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性格は何歳になっても変えられる?研究でわかった「生まれ」と「育ち」の意外な真実【脳科学者が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月22日 11時0分

性格は何歳になっても変えられる?研究でわかった「生まれ」と「育ち」の意外な真実【脳科学者が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

性格は変えられないものだと思いますよね。しかし、脳科学者の西剛志氏は著書『「おとなしい人」の完全成功マニュアル 内向型の強みを活かして人生を切り拓く方法』の中で、「後天的に変化する」と言っています。一体どういうことでしょうか? その理由を、本書から紹介します。

占星術を信じるだけで性格が変わる

「性格」は人生のありとあらゆる場面に影響を及ぼします。「自分は不安系内向型だった」「誠実性がないのでうまくいかない」と、焦る気持ちになる人もいるかもしれませんが、安心してください。性格というものは、実は意外なほど簡単に変わってしまうものです。意図的にシフトすることもできます。

これはイギリスの実験ですが、占星術を信じている2000名以上を調べた結果、星座通りの性格の人が多かったそうです。しかし、占星術を知らない子どもたち1000名を調べた結果、性格と占星術にはほとんど相関が見られませんでした。つまり、「さそり座の人は情熱的な恋愛をする」「おひつじ座の人はおとなしい」というような言葉を信じると、実際に性格が変化してしまうことを意味しています(専門用語では信念バイアスとも言われます)。

多くの人は驚くかもしれませんが、 性格は生まれつきのものではなく、後天的に変化することがわかってきているのです。では、なぜこんなことが起きるのでしょうか。

「生まれ」と「育ち」の真実

「性格は生まれつき遺伝で決まっていて変わらない」私も講演会で多くの人に出会ってきましたが、そのように思っている人が多いようです。しかし、私たちのパーソナリティは大きく2つの要素からなっています。それが「気質」と「性格」の2つの部分です。

「気質」とは、遺伝子によって生まれたときから決まっている先天的なパーソナリティです。イライラしやすい、喜びを感じやすい、新しいことに興味を持ちやすい、人が好きなど、これらは生まれつきドーパミンやセロトニンなど脳内の神経伝達物質の量によってある程度決まっています。「性格」(キャラクター)とは、生まれてからの後天的な体験や出来事によってつくられるパーソナリティです。

遺伝子が同じ一卵性双生児の研究でも、大人になるにつれて性格や好みが異なってくる現象があります。これはまさに後天的な体験や環境の違いで、後天的に性格がつくられているからです。行動遺伝学の研究でも、私たちのパーソナリティは全体の約40〜50%が遺伝的な影響であることが示されています。

米国ワシントン大学セントルイスのロバート・クロニンジャー博士は、この「気質」と「性格」の2つの要素が私たちのパーソナリティの不可欠な要素であることを提唱しており、「TCI理論」(TemperamentandCharacterInventory)として世界の数多くの研究者に支持されています。先天的な「気質」は遺伝子で決まっていて変えることができません。しかし、後天的な「性格」はいくらでも成長させることができるのです。

英語ではよく「Nature」(生まれ)と「Nurture」(育ち)と言われますが、人の性格は育ちによっても大きく変化していきます。

性格の正体は「痛み」と「快感」の記憶である

それでは、どのようにして後天的な性格がつくられていくのでしょうか。それを紐解くために必要なのが、脳の2大性質です。ズバリ「快感学習」と「恐怖学習」と呼ばれるものです。「快感学習」とは、体験した出来事を「快感」として記憶する脳の学習です。たとえば、あなたが訪れた新しいレストランで、珍しい魚が出されたとします。

その魚がとてもおいしかったら、それは「快感」として脳に記憶されます。これがいわゆる「快感学習」です。ところが、逆にその魚を食べて、お腹をこわしたとします。すると今度は、「もうこんな魚なんて絶対に食べない」と、脳は「恐怖(痛み)」として認識してしまうのです。これが「恐怖学習」です。

私たちは、一度食べて痛い目にあったことを忘れてしまったら、命の危険にさらされてしまいます。一方で、美味しいものを忘れてしまったら、また一から美味しい食べ物を時間をかけて探さなくてはいけません。私たちの脳は人類が生まれた時代からずっと生存していくために、「ここには行かないほうがよい」「この部族と付き合うとメリットが大きい」などを常に学習して、行動を効率化させています。

実はこの「恐怖学習」と「快感学習」が、後天的な性格をつくっていることが研究でわかってきています。

外向型がポジティブ思考になりやすい理由

このことを理解するために、一つ想像してもらいたいことがあります。あなたは、勇気を持って新しいことにチャレンジしてみました。そして、いざやってみたら、思いがけず「大成功」しました。とても大きな喜びを感じます。

次も新しいことにチャレンジしてみたら、再びうまくいってお金まで入ってきました。自信がついたあなたは、さらに新しいことをやってみますが、やればやるほど成功して喜びを感じます。すると、あなたは「新しいことにチャレンジすること」をどのように感じるでしょうか?

このとき多くの人が「新しいことにチャレンジすること」=「よいこと」だと脳の中で結びつくため、「チャレンジは楽しい!」と感じます。これが「快感学習」です。脳の中で「新しいことにチャレンジ」=「快感」という学習が起きるため、新しいことにチャレンジすることが好きな性格だと思えるようになるのです。

実際はもっと複雑なメカニズムになりますが、簡単に説明すると、嬉しい出来事や体験をしたとき、脳の中で報酬系と呼ばれる「腹側被蓋野や」と「側坐核」という場所が活性化します。人にほめられたり、お金をもらったり、何かいいことがあると発火する場所です。自分の行動がうまくいったら大きな「快感」を感じるため、記憶の中枢の海馬も活性化しやすく、最終的に「大脳新皮質」の「長期記憶」に快感の記憶が蓄積されやすくなります。

これが「快感学習」のしくみです。この「快感学習」の恩恵を最も大きく受けているのが、外向型の人たちと言われています。外向型は脳の報酬系が活性化しやすいため、小さな出来事でも快感を感じやすく、快感学習をしやすいことがわかってきています。たとえば「人前で話したら、ほめられる」と、「人前で話す=楽しい!」という快感が内向型よりも大きく感じられるため、もっと人前で話したくなる性格になります。

「また楽しいことがあるかも」と、もっと積極的な行動をしたくなっていきます。しかも、外向型は内向型ほど恐怖学習をしにくいと考えられています。なぜなら、深く考えないため、嫌なことが起きても扁桃体があまり活性化しないからです。

外向型=快感学習が多い+恐怖学習が少ない→前向きな性格になりやすい

こういったしくみで、外向型の人は一般的に明るい性格がより強化されていきます。  

西剛志

脳科学者

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