だから、あなたは損ばかり…株式投資初心者がやらかしがちな「結果が出るわけない」トホホな投資行動【経済評論家が助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月21日 9時15分
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(※写真はイメージです/PIXTA)
株式投資にチャレンジする人が増えています。しかし、せっかくのチャンスをフイにしたり、行動をためらって大きく傷を広げたりするケースが見受けられます。どのようなところに注意すれば、利益を大きく、損失を少なくすることができるのでしょうか。投資経験豊富な経済評論家の塚崎公義氏が解説します。
投資初心者「利益確定売り」が早過ぎる!
老後資金の形成を目指す場合、投信の積立投資を淡々と続けるべきだと筆者は考えています。つまり、現役時代での売却は推奨していません。しかし、それとは別に「小遣いでバクチを楽しむ」なら、売買のタイミングについて考えることは重要です。
株式投資は、買うタイミングもむずかしいのですが、売るタイミングはそれ以上にむずかしいといわれています。一般に、投資初心者は「利食い売り(利益確定売り)」が早すぎる一方で、損切りすべきときに塩漬けする傾向にある、といわれています。
株価が10倍以上になった銘柄は数多いので、投資初心者のなかにもそんな銘柄を買ったことがある人は多いかもしれません。しかし、多くの人が3割値上がりしたところで売ってしまい、3倍になるまで持っていた人は稀だと思います。
株価が上がってくると、利益を確定したくなる人が多いようです。そもそも株式投資は「怖いもの」だと思っているので、「いまのうちに売っておかないと、値下がりして利益が消えてしまうかもしれない」と考えるのでしょう。
人間の脳は儲かった喜びより損した悲しみを強く感じるようにできているので、「せっかくの儲けを失う恐れ」を「儲けが2倍になる期待」より強く感じるのかもしれません。
一方で、損切りできず「塩漬け」にしがち…
一方で、株価が値下がりすると、本来は損切りをすべきときでも売らずに「塩漬け」にする投資初心者が多いようです。「いま売ったら損が確定してしまう。それは避けたいから、値段が戻るのを待とう」ということなのでしょう。
実際、暴落した株価が戻ってくると、売り注文が増えるといわれています。「やれやれ売り」というのだそうですが、ホッとして売り注文を出している投資初心者の顔が目に浮かぶようです。
株価の戻りに賭けたい、という気持ちはわからなくはありませんが、その理由が「こんな株を買った自分が愚かだったと思いたくない」ということだとすると、「自分に見栄を張って非合理的な選択をする」のはお勧めできませんね。
考えるべきは「どちらを選択すれば金持ちになれるか」のみ
買った値段より上がったら売りたくなり、下がったら塩漬けしたくなる…というのは、そもそも合理的な判断ではありません。買った値段にかかわらず、上がりそうなら持っていればいいし、下がりそうなら売ればよいのです。
株を買ったときに払った金は「サンクコスト」であって、戻って来ないのですから、将来志向で「売るのと売らないのと、どちらを選択すれば自分は金持ちになれるか」だけを考えればよいのです。
買った値段に囚われないためには、毎朝持っている株を全部売ってしまう、というのがよいでしょう。そして、新しく投資をするのです。もちろん、売った株と同じ株を買う場合も多いでしょうが、別の株を買う場合もあるでしょう。
そうすることによって買った値段に囚われずに合理的な判断ができるようになるでしょう。もっとも、実際に売り買いすると手数料がかかりますから「売ったつもりになる」だけで十分ですが。
暴落しても「深呼吸して待つ」が基本だが、個別株は要注意!
株価が暴落したときに、冷静でいられる投資家は少ないでしょう。しかし、気が動転しているときに意思決定をすると、間違える可能性が格段に高いので、まずは深呼吸して落ち着きましょう。
平均株価が暴落したときには、過去数十年の平均株価のグラフをじっくり眺めましょう。何度も暴落し、そのたびに回復していることを確認したうえで「今回だけは回復しない」と考える理由を考えてみましょう。そんな理由は見つからないでしょうから、今回も回復すると期待して、売らずに静かにしていましょう。
ただし、個別株が暴落した場合には、暴落の理由が重要です。一時的な原因(たとえば災害で部品の調達が一時的に不可能になり、工場が止まってしまった)による暴落なら、待っていれば戻りますから売ることはありませんが、会社の将来性に対する期待が剥げてしまった場合には、あきらめて「損切り」をしたほうがよいでしょう。
「損切り」と「狼狽売り」どうやって区別する?
投資初心者は「損切りが苦手で、売るべきときに売らず、塩漬けにしてしまうことが多い」「株価暴落時に狼狽売りをして損をすることが多い」といわれます。それぞれ反対のことをいわれているようですが、しっかり区別しましょう。
「狼狽売り」は冷静さを欠いた判断ですが、「損切り」は冷静な判断の結果としての売却です。まずは深呼吸して落ち着きましょう、ということですね。
それから、平均株価が暴落したときは、売らずに見守るほうがよい場合が多く、個別株の暴落の時は冷静に暴落の原因を探ってから判断する、ということだと思います。
なお、株価が暴落して「これ以上下がったら生活に支障が出る」と慌てる人がいますが、そういう人はそもそも投資額が過大なのです。そんな事態に陥らないためには「株価がゼロになっても生活に支障が出ない金額の範囲内でバクチを楽しむ」ことが重要でしょう。
本稿は以上ですが、投資判断等は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があります。
筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「THE GOLD ONLINE」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。
塚崎 公義 経済評論家
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