上場株にはない「メリット」があった…〈プライベート・エクイティ投資〉を攻略する「最善の方法」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月21日 11時15分
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※本記事は、シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社の『マーケット情報』を転載したものです。
新しいセミ・リキッドファンド
リミテッド・パートナーシップ(LP)が要求する長期のロックアップや最低投資額の要求が高額なこともあり、これまでプライベート・エクイティ(PE)の主な投資家は機関投資家でした。そのため英国では、ウェルス・マネージャーやリテール顧客は投資信託を通じてエクスポージャーを獲得しています。
今日、新しいセミ・リキッドファンドの構造により、個人投資家は、過去10年間にわたり、ポートフォリオのアウトパフォーマンスと分散効果をもたらしてきた資産クラスへ投資するための幅広い選択肢を手に入れたことになります。
縮小する公開市場ー投資家は投資機会を逃しているのか?
プライベート・エクイティ市場を牽引するもう一つの重要な要因は、企業の非公開志向の高まりであり、実際、公開市場は縮小してきています。
JPモルガンのアナリストによると、今年の上場株式の純減額は1,200億ドルとなり、昨年の400億ドルを上回って3年連続の減少となりました。これは長期的なトレンドの一部です。1996年から2023年の間に、ロンドン証券取引所の主要市場に上場する企業数は60%減少し、米国では40%減少しました。
現在、収益が1億ドルを超える米国企業のうち、株式市場に上場しているのは15%未満であり、ほとんどの預金者は幅広い成長機会を逃していることを意味します。
PEの評価方法を理解する
英国におけるプライベート・アセットへの関心の高まりを受けて、FCA(英国の金融規制当局)はプライベート市場の評価に関するレビューを実施しています。
その焦点の一つは、企業内のバリュエーション実務に対する説明責任と評価委員会のガバナンスです。しかし、評価方法にも焦点が当てられています。
法律事務所リード・スミスがブリーフィング・ノートで述べているように、レビューの主な推進力には、「非上場投資の評価は、非流動性、セカンダリー市場の欠如から、単一の評価手法が存在せず主観的である」という事実が含まれる可能性が高いです。
言い換えれば、公開株式は、需要と供給に基づいて、市場によって毎日価格が付けられます。オープンな市場がなければ、非公開企業はどのように評価できるでしょうか。
PEプロバイダーが使用する評価手法は大きく3つに分類され、多くの場合、組み合わされて使用されます。
マーケット・アプローチ
類似上場企業の市場価格、および類似の非公開企業の買収事例や重要な資金調達イベントを活用します。EBITDA、EBIT、純利益、収益、簿価に対する評価など、様々な評価指標を使用することができます。
インカム・アプローチ
貨幣の時間的価値と特定の投資のリスクの増分を表す期待収益率を用いて現在価値に割り引いた期待キャッシュフローを利用します。投資評価におけるインカム・アプローチは、主に投資が複数のキャッシュ・フローを生み出すことが予想される場合に適用されます。
マイルストーン・アプローチ
過去のマイルストーンの達成度、および将来のマイルストーン達成の確率に基づいて評価を行います。通常、当面の間、収益やキャッシュフローを創出できない企業(シード、スタートアップ、アーリーステージ)に対して用いられます。
PE投資の考え方: 機関投資家のアプローチから学ぶ
公開市場が存在しない以上、バリュエーションが常に正確であることを証明することはできません。しかし、PEプロバイダーは、企業のファンダメンタルズに基づき、厳格な会計基準に従って使用されるこれらの方法は、正確な状況を示すと主張しています。
また、上場株式の株価は、ファンダメンタルズだけでなく投資家のセンチメントにも左右されるため、効率的ではないことが多いとも指摘しています。
関連する点として、プライベート・エクイティの保有株式は、通常、月次または四半期ごとという長い間隔で評価されるため、公開市場の価格にしばしば影響を与える短期的なセンチメントの影響を受けにくい傾向があります。これは、一般的にボラティリティが低いことを意味します。
PEのエクスポージャーを得るために流動性の高い上場投資信託を選択した投資家は、取引所で取引されることから生じる日々の価格変動のため、公開市場のボラティリティをより高く引き受けることになります。これは、NAV(純資産価値)に対するディスカウントによく表れています。
シュローダーのプライベート・アセット&インベストメント・トラストのセールス・ディレクターのジェームス・ロウ氏によると、「非公開市場」の考え方は、ポートフォリオ内で効率的なPE配分を実施するのに役立つといいます。
「投資家と話す際には、各マネージャーの評価方法、プロセス、ガバナンス、利用可能なリソースを理解することが非常に重要であることを強調しています」とロウ氏は言います。
「私たちのオープンエンド型エバーグリーンPE戦略では、US GAAPやIFRS第13号などの会計基準に沿って運用し、評価は4大監査法人のうち3社の監査法人によって様々なタイミングで監査され、社内のプライベート・アセット・プライシング委員会とグループ・プライシング委員会によって定期的にレビューされています。
シュローダー・キャピタルは近年、バリュエーション・チームとバリュエーション・プロセスに多額の投資を行ってきました。これは、セミリキッドPE戦略を適切に管理するために極めて不可欠な要素でした」
しかし、短期的なバリュエーションに重点を置きすぎることは、暗黙のうちにパブリック・マーケット的な考え方を採用することになるとロウ氏は考えています。
「それは私たちの見解ではより広範なポートフォリオでプライベート・エクイティを活用するための最も効果的な方法とは思えません」
ロウ氏は、機関投資家が長年成功させてきたモデルから学ぶことを推奨しています。
「戦略的かつ長期的な資産配分計画の一環としてPEポジションへ投資することです。戦略的な資産配分の規律は、投資家が定期的に取引ができる柔軟性を提供するPEビークルに投資する場合、さらに重要になります」
「投資信託、セミリキッドファンド、LPは、それぞれ異なるメリットを持つ有用なストラクチャーです。しかし、投資家がどれを利用するにせよ、私たちのアドバイスは、PEへの投資配分は長期的な時間軸で考えることです」
「PEのリターンプレミアムは、非流動性、複雑性、この分野での運用に必要とされる希少なスキルから生じることが多く、公開株式市場のベータへのエクスポージャーを軽減することで全体的なリターンを平準化する能力からも恩恵を受けるためには、これが最善の方法であると考えています」
福澤 基哉
シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社
執行役員/プロダクト統括
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