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月収40万円のキャリア妻、夫の死を乗り越え、子も立派に成人したが…65歳で涙する「唖然の遺族年金額」

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月16日 10時15分

月収40万円のキャリア妻、夫の死を乗り越え、子も立派に成人したが…65歳で涙する「唖然の遺族年金額」

(※写真はイメージです/PIXTA)

夫婦共働きが増えていますが、突然、夫(妻)が亡くなったら……2馬力で描いていた人生設計が一気に崩れ白紙に。そんな窮地を救ってくれるのが「遺族年金」です。ただ複雑怪奇な日本の公的年金制度。しっかりとルールを知っていないと、想定外のことにまた窮地に陥ることも珍しくないようです。

夫を亡くしたキャリア妻…遺族年金に救われる

年金には頼らない…29.0%

これは内閣府が行った『生活設計と年金に関する世論調査』で、「老後の生活設計の中での公的年金の位置づけ」の質問に対する、18~29歳の回答。「公的年金にはなるべく頼らず、できるだけ個人年金や貯蓄などを中心に考える」が24.7%、「公的年金にはまったく頼らない」が4.3%、合わせて29%が、年金に依存しない老後を見据えていました。

この傾向は若い世代ほど強く、たびたび報道される年金不安から、「自分の身は自分で守る」という自衛の思いが大きくなったからでしょうか。逆に年齢があがるほど、年金に依存する傾向は強くなっていきます。

【年齢別年金に対する意識「老後の生活設計の中での公的年金の位置づけ」】

18~29歳:24.7% / 4.3%

30~39歳:25.9% / 1.9%

40~49歳:15.0% / 1.8%

50~59歳:9.6% / 0.6%

60~69歳:7.2% / 0.7%

70歳以上:4.5% / 1.7%

※数値左より「年金にはなるべく頼らない」の割合/「年金にはまったく頼らない」の割合

このように、年齢によって年金への関わり方や考え方は変わるものの、「あってよかった……」というのも公的年金なのかもしれません。

20年前に夫と死別したという、今年、65歳になった女性も公的年金に救われたとか。亡くなった夫は大学の同期で33歳で結婚。男児2人を授かり、夫が亡くなった45歳のとき、長男は10歳、次男は8歳だったといいます。

夫は心臓発作による突然死。何の前触れもなかったため、悲しみよりも驚きのほうが強かったといいます。

――夫が突然いなくなったショックも大きかったですが、子どもをひとりで育てていくことの不安のほうが大きかった

夫婦共働き。お互いに万が一のことがあった場合の備えもしていましたが、医療保障のほうを厚めに、死亡保障についてはおまけ程度。どちらかが働けなくなった場合についてはイメージしていましたが、どちらかがいなくなることは、まったく考えていなかったといいます。

2馬力でこなしていた子育てが1馬力に。金銭的にも不安が募るなか、あってよかったと実感したのが「遺族年金」でした。

2児の子育て中のキャリア妻…200万円弱/年の遺族年金

遺族年金は、国民年金に由来する「遺族基礎年金」と、厚生年金に由来する「遺族厚生年金」があります。遺族基礎年金は18歳以下の子どもがいることが前提で、「81万6,000円+子の加算額」を受け取れます。子の加算額は、2人目までは各23万4,800円、3人目以降は各7万8,300円。女性の場合は、年間128万5,600円の遺族基礎年金を受け取ることができます。

遺族厚生年金は、亡くなった夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3。計算において、厚生年金の被保険者期間が300ヵ月(25年)未満の場合は、300ヵ月とみなして計算します。女性の場合、年間65万3,000円ほどの遺族厚生年金を受け取ることができます。

当時、女性の月収は40万円ほど、手取りにすると30万円程度で、大卒女性会社員の平均程度でした。

――これで子ども2人を育てるのは……

そこに月16万円程度の遺族年金。それまで遺族年金に関しては「聞いたことがあったが、具体的にどのようなものかは知らなかった」という女性。そのため「予想外の収入で助かった」という感覚だったといいます。

【大卒女性会社員の平均給与】

  月収 年収
20~24歳   24.4万円  361.7万円
25~29歳  27.2万円  461.9万円
30~34歳  30.4万円  513.7万円
35~39歳  34.1万円  577.0万円
40~44歳  36.9万円  628.4万円
45~49歳  40.1万円  696.3万円
50~54歳  42.4万円  717.7万円
55~59歳  47.1万円  813.3万円
60~64歳  46.8万円  694.8万円

※出所:厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』より

女性が51歳になるときに長男が大学生に。遺族基礎年金は子の加算分が引かされ、月14.2万円程度に減額。それでも嬉しい収入だったことに変わりはありません。

女性が53歳になるとき次男も大学生に。遺族基礎年金をもらうことができなくなりましたが、遺族厚生年金に「中高齢寡婦加算」61万2,000円が加算され、月10万5,000円ほどの年金がもらえるようになりました。

2人の子は順調に大学を卒業。女性、57歳の時に次男が大学を卒業・就職をし、無事、子育て終了。「親としての務めを果たしてホッとした」と女性。また「夫の遺族年金があるので、60歳の定年で仕事をやめることができた」と振り返ります。

キャリア妻「65歳から受け取れる遺族厚生年金額」に衝撃

65歳を迎えた女性。老齢年金の受給がスタートする年齢です。ここで女性は年金額に久々に泣いたといいます。

女性が受け取れるのはまず「老齢基礎年金」。令和6年度、満額受給であれば月6万8,000円です。そして老齢厚生年金。女性が大卒女性の平均的な給与を手にしてきたと仮定したら、年114.4万円ほど、月に9.5万円ほど、受け取れる計算です。

合わせて16.3万円。それに遺族厚生年金……と思うでしょう。しかし、女性がもらえる遺族厚生年金は、65歳以上で老齢厚生年金を受け取れる人の場合、遺族厚生年金の受取額は、「①死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額」と「②死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の額の2分の1の額と自身の老齢厚生年金の額の2分の1の額を合算した額」を比較し高いほう。

女性の場合、単純計算「①65.3万円」<「②76.3万円」となり、遺族厚生年金額は「年76.3万円、月6.4万円」となります。

さらに「65歳以上で遺族厚生年金と老齢厚生年金を受ける権利がある人は、老齢厚生年金は全額支給となり、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額の支給が停止となります」というルールがあります。つまり、「遺族厚生年金-老齢厚生年金」で、プラスの部分だけ受け取れるということ。女性の場合、自身の老齢厚生年金は「95.3万円」となり、遺族厚生年金を上回るため、全額支給停止となります。

月16万円強の公的年金。女性ひとり暮らしていくには十分ですが、これまでもらえていた遺族厚生年金額はゼロ円と、思わず唖然としてしまう結果に。「これまで夫の遺族年金に支えてもらっていたので……金額以上に、大きな喪失感を覚えました」と女性。改めて、独り身であることを実感したといいます。

このように、夫婦共働きの場合、65歳を境に、全額支給停止ということもありうる遺族年金。公的年金中心の老後の生活を考えていると、想定以下の年金額に、年金生活スタート早々に行き詰まることになり、注意が必要です。

[参照]

内閣府『生活設計と年金に関する世論調査』

日本年金機構『遺族年金(受給要件・対象者・年金額)』

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