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塩分はできれば1日6g以下にする!健康な腎臓を保つために食生活で注意すべきこと【透析専門医が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月19日 11時0分

塩分はできれば1日6g以下にする!健康な腎臓を保つために食生活で注意すべきこと【透析専門医が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

健康な腎臓を保つためには一体どんな食生活がいいのでしょうか。医師の別府浩毅氏は著書『透析専門医が教える! 健康長寿の人が毎日やっている腎臓にいいこと』の中で、「これさえ食べればいいというものはない」と言っています。一体どういうことでしょうか? その理由を本書から紹介します。

腎臓を守る万能な食材はない。偏らないように食べることが大切

・厚生労働省推奨の摂取目標量は、炭水化物50%、蛋白質20%、脂質30%

テレビ番組などで、「〇〇を食べれば腎臓がよくなる」といった情報があふれていますが、残念ながらどの病気に対しても、「これさえ食べれば健康になれる!」という万能な食材はありません。厚生労働省からは、炭水化物は50%、蛋白質は20%、脂質30%程度というように、推奨される摂取目標量が提示されています。もちろんこの基準は、万人に合うわけではありませんが、大多数の人に合うようにつくられています。

ですから、これを基準にしながら、たとえば血糖値が高い人なら炭水化物を40%や35%にとどめるといった取り組みをしたほうがいいのです。ただ、炭水化物を10%まで下げてしまうとさまざまな弊害が出てくるので、わたしはそのような指導をしていません。血糖値だけをよくするのならいいのですが、その分蛋白質や脂質の比重が大きく増えるからです。蛋白質の摂りすぎによるなれの果ては、リンの増加による高リン血症です。

高リン血症を放置すると、動脈硬化が急速に進むことになるので、極端なことをしても何かを失うことになってしまいます。だからこそ、バランスのいい食事が必要なのです。先ほどお伝えした通り、腎臓病患者の食事の摂り方はとても難しいため、残念ながら、絶対にこれを摂ったほうがいい、と言えるものはまだありません。

・身体に必要な食事をバランスよく摂ろう

3食の食事をバランスよく適量食べることがもっとも大切と言えます。とくに日本人の食事は、意識をしなければ炭水化物(お米、パスタ、ラーメン、うどんなど)に偏りがちなので、炭水化物の量を調整することが第一です。年齢、体格(身長・体重)、活動量、基礎疾患によって変える必要はありますが、厚生労働省が推奨する摂取目標量を一つの目安にして取り組みつつ、次のことに留意しましょう。

【よくないもの】 ・ ファストフード、ラーメン、うどん、中華は炭水化物が多く、また塩分も多いことから避ける、もしくは減らす

・味のついた飲み物(清涼飲料水、砂糖入りコーヒーなど)を避ける

・菓子パンやお菓子を減らす

・ハム、ベーコン、ソーセージといった加工食品、インスタント食品は摂らない

・揚げ物はできるだけ摂らない

【よいもの】 ・緑黄色野菜を増やす

・海草、きのこ、こんにゃくを増やす

・納豆、豆腐、卵などの蛋白質を増やす

これらは、心臓や血管によくないもの/よいものとまったく同じであることを知ってお いてくださいね。

減塩はとくに重要! できれば1日6g以下に

・加工食品には塩分が多く、外食は塩分過剰になりやすい

糖尿、高血圧、脂質、尿酸は、腎機能を悪化させる因子です。とくに高血圧は、もっとも腎臓への影響が大きいと言われているため、塩分を減らすことが基本の考え方になります。2013年に日本食がユネスコ無形文化遺産に登録され、健康食として取り上げられることが多くなりました。ただ、日本人の食塩摂取量はかなり多いことを、ご存じでしょうか?

令和元年に行われた国民健康・栄養調査の結果によると、日本人の塩分摂取量は1日約10gでした。約20年前の平成7年は1日約14gだったので、20年間で約4gの減塩が進んだことになりますが、腎臓を守るにはさらなる減塩が必要です。塩分摂取量が多いと、体内で余った塩分を腎臓で処理しきれなくなり、余分な塩分が体内に蓄積されます。

そうすると血液の浸透圧が高くなり、脳が塩分濃度を薄めようとして「水を飲みなさい」と指令を出します。水を飲むことで体内を流れる血液の量が多くなり、血管に圧がかかって血圧が高くなるのです。高血圧は腎臓にいい影響を与えないので、負のスパイラルに陥ることがわかっていただけるのではないでしょうか。医師によっては「塩分は1日5g以下」と言う人もいますが、わたしは6g以下を目指すように患者さんへお伝えしています。

ちなみに当院へ通う高血圧の患者さんの塩分摂取量は、1日平均12 ~13gです。外食の多い人は、15g近く摂取していることも少なくありません。実際のところ、1日平均6gでも相当厳しい基準であり、実行するためには高度なレベルの管理が求められます。1日6g以下を目指すには、1食あたり2g程度に抑えなければいけませんが、食パン1枚に1g、お味噌汁1杯にも1gの塩分が入っています。

カップラーメンをスープまで飲み干せば8~9g、カレーライスは10gです。この数値だけ見ても、1食2g以内に抑えることがどれだけ難しいのか、容易に想像できるのではないでしょうか。

・加工食品や惣菜は、塩分量が多い

加工食品にはリンが多く含まれていますが、腐りにくくするため、そして素材のおいしさを引き出すために、塩分もかなり多く使われています。過去の著作『心臓にいいこと』でも、簡単で安く、すぐに食べられる加工食品には裏があることをお伝えしましたが、腎臓を健康に保つために注意が必要な食材でもあります。ぜひ、加工食品は控えるように心がけましょう。

なお、冷凍食品やコンビニやスーパーで売っているお惣菜にも、塩分が多く含まれているので、わたしはかならず裏面を見て、塩分がどれほど入っているのか確認するようにしています。ちなみにコンビニの惣菜なら、1~2gはかならず入っていると考えて間違いありません。三角おにぎりにも、1~1・2gほど含まれています。

ですから、コンビニのおにぎりを2~3個食べて、パンも一緒に食べれば、計り知れないほど多くの塩分を摂っていることを自覚したほうがいいでしょう。

・塩分量は食品成分表示でかならず確認しよう

減塩のポイントは、主食がパンや麺類に偏らないこと。麺にも塩分が入っているため、ラーメンやうどん、蕎麦の汁を飲めば、塩分の上乗せになってしまいます。麺類を食べるときは、できるだけスープを飲まないようにしましょう。漬物や汁物を減らすことも、減塩につながります。

そして定食は、1人前で4~5gの塩分が含まれることが多いため、外食時は味噌汁を半分にする、漬物は控える、かけ醬油やソースを減らす、といった工夫をすることで、減塩することができます。なお、味に物足りなさを感じたときは、七味や山椒、生姜、わさび、からしといった香辛料、酢やレモンといった酸味で味を足すことをおすすめします。これらは、それほど腎臓に支障をきたさないからです。

最大の減塩法は、食品にどの程度の塩分が含まれているのか、その都度確認する習慣をつけることです。わたしたちが普段よく食べる食品の塩分量は、すでにお伝えしましたので、ぜひ覚えておきましょう。また、食品成分表示にはかならず「塩分相当量」の記載があります。購入するとき、食品成分表示を確認する習慣をつけることから始めてみませんか。  

別府浩毅

医師

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