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〈結婚に縁なし〉の40代兄妹、母と一緒に家を買うことになったが…まさかの兄の結婚&新婦の同居で、妹「居場所がない」「家を買ったお金を返してほしい」

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月14日 11時45分

〈結婚に縁なし〉の40代兄妹、母と一緒に家を買うことになったが…まさかの兄の結婚&新婦の同居で、妹「居場所がない」「家を買ったお金を返してほしい」

(※写真はイメージです/PIXTA)

40代独身女性とその兄は、父が亡くなったのをきっかけに、母から新居への住み替えを提案され、了承。平穏な生活が続きますが、突然兄が結婚・家族と同居することになり、女性は居場所を失います。家を出るため、自宅の購入資金を返してほしいと考えますが…。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに、生前対策について解説します。

父の死後「これからずっと親子3人で暮らそう」と母が…

今回の相談者は、40代の自営業の鈴木さんです。相続を経て落ち着いたはずの生活が、家族構成の変化によって波乱が生じ、非常に困っているとのことで、筆者のもとを訪れました。

鈴木さんはフリーのイラストレーターとして活躍されており、長いキャリアがあります。ずっと独身で働いており、60代の母親と、やはり独身の40代の兄と3人で同居していました。

「兄と私はこれまで浮いた話もなく、両親はとてもそれを気がかりに思っていて、とくに母親はことあるごとに干渉してきました。私も兄も、親に申し訳ないと思いつつ、仕事の合間に婚活していましたが、ピンとくる出会いがなくて…。結果、2人とも40代になるまで独身だったのです」

そのようななか、2年前、鈴木さんの父親が死去。すると、鈴木さんの母親は気持ちが変わったのか、〈このままずっと、親子3人で暮らしていこう〉といいだし、〈新しい家がほしい〉といって、不動産のチラシを集め始めました。

「古い実家を売却し、3人で暮らせる新しい家が買いたいというのです」

鈴木さんの実家は築40年とかなりの築古ですが、都市部の人気の高いエリアにあり、駅から徒歩5分の好立地です。そのため、買い手はすぐ見つかりました。

「同じ駅の少し奥まったところに、5,000万円の築浅の家が売り出されているのを見つけました。私も40代になり、これから自分が結婚することも、ましてや子どもを産むこともないだろうと思い、母の提案に乗ることにしました。

自宅買い替えの話はとんとん拍子に進み、60代の母親が2分の1、鈴木さんと兄がそれぞれ4分の1の割合で資金を出し合って共有名義の家を購入。そこで新しい生活がスタートしました。

快適な新生活に波紋を広げた、おなかの大きい女性

当初、3人の生活はとても順調だったといいます。

「母が家事全般を担い、兄はサラリーマンとして働き、自営業の私は割り当ててもらった仕事部屋で、存分に仕事に集中しました。もちろん、私も兄も生活費を出し合っています」

ところが去年の夏の終わり頃、鈴木さんの兄が突然、おなかの大きい女性を連れてきたことで、事態は一変します。

「私は戸惑うばかりだったですが、母はすっかり舞い上がってしまって…」

母親の強い勧めで、兄嫁も新しい家に同居することになりました。しかし、それによって鈴木さんの状況はこれまでと一変します。

「生まれてくる子どものため、割り当ててもらっていた仕事部屋を明け渡すように迫られ、寝室で仕事をせざるを得なくなりました」

「母も兄も兄嫁と子どもに夢中で、私は空気です。兄嫁も昔からここにいたような顔をして、私は立場がありません。すぐにでも出て行きたいのですが…」

家を出ようにも、返済中のローンの問題があります。いまのところ仕事は順調ですが、自営業の鈴木さんは、新居の家賃を考えると、二の足を踏んでしまいます。

「本当なら、母や兄に私の家の持ち分を買ってもらいたいのですが、いまのタイミングで、2人にそのお金があるかわかりません。だからといってこのまま家を出たら、自分ひとりが損を被ることになりますよね?」

鈴木さんは泣きそうです。

「家族なのに?」という気持ちが先立ち…親族間売買は難しい

「不動産の共有」は非常に問題をはらみやすく、相続の現場では、できる限り回避すべきといわれています。いくら家族でも、所有者が複数人いると意思決定は大変です。

鈴木さんの現状を考えると、ほかの家族に気を遣いながら住み続けるより、新しいところに住み替えたほうが精神衛生上はずっといいでしょう。鈴木さん自身が話しているように、母親か兄に、自分の持ち分である4分の1を買ってもらえれば、問題は解決します。

しかし、親族へお金を払うことに抵抗感がある人が多く、親族間売買は簡単ではありません。

不動産の共有、3つの解消方法

不動産の共有を解消する方法としてあげられるのは、

①一緒に売る

②共有者が買い取る

③持ち分だけ第三者に売却する

という方法です。共有者に贈与する、遺贈するという方法もありますが、それではなにも残らないため、今回のケースでは選択肢になりません。

この3つの方法のうち、最も合理的なのは「①一緒に売る」という方法です。親族ではない第三者に売却し、売れた価格を持ち分で按分するため、各自の権利分がお金として入ります。売却価格は時価となり、合理的で公平な共有解消だといえます。

しかし、不動産がなくなる、住む家がなくなるということが最大のネックにもなります。

不動産を売りたくないという事情があるなら、次の選択肢となるのは「②共有者が買い取る」という方法です。このときの買い取り価格の算定が難しいところですが、一般的には「流通している時価=税務署に否認されない価格」となります。親族だからといって、時価より大幅に安い金額で売買すると、差額が贈与の対象となるのです。

仮に、時価の8割といわれている相続評価で売買すると、鈴木さんの場合は1,000万円が買取価格の基準となります。

しかし親族間の場合、双方の心の片隅に「家族なのだから」という気持ちが残ることで、なかなか話がまとまりません。

「③持ち分だけ第三者に売却する」という方法ですが、所有者が「親族が買わないなら、買ってくれる第三者に売却する!」という心情になれば、最終的にこの選択に踏み切ることになります。近年では、共有持ち分が解消できなくて困っているという人も増えており、それを買い取る専門会社も出てきました。最悪はこの選択も致し方ないかもしれません。

しかし、ほかの共有者からみれば「他人が一部を所有する」というイレギュラーな状態になるほか、これまで請求されなかった家賃も請求され、場合によってはほかの持ち分の買い取りを迫られるなど、家族間での所有にはなかった強い緊張が生じることになります。

とりあえず「もう一度家族間で話し合う機会を作る」ということで、仕切り直してみることになりました。話し合いはこれからですが、鈴木さんにとっていい着地となるよう、サポートしたいと思います。

当初はベストな判断だと思えた不動産の共有も、時間の経過とともに個人の状況が変われば、気持ちのすれ違い→緊張→いさかい→断絶…と進み、結果、修復不可能な亀裂が入ることにもなりかねません。

できる限り「不動産の共有」というかたちは取らないのが基本であり、それでもなお共有が必要になるなら、共有を解消する出口までも決めておくことが必須となるのです。

※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

曽根 惠子 株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

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