またそのリスクや不安を保険で備えたいか、その他の資産で備えたいか考えてみましょう。そしてライフステージが変わったり、前提条件が変わったりした際は、改めて保険に加入するかどうか考え向き合っていきましょう。
もしどうしたらいいか判断に迷う場合は、お金のプロに相談しながら、家計状況や現状使える制度などを一緒に整理し、家計全体のバランスを見ながらベストな方法を見つけることをおすすめします。
金子 舞
ファイナンシャルプランナー
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