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蛋白質の摂りすぎに注意!健康な腎臓を保つために食生活で気を付けるべきこと【透析専門医が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月20日 11時0分

蛋白質の摂りすぎに注意!健康な腎臓を保つために食生活で気を付けるべきこと【透析専門医が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

健康な腎臓を保つためには一体どんな食生活がいいのでしょうか。医師の別府浩毅氏は著書『透析専門医が教える! 健康長寿の人が毎日やっている腎臓にいいこと』の中で、「蛋白質に注意」と言っています。一体どういうことでしょうか? その理由を本書から紹介します。

外食は蛋白質にも注意

・気をつけるべき食べ物

蛋白質は身体に必要な成分であり、長生きする人はしっかり蛋白質を摂っていますが、若い人は蛋白質を摂りすぎる傾向があるため、バランスを考えなければいけません。外食には揚げ物や肉料理、麺類などの脂質を多く含むメニュー、牛丼やパスタのように炭水化物を多く含むメニューがたくさんあります。

また、外食は味付けが濃くて塩分量も相当なものなので、外食をすると脂質と炭水化物と塩分が過剰になりやすいのです。さらに、主菜となる肉、魚料理、刺身、焼き魚、ローストビーフ、茶碗蒸しなどの卵料理にも含まれる多くの蛋白質を摂取することになってしまいます。腎機能が悪くなければ、蛋白質を多く摂ることが問題になるケースはほとんどありません。

ただ、基本的には三大栄養素をバランスよく摂ることが大切であり、外食が多くなるとバランスが崩れる可能性が高くなるのです。前述した通り、蛋白質にはリンが多く含まれているため、摂りすぎには注意が必要と言えます。

・魚料理は毎日摂っていい食材

わたしが患者さんに伝えている「摂りすぎない目安」は、「体重が増えないような食べ方」です。食事制限を完璧に行おうと思っても簡単にできることではないので、あれこれ伝えても難しすぎる内容になってしまいます。ですから、「体重維持ができる、節制した食べ方をしてくださいね」と伝えているのです。

外食はおいしい分、裏があります。塩分をはじめ、いろいろなものが多く含まれているので、外食の頻度は考えてもらいたいところです。外食できちんとしたものを摂ろうと思えば、手間がかかる分安価で提供されることはほとんどなく、外食で常に身体にいい食べ物を摂るのは現実的ではありません。ですから、できるだけ外食の回数を減らすことをおすすめします。

なお、心臓や動脈硬化の観点から言うと、魚料理にはEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)が含まれているので、毎日摂ってもいい食材です。ぜひ、積極的に摂取するようにしましょう。

蛋白質は、アミノ酸スコアの高いものを

・必須アミノ酸は、食事でしか摂ることができない

蛋白質は、20種類のアミノ酸からつくられており、すべてが揃わなければ、蛋白質は合成されません。そして、アミノ酸は体内で合成できない9種類の必須アミノ酸と合成できる非必須アミノ酸(11種類)の2つに分類されますが、体内で合成できない必須アミノ酸は、食事で摂る必要があるのです。必須アミノ酸の一つである「トリプトファン」は、「しあわせホルモン」と呼ばれるセロトニンの原料です。トリプトファンが不足すると精神が不安定となり、元気がなくなってしまいます。

ですから、身体のなかではつくられない大事な成分である必須アミノ酸を、食事で摂っていかなければいけません。

食品 スコア 豚肉(ロース) 100

あじ(生) 100

鶏卵 100

牛乳 100

大豆 100

精白米 61

じゃがいも 73

キャベツ 53

トマト 51

りんご 56

なお、上の表は必須アミノ酸の含有率を数値化した指標であり、「アミノ酸スコア」と呼ばれるものです。アミノ酸スコアが100に近ければ近いほど、理想的な食材と言えるでしょう。

・長寿に必要なのは蛋白質の摂取

アミノ酸スコアを使うことで、必須アミノ酸を多く含む食品がわかり、効率的に摂取することができるようになります。アミノ酸スコアの高い食品は、肉、魚、卵、大豆、乳製品です。とくに肉や魚といった動物性蛋白質には多く含まれていて、ビタミンや鉄などのミネラルも豊富に含まれているため、優先して摂取すべき食品です。

100歳以上の百寿者がもっとも多く摂っている栄養素が蛋白質であることを、ご存じでしょうか? 長生きをするには、蛋白質を摂ることが重要なのです。大豆や豆腐は、昔から身体にいいといわれていますが、アミノ酸スコアを見ればその理由がよくわかります。大豆や卵で、必須アミノ酸が効果的に摂取できるのです。あまり摂りすぎてもいけませんが、できるだけ意識して摂るよう心がけましょう。

牛乳についてはさまざまな意見があり、医者のなかでも肯定派と否定派がいるので、気になる人はほかの食品から蛋白質を摂取してください。身体に合う人なら飲めばいいですし、合わなければ無理をする必要はありません。なお、牛乳を摂取する場合には、成分無調整のものを選んだほうがいいでしょう。

「水を毎日2ℓ飲む!」は間違い

・腎機能が低下すると水分制限が必要になってくる

成人が1日に必要とする水分摂取量は、体重1kgあたり0.5ℓといわれているので、体重が50kgの人は2.5ℓ、70kgであれば3.5ℓとなります。この必要な水分量を摂取する方法は、次の3つです。

(1)体内で代謝により生成される水分(約0.3~0.5ℓ)

(2)食事から摂取する水分(約1.0~1.2ℓ)

(3)直接口から摂取する水分

(1)と(2)で約1.3~1.7ℓになるため、(3)の直接口から摂取する水分量は、必要な水分量の約半分、つまり1.0~2.0ℓほどになります。もちろん、汗の多い・少ないによって必要とする水分量は異なりますし、夏と冬でも異なるため、一概に1日2ℓの水を飲むようにおすすめするのは、少々乱暴ではないでしょうか。

・必要な水分量は、人によって異なる

体内の水分を調整しているのは、もちろん腎臓です。腎臓は尿をつくり、身体に溜まった水分を外へ排泄してくれています。腎機能が低下すると尿の産生能力が下がり、体外に出せる水分も少なくなるため、水分が身体に溜まって、体重が増える原因に…。腎機能が悪くなっている人は、水分摂取量を控えめにする必要があるのです。

まだ若くて腎臓に問題がなく、元気な人であれば、飲んだ水分が2ℓでも3ℓでも、外に排泄できるでしょう。ところが、年をとると腎臓のパワーが落ちる人が多く、若い人と同じようにガブガブ飲んでしまうと、むくみの原因になってしまいます。必要な水分量は、男女でも、年齢や身体の動かし方によっても異なります。スポーツに取り組んでいる若い人が1日2ℓ摂ることと、家にずっと閉じこもり、あまり動かない年配の人が1日2ℓを摂るのとでは、まったく意味が変わってくるのです。

・テレビの情報は鵜吞みにしない

テレビの影響はとても大きく、「水を飲めば健康になる」と番組で言われると、実直に実践してしまう人がとても多く見られます。テレビで放送されていた内容を鵜吞みにしている人に「水分を少し減らしてくださいね」といくら説明しても、必要以上に水を摂ってしまう人がいなくなることはありません。その結果、いつまでもむくみがとれにくくなるのです。

足がむくむだけでなく、肺のまわりにも水が溜まるようになってくると、心臓が弱い人の場合、やがて呼吸すらできなくなってしまうこともあります。医師として言わせてもらえば、腎臓や心臓の悪い人にとって、水分は毒でしかありません。水を摂らないように伝えることも多く、水分の摂り方を理解していただくことは、本当に難しいと感じています。

・毎日体重を測り、自分の適切な水分量を知ろう

では、自分にとって適切な水分量をどのように測ればいいのでしょうか? それは、1日の尿の量+αを見ることです。「+α」というのは、不感蒸泄(人が感じることなく皮膚や粘膜、吐き出す息から蒸発する水分)や有感蒸泄(汗の量)を差しています。でも、これらのものを計測することは、現実的ではありません。ですから、患者さんには体重を常にチェックするよう伝えています。

水分摂取量が多い人は体重が上がっていくので、体重が増える傾向が見えたときは水分を摂りすぎている可能性があります。もちろん、食べすぎて体重が増える場合もあるので、バランスを見ながら可能性を見極めなければいけません。水分の摂りすぎで体重が増えている場合、足がむくむといった兆候があらわれます。

一番確認しやすい方法は、毎日同じ時間に、同じ服装で体重を測ることです。前述した通り、水分以上に控える必要があるのは、塩分です。なぜなら、塩分を摂ることで身体に水分を溜める機能が働いてしまうからです。

・排尿は1日4~6回、夜間は0~1回が適切

排尿は、1日あたり4~6回が適切であると言われています。夜間であれば、0〜1回までが適切な回数でしょう。いつも夜中に排尿で起きてしまうとしたら、水分の摂りすぎかもしれません。日中に水分を摂りすぎると、消化吸収されて尿になって出てくるまでに時間がかかるため、尿の出るタイミングがちょうど寝ている間にぶつかってしまうことも…。

夜にアルコールを飲む習慣がある人は、飲んでそのまま寝てしまい、夜中にトイレで起きてしまうこともあります。尿の量は、このように水の摂り方からかならずチェックしましょう。これも一つの目安になるので、かならずチェックすべきポイントと言えます。

・年をとると頻尿になる

尿に関わることなのでお話ししますが、中年以降の男性に多い前立腺肥大になると、膀胱の能力と尿の蛇口に当たる前立腺にバランスの乱れが生じ、尿をたくさん溜められなくなってしまいます。そして、「頻尿」になってしまうのですが、この場合、1回あたりに排出する尿の量は多くありません。若い人なら、膀胱に尿を1~2ℓ溜めることができ、2ℓに近づくと尿意を感じて、溜まった尿を一気に放出します。

ところが、高齢の人の場合、0.5ℓほどしか溜まっていない段階で尿意を感じ、トイレに行くことになるのですが、1回あたり300ccほどしか出ないことがあります。溜まったすべての尿を出しきれず、200ccほどが膀胱に残り、次に尿が300ccほどつくられたとき、また500cc程度で強い尿意を感じて300ccを出す。この繰り返しになってしまうのです。この頻尿も、老化現象の一つと言っていいでしょう。

別府浩毅

医師

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