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がん治療のため休職→給与の「3分の2」が戻ってくる?…2年前に変わった〈傷病手当金〉の仕組み【医師が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月7日 10時15分

がん治療のため休職→給与の「3分の2」が戻ってくる?…2年前に変わった〈傷病手当金〉の仕組み【医師が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

がん治療の過程で休職したために月々の給与が貰えないうえ、高い医療費を背負うことになってしまう人も。しかし、確定申告の医療費控除と傷病手当金の制度を駆使することで、さまざまな費用を取り戻すことができるかもしれません。医師である勝俣範之氏の著書『あなたと家族を守る がんと診断されたら最初に読む本』(KADOKAWA)より、詳しくみていきましょう。

医療費控除は世帯全員が対象…過去5年以内なら還付申請も

【登場人物】

■教える人……勝俣範之先生

あらゆる部位のがんを診られる腫瘍内科医として日々診療にあたっている。

■教わる人……編集者O

身近にがんに罹患する人が増えて、わからないことだらけで心配になっている。

勝俣範之先生(以下、勝俣):1月から12月までの1年間に一定額以上の医療費の自己負担があった場合、納める所得税の一部が控除されるのが、「医療費控除」です。控除額は、以下の式を参考にしてください。

編集者O(以下、O):これは、治療を受けた本人だけが対象なのですか?

勝俣:本人だけでなく、配偶者や親族などの生計を1つにしている世帯全員の医療費が対象になります。

O:医療費控除の対象として認められるものは、何でしょうか?

勝俣:医師による診療・治療費、通院費(公共交通機関が利用できない場合以外のタクシー代、自家用車のガソリン代や駐車場料金は対象外)、入院の際の部屋代や食事代、治療や療養に必要な医薬品代などです。なお、個人の希望による差額ベッド代は対象外です。

O:広範囲ですね。通院のための交通費や入院時の食事代まで認められるのは大きいです。どんな手続きが必要ですか?

勝俣:確定申告書を所轄の税務署に提出します。インターネットでの申請も可能です。過去5年以内であれば、還付申告もできますよ

休職中の給与の一部がもらえる「傷病手当金」…受給条件は

O:手術などで休職すると、月々の給与がもらえませんね。

勝俣:そういうときに利用したいのが、「傷病手当金」です。これは会社員や公務員などを対象とした制度で、休職している間、1日につき、給料の日額の3分の2が支給されます。2022年には支給期間が「最長で1年6か月」から「通算で1年6か月」に変わりました。

O:支給される条件は、どうなっていますか?

勝俣:次の4つの条件をすべて満たす必要があります。

(1)業務外の事由による病気やケガの療養のための休業。これはがんによる休職だからクリアですね。

(2)仕事をすることができない。

(3)3日以上、連続して仕事ができなかった。この3日間を待期期間と呼びますが、これには有給休暇、公休日も含まれます。

(4)休業した期間に給与の支払いがないこと。ただし給与の支払いがあっても、傷病手当金の額より少ない場合は、その差額が支給されます。

障害手当金などを受給する場合は制限もあります。まずは勤務先の担当部署に確認し、加入する医療保険の窓口に支給申請書を提出しましょう。

勝俣 範之 日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科 教授/部長/外来化学療法室室長

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