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年金15万円・75歳母「あなたには、親を看る責任があるのよ!?」高齢者施設を脱走後、娘に説教も「もうムリ、ごめんね」…施設入所を巡る激しい攻防

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月17日 11時15分

年金15万円・75歳母「あなたには、親を看る責任があるのよ!?」高齢者施設を脱走後、娘に説教も「もうムリ、ごめんね」…施設入所を巡る激しい攻防

(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢者の終の棲家である「老人ホーム」だが、だれもがスムーズに入居に至るわけではなく、また「入居=安泰」とはいいきれない。昨今の複雑な事情を見ていく。

介護されるなら、誰に?…「子」を挙げる人は10.7%

人間、だれもが年を取る。個人差はあるが、若いころと比較すれば身体機能は著しく衰えていき、介護が必要になるケースも多い。

朝日生命『自分の老後・介護についての意識調査』によると、「将来介護が必要な状態になると思うか」の問いに「思う」「少し思う」と回答した人は、合計で約7割だった。

そして「介護が必要になったときに不安に思うことは」の問いの最多の回答は「介護費用をまかなうための資金が不足すること 」が62.2%。「家族・親族に肉体的・精神的な負担をかけること」55.1%、「公的介護保険の内容だけでは支援として不十分なこと」49.1%、「家族・親族に経済的な負担をかけること」 45.8%、「介護してくれる人が身近にいないこと」45.2%、「介護がいつまで続くかわからないこと」44.9%となっている。

懸念事項は主に「お金」と「介護者への負担」が大きいようだ。

続いて「介護されるなら、誰にしてもらいたいか」の問いだが、最多は「その他の第3者」で37.4%。「夫または妻」22.1%、「子」10.7%と続く。年齢が高い層のほうが「第3者」を選ぶケースが多く、60代前半では40.8%となっている。

さらに「介護生活に望ましいカタチ」を聞いたところ、「介護施設に入居する」が56.7%でトップとなっている。以降、「在宅で家族に介護してもらう」21.9%、「在宅で家族以外に介護してもらう」が19.0%と続く。

要支援・要介護者の割合だが、60代後半で2.0%、70代前半で5.8%にとどまっているものの、70代後半では11.8%が要支援・要介護者となっている。80代前半になれば、26.0%と4人に1人、85歳以上では59.5%と、2人に1人の割合だ。

これを見れば、だれにとっても介護は「自分ごと」なのである。

40代の会社員女性…兄と弟に母親の介護を押し付けられ、疲弊

介護負担の重さについては、しばしばマスコミでも報道されているとおりだ。実際に、身近な人が介護と向き合い、実情を見聞きしている人、当事者の声を聞いている人も多いに違いない。

厚生労働省『令和4年国民生活基礎調査』によると、主な介護者が「ほとんど終日介護にあたったいる」という割合は、「要介護1」では11.8%だが、「要介護2」は17.0%、「要介護3」は31.9%、「要介護4」は41.2%、「要介護5」は63.1%…と、介護度が重くなるほど、負担も重くなっていく。

横浜市在住の40代のある女性は、実家で独居生活を送っている母親の介護に疲れ切っていた。父親は3年前に亡くなったという。

「私は3人きょうだいの真ん中で、私と2つ違いの兄と弟がいますが…」

きょうだいはいずれも実家の近隣エリア在住で、電車で10~30分程度。しかし、兄と弟は仕事を理由に母親のサポートに手を出さず、それぞれの妻も「介護は実子」と主張し、一切手助けをしてくれない。

「私だって会社員です。夫は激務で頼れないし、小学生の末っ子の世話もあります。会社帰りに立ち寄って、土日に足を運んで、もうヘトヘトです…」

可能な限り介護サービスを活用しようとしたが、「なぜ実の娘がいるのに、他人の手を借りる必要があるのか」と母親の逆鱗に触れた。

「挙句の果てには〈介護しない娘には、遺産は一切やらない〉とまで言われてしまい…。なんていう言い草なのかと。自分の母親ですが、あまりのワガママに呆れました」

「あなたには娘として、親を看る責任があるのよ!?」

ところが女性は過労がたたったのか、運悪くコロナに罹患。2週間ほど母親のもとに通えない日が続いた。

さすがに女性に同情した兄と弟とともに、ケアマネージャと相談し、母親を老人ホーム入居させようと動き始めた。

女性の母親は75歳。施設の入居期間は5年以下といわれているが、長期の入居も想定し、月額費用は母親の年金額の月15万円で収まるところをターゲットとし、入居金はゼロか、できるだけ少ないところを狙った。そして、面会に行きやすい距離感であることも外せない。

きょうだい3人で血まなこになって探した結果、奇跡的に条件にマッチた施設が見つかり、母親に入所してもらうことができた。

ところが、ホーム入所から1カ月ほど経過したところ、施設から女性のもとに緊急連絡があった。なんと「母が施設からいなくなった」というのである。

施設の従業員の探索により、すぐに母親は見つかったが、「家に帰して!」と叫び、落ち着くまで大変だったという。しかしその翌日、母親はまたしても施設から逃走。そしてなんと、女性の自宅へやってきたのである。

「親をあんな所に押し込めて、娘として恥ずかしくないの!?」

「あなたには娘として、親を看る責任があるのよ!?」

と激怒。

「娘だからって、そんなことをいわれても…。子どもの責任は平等じゃないでしょうか…」

施設からやんわりと「迷惑です」といわれてしまい、兄と弟からは「俺たちにはどうしようもない」頭を下げられたうえ、下駄を預けられた格好になってしまった女性。なんとか施設に戻ってもらったが、とてもこのまま落ち着いてくれるとは思えないという。

「みんながみんな、ウチの引き取りを希望しているのはヒシヒシとわかるのですが、とてもじゃないですが、応じることはできなくて。〈もうムリ、ごめんね〉って…」

兄と弟、そして母親との攻防はまだ続きそうだという。女性が意思を通すことはできるのだろうか。

介護問題の裏側には、介護する側・される側の「べき論」があり、それが事態を一層複雑にしているのかもしれない。

[参照]

厚生労働省「介護給付費等実態統計月報」

総務省「人口推計月報」

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