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プロテインのサプリメントはいらない!実は腎臓に負荷をかけてしまう意外な理由【透析専門医が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月22日 11時0分

プロテインのサプリメントはいらない!実は腎臓に負荷をかけてしまう意外な理由【透析専門医が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

健康な腎臓を保つためには一体どんな食生活がいいのでしょうか。医師の別府浩毅氏は著書『透析専門医が教える! 健康長寿の人が毎日やっている腎臓にいいこと』の中で、「プロテインのサプリメメントは不要」と言っています。一体どういうことでしょうか? その理由を本書から紹介します。

「健康のためにプロテイン」は自殺行為!?

・蛋白質は食事からで十分

サプリメントとしてプロテインを摂っている人は多いとは思いますが、わたしは身体を守るためにはよくないのではないか、と疑問を抱いています。なぜなら、プロテインにはリンがかなり含まれているため、動脈硬化が進んでしまい、腎臓に負荷をかけるものだからです。

たしかに、蛋白質は筋肉や骨の構成成分であり、エネルギー源になったり、酸素や栄養素の運搬を行ったりもする、生命を維持するために不可欠な物質です。摂取目標量が設定されているのはそのためです。でも、蛋白質は基本的に、食事から摂るべきである、とわたしは考えています。ダイエットブームもあり、「健康にいい」という理由で、プロテインのサプリメントを摂取する人が増えました。

ただ、国が定める1日の推奨摂取量は50~60gであり、卵や乳製品、肉、魚を普通に食べていれば摂取できる量です。わざわざプロテインで補充する必要はありません。また、商品として売られているプロテインは、飲みやすくするために人工甘味料が加えられています。油脂や増粘剤、乳化剤といった添加物も多いので、わざわざプロテインで余分なものも同時に摂取しなくていいのではないかと思うのです。

安価なサプリメントのなかには、石油で固めているものもあり、素材自体がよくないと言われることもあります。種類にもよりますが、人工甘味料の摂取は腎臓に負担がかかります。また、添加物の一種である人工甘味料には、発がん性化も指摘されていて、海外では規制がかかっているものもあるほどです。わたしも、人工的につくられたものはあまり摂らないようにしています。

・蛋白質の過剰摂取は腎臓の過剰ろ過を導き、腎機能を低下させる

最近では、高齢者に筋肉をつけさせようと、フィットネスクラブがサプリメントのプロテインをすすめることが多くなりました。わたしの医院に来る患者さんのなかにも、「フィットネスクラブですすめられた」と言う人が少なくありません。実際には、摂取後に腎機能が悪くなっている人もいます。年齢とともに腎機能は低下しますが、高齢の人がフィットネスクラブで言われた通りにプロテインを摂取すると、もともと悪い腎機能がますます悪化してしまうのです。

腎機能が低下している高齢者は、プロテインの摂取で腎機能が悪くなる可能性があることに留意すべきです。ですから、わたしはプロテインを摂るよりも、規則正しい食事をおすすめしています。きちんとした食事には、蛋白質だけでなく食物繊維やミネラルも含まれているので、人工的につくられたサプリメントでは補えない部分もカバーすることができます。

ただ、高齢になると蛋白質の必要量は増加するため、食事による摂取では追いつかないような場合は、腎機能を正しくフォローしながら、サプリメントで補充していくことも必要でしょう。

・自分の病状を正しく理解し、正しい蛋白質摂取量を計測しよう

何度もお話ししている通り、腎機能が悪い人は、老廃物や不要な物質を尿として排泄する機能が落ちています。蛋白質を摂りすぎると、「尿毒素」と呼ばれる有害物質が身体に蓄積され、倦怠感を引き起こすため、蛋白質の摂取量を制限する必要があるのです。ダイエットのための糖質制限が流行っていますが、これも蛋白質の摂取が増える要因になっています。

とくに、糖尿病歴が長く、腎機能が低下している人は、腎臓への負担が大きくなるため、蛋白質の摂りすぎはご法度です。短期的に血糖値が下がったとしても、腎機能が悪化してしまえば元も子もありませんよね。

・ごく一部の例外を除き、サプリのプロテイン摂取はとくに必要ない

サプリメントのプロテインは、高齢の人だけではなく、若い人も摂らないほうがいいとわたしは思っています。医師によっては摂っても大丈夫、と言う人もいますが、わたしはこれを摂る意味をあまり見出せていません。もちろん、例外はあります。それは、体質的にお肉を消化できない人です。

胃酸や脂肪を分解してくれる「消化酵素」というものがあるのですが、消化酵素は蛋白質でできているため、土台となる蛋白質がなければ消化することができません。たとえば、蛋白質を摂るように言われ、お肉を食べたとします。でも、消化酵素そのものがない人は、少量のお肉も消化できないので、お腹が痛くなることもあるのです。この症状は、若い女性や痩せている人に起こりがちです。

このような症状が出てしまう人に、治療の一環としてプロテインやアミノ酸をあえて摂取してもらい、身体を一定の蛋白質で満たすことがあります。ほかにも、治療の一環としてプロテインを摂取してもらうケースもなくはありません。ただ、これを実施するのはごく少数派であり、普通の人であれば、あえてサプリメントのプロテインを摂る必要はないでしょう。

蛋白質摂取不足にならない注意も必要

・筋肉を落とすと基礎代謝が落ち、血糖値が下がらなくなる

腎機能が悪い人は蛋白質を摂ってはいけない、と極端にとらえている人がいますが、これには注意が必要です。蛋白質は身体のなかでとくに大きな組織である筋肉の原料であり、身体の蛋白質の50%は筋肉、と言われています。つまり、体内に蛋白質がなくなれば、筋肉がなくなっていくのです。

筋肉がなくなると、基礎代謝が落ちてエネルギー消費がしにくくなり、痩せにくい身体になるといったさまざまな問題が起こります。蛋白質を摂らないことで生じる最大のメリットは、ダイエットで一挙に体重が落ちることです。ただ、これは筋肉が削げ落ちているだけです。「体重が落ちれば血糖がよくなると聞いていたのに、改善しません」と相談してくる人は、少なくありません。

じつは筋肉は、血糖を食べてくれるのですが、その筋肉がなくなれば、体重と同時に基礎代謝も落ちて、血糖値が下がらないのです。蛋白質はエネルギー代謝に関わっているので、ある程度摂取する必要があります。ところが、「腎機能の悪い人は、蛋白質を摂ってはいけない」と言われている人にとっては、パラドックスに陥ってしまう話なので、どうすればいいのかと悩んでしまうほど、難しいことなのです。

余談ですが、身体は血糖値を安定させる必要があるため、低血糖になると筋肉のなかにある血糖値を上げるためのセンサーが働きます。ですから、筋肉が少ないと低血糖を知らせるアラームが発動しなくなり、大変な事態に陥ることも。痩せた女性が低血糖の症状を訴えて相談に来ることも多いのですが、その場合、わたしは蛋白質の摂取を増やすようアドバイスしています。

・蛋白質不足は、心の健康にも影響している

蛋白質は、体内で分解されてアミノ酸になります。このアミノ酸は、心の健康に必要な栄養素です。神経伝達物質のアドレナリンは、必須アミノ酸の「フェニルアラニン」から生成されるため、アミノ酸が不足すると、集中力ややる気が低下してしまいます。また、「しあわせホルモン」と呼ばれるセロトニンは、必須アミノ酸の「トリプトファン」からつくられるため、アミノ酸が不足すると精神が不安定になり、抑うつとなって元気がなくなっていきます。

さらに、セロトニンからは「睡眠ホルモン」と呼ばれる「メラトニン」がつくられます。つまり、必須アミノ酸が不足すると、睡眠の質の低下につながってしまうのです。蛋白質が不足すると、筋肉やエネルギー代謝の低下だけでなく、心の健康にも大きく影響します。蛋白質の摂取がどれだけ重要か、わかっていただけるのではないでしょうか。

必須アミノ酸は、赤身肉や卵、牛乳、魚介類といった動物性蛋白質をはじめ、大豆や穀類などのさまざまな食品にも含まれています。通常の食事をしていれば不足することはないので、バランスよく、いろいろなものを食べることが大切です。

また、蛋白質は、酵素やホルモンなど身体の機能を調節する大切な役割も果たしているため、蛋白質が不足すると、免疫機能が低下して抵抗力が弱くなり、さまざまな病気にかかりやすくなります。日本人の死因の第1位はがんですが、80歳以上人の1位は肺炎です。蛋白質不足による免疫機能の低下も一因となっているのでしょう。  

別府浩毅

医師

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