「仕事辞めたいな…」そうと思ったら、転職サイトへの登録と同時に「誰もがやるべきこと」とは【人事のプロが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月17日 8時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
転職サイトへの登録は、転職すると決めてから行うものだと考えている人がいるとしたら、それは間違いです。今の時代は、転職すると決断していなくても転職サイトに登録し、市場で求められている知識・スキル・経験と自分が現時点で保有している知識・スキル・経験のギャップを把握しておくことが欠かせません。そして、転職に向けて具体的に動き出す場合には、「会社以外の居場所づくり」についても目を向ける必要があります。本記事では、木村勝氏による著書『会社を辞めたいと思った時に読む セカンドキャリアの見つけ方』(ビジネス教育出版社)から一部抜粋し、どの世代でも実行すべき転職への準備について解説します。
いち早く転職サイトに登録するべき理由
日本能率協会が2019年度の入社半年・2年目の若手社員に行った意識調査では、その半分はすでに転職サイトに登録済という結果が出ています。その反面、ミドルシニア世代は、まだまだ転職サイトには縁遠くなんとなく違和感・距離感のようなものを感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
筆者自身がまさにそうでした。「転職サイトに登録すると会社に不満があることが伝わってしまうのではないか?」「転職サイトに登録して実際にオファーが来たらどうしようか?」など考え、会社を実際に辞めてから登録しようと思っていました。
こうした懸念はまったくの杞憂に過ぎません。個人情報管理の厳しい昨今、転職サイトに登録したことが会社に伝わることなどありえませんし、ましてや50歳を超えたシニアに心配するほどオファーレターが来ることなど、おめでたいことは現実にはありません。
なお、転職を支援するサービスには、「転職エージェント(人材紹介)」と「転職サイト」があります。どちらも転職活動を支援するサービスですが、その違いについて解説しておきたいと思います。
まず、「転職エージェント(人材紹介)」ですが、こちらは対人型のサービスです。多くの転職エージェントの場合、まずは転職エージェント会社へ出向き、エージェント(キャリアアドバイザー、キャリアコーディネーターなど、呼び方は会社で異なります)と個別に面談を行います。
そこで伝えた自身の経歴や希望をもとに、転職エージェントから求人が紹介されます。応募書類作成や面接の際にもサポートを受けることができるのが特徴です。転職エージェントは、転職希望者に担当のエージェントが伴走するイメージです。
一方転職サイトですが、こちらはWEBサイトを通じたサービスです。転職サイトは一般的に、さまざまな業界・職種の求人が掲載されていて、自由に検索、閲覧が可能です。数多くの求人情報を比較、検討した上で、転職サイトを通じて手軽に応募することができます。
転職エージェントと転職サイトの使い分けですが、まだ転職が具体的ではなくとりあえず転職市場の動向を感じたいという場合には転職サイトにまず登録し、いよいよX-dayが決まり、いい案件があればいつでもGO!という場合には、転職エージェントも併用されるといいと思います。
あなたが「会社を辞めたい」と思ったなら、転職サイトへの登録はデフォルトの行動になります。ハイクラス求人を紹介するビズリーチのCMに「登録者の約7割以上が市場価値を知るための利用している」とありますが、転職サイトへの登録の目的はまさにここにあります。
あなたが仕事してきた業界の求人動向や職種の動向が求人情報を浴びることで風を感じるように体感できます。転職サイトへの登録はもちろん自らの求人情報の探索という本来の目的もありますが、それ以上に重要なのは市場で求められている知識・スキル・経験と自分が現時点で保有している知識・スキル・経験のギャップの把握です。
筆者の専門分野の人事でいうと、若手を中心に雇用の流動性が高まっている今は、中途採用ノウハウを持った人材が求められていることが自然にわかります。世の中で要求されているニーズとご自身の経験・スキルにギャップがあったとしても問題ありません。
「中途採用の経験が欠けているな」と思えば、その領域の知識・ノウハウを獲得しておけばいいのです。同じ人事領域ですので、他部門の人と比較するとその領域には自然と鼻が利きます。
他職種の人に比べて「その領域に関してあたりがつき、容易に学ぶことができること」は、他の人にはないあなたの強みです。あたりがある領域に関しては、他の人に比べてスキル・知識の獲得は各段に容易です。
「辞めたい」をエネルギーとして会社以外の居場所をつくる
転職サイトに登録すると同時に行うのが、「会社以外の居場所づくり」です。1回「会社を辞めたい」と思うたびに、会社以外の新たな居場所をつくっていきます。
居場所づくりは、横の広がりと縦への深化で考えます。[図表1]をご覧ください。左は新たな居場所を増やしていく方向です。
これからの時代、1つの会社に依存する「一本足打法」はリスクです。拠り所はマルチ化しておく必要があります。
「会社を辞めたい」と思うたびに、このエネルギーを活用して居場所を増やしていきます。居場所は、仕事関係に限ることなく趣味、同窓会、地域でも何でも結構です。このように複数の居場所を横に広げるように増やしていくのがこの戦略です。
もう1つの戦略は、会社以外につくった新たな居場所で関与度合いを増やしていく方向です。もちろん、自分に合わない居場所に無理にコミットしていく必要はありません。自分と相性のいい、参加していて気持ちの良い居場所に限定して関与度を上げていきます。
始めは一参加者として参加し始めたコミュニティ(居場所)ですが、次はもっと関与度を高めて、今度は事務局のお手伝い役(サポーター)として参加します。さらに「会社を辞めたい」と思ったら、さらに関与度を上げ、事務局を担ったりします。
コロナ禍でリアルな対面の場が少なくなり、人脈構築の機会が減ったと思われる方も多いかと思いますが、実はチャンスは増えています。オンライン上で様々なコミュニティ(居場所)が立ち上がっています。
リアルな会合では、休みを取ったり、土日に参加したり、それなりに労力が必要でした。これがオンラインなら参加は容易です。参加してみて自分に合わないと思ったら次回以降は参加しなければいいのです。
「会社を辞めたい」と思った時は、会社以外とつながりを持ちたい気持ちが一番高まっています。日頃は忙しさにかまけてコンタクトも取っていなかった外部のコミュニティと接触するチャンスです。
このように「会社を辞めたい」マインドを活かしていくことも「会社を辞めたい」思いをセカンドキャリアにつなげていくための秘訣です。
木村 勝 行政書士 リスタートサポート木村勝事務所 代表
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