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部屋に泥棒がいる!〈高級老人ホーム〉で優雅に暮らす86歳母からのSOS…急ぎ駆けつけた51歳長男の目に飛び込んできた「まさかの光景」【FPの助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月30日 11時15分

部屋に泥棒がいる!〈高級老人ホーム〉で優雅に暮らす86歳母からのSOS…急ぎ駆けつけた51歳長男の目に飛び込んできた「まさかの光景」【FPの助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

核家族化が進む日本では、子どもが都市圏に住み、親は地方に1人で暮らしているというケースが少なくありません。子どもとしては、近くに住んでもらって安心したいところですが、ここで選択を誤ると、思わぬ悲劇に見舞われることも……具体的な事例をもとに、介護施設への入居を検討する際の注意点をみていきましょう。実際に介護施設での勤務経験もある株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也FPが解説します。

ひとりになった母親へ…息子からのプレゼント

Aさん(86歳)は、昨年夫を亡くし、現在とある地方に1人で暮らしています。現役時代、夫は上場企業で会社役員をしていたことから、Aさんは立派な自宅と多額の遺産を相続。夫を失った悲しみはあったものの、金銭的にはなんの不自由もない生活を送っていました。

そんなAさんのひとり息子である長男のBさん(51歳)は、都内で小さな会社を経営しています。高齢ながら地方でひとり暮らす母親のことを心配していたBさんは、自宅近くに自立型の高級老人ホームがオープンすると知り、母親に入居してほしいと考えるようになったそうです。

Bさんは早速資料を取り寄せ、現地に下見へ行きました。すると、高級老人ホームというだけあって設備が充実しており、外装も内装も非常にきれいです。働いているスタッフのホスピタリティも高く、文句のつけどころがありません。

決して安くはないものの、入居費も父の遺産などで問題なく支払えそうだと判断したBさんは、次の休日に実家へ帰省し、Aさんに打診してみました。

「俺の家の近くにさ、すごくきれいな老人ホームができたんだ。母さん1人ここにいるのも心配だし、もしよかったら施設に入らないか? そこに入れば、俺たちにもすぐに会えるし」。

思い出の家から離れることに抵抗があり、当初は渋っていたAさんでしたが、孫や息子夫婦といつでも会えるようになることと、息子の粘り強い交渉により、最終的に老人ホームへの入居を承諾。

入居にかかる初期費用の3,000万円は、自宅を売却したお金で賄いました。入居後にかかる月々の利用料は、約5,000万円の貯蓄と年金で問題なく支払える算段です。

きれいな設備と高いホスピタリティに、大満足の親子だったが…

慣れない生活に緊張していたAさんでしたが、いざ老人ホームでの生活が始まると、Bさんからの情報どおりスタッフは非常に優しく、いつも気遣ってくれます。

ほかの入居者も上品で話が面白い人が多く、Aさんはすぐに緊張がほぐれていきました。また、なにより、息子夫婦が孫を連れてたびたび顔を出しに来てくれるのが、Aさんにとってはなによりも嬉しかったようです。

「お父さんとの思い出が詰まった家を離れるのは寂しかったけれど、思い切ってここへきてよかったわ」高級老人ホームでの暮らしを楽しそうに語るAさん。そんな母親をみて、息子のBさんも大満足です。しかし……。

突如訪れた“平穏な日常”の終わり

ある日、Bさんの携帯にAさんから電話がありました。電話に出ると、Aさんが取り乱した様子でこう言います。

「B! 部屋に泥棒が入ってきたの! 早く来て!」

「まさか、あの施設に限ってそんなことがあるはずがない」と考えたBさんでしたが、母親の取り乱し方に驚き、とにかく実際に確認するため急いでAさんのところへ駆けつけました。

Bさんが目にした「衝撃の光景」

そこでBさんが目にしたのは、怯えながらベッドで布団を被るAさんの姿でした。部屋を荒らされた形跡はなく、前来たときと同じようにきれいに整っています。

Bさんは、Aさんに声をかけてみました。

Bさん「おふくろ! 大丈夫か!? 泥棒って!?」

Aさん「あぁ~Bありがとう……ちょっと、まだいるわ! ほらそこ! 助けて!」

Bさんは愕然としました。Aさんが指差していたのは、窓ガラスに映るAさん自身の姿だったのです。

「なにを言ってるんだ、おふくろ。驚かせないでくれよ……。自分の姿が映っているだけじゃないか」。

Bさんは優しくなだめますが、Aさんは怖がって布団から出てきません。

とにかくこの場をなだめるため、Bさんは静かにカーテンを閉め、Aさんを安心させました。そして、スタッフにいまあったことを報告し、施設を出ました。

後日、Aさんを連れて病院で検査を受けたところ、Aさんには認知症の症状が出ていることが判明。思い返すと、たしかに近頃は物忘れが激しく、何度も同じ話をするなど、認知症の症状が表れていたように思います。しかし、「年のせいかな」とBさんはあまり気にしていませんでした。

それがいつの間にか、自分の姿を泥棒と勘違いするまでに症状が進んでいるとは……。Bさんは、「これからどうしよう」と途方に暮れてしまいました。

なぜなら、その高級老人ホームは軽度の認知症までしか対応しておらず、認知症が進行し重度になると「共同生活を送ることが難しい」と判断され、退去しなければならないルールがあるためです。

Bさんの悲劇が“大袈裟”とは言えないワケ

ニッセイ基礎研究所「令和5年全国将来推計人口値を用いた全国認知症推計(全国版)」によると、2012年に462万人だった認知症患者は2030年に744万人に、2040年には800万人を超えると推計されており、高齢化とともに増加の一途をたどっています。

今回の事例のように「自分の姿を泥棒と見間違える」といったケースは多くないかもしれません。しかし、せっかく老人ホームに入居しても認知症が発症してしまい、せっかく見つけた“終の棲家”を退去せざるを得なくなるケースは少なくないのです。

では、AさんとBさんは、今後どのような対応をとるべきでしょうか。

認知症になっても安心して入居可能…3つの高齢者施設とその費用

下記のように、認知症になってからでも入居できる高齢者施設があります。主に、次の3つです。

認知症対応型生活介護(グループホーム)……月額13~20万円程度

認知症対応型生活介護は、認知症の症状をもつ人が少人数で生活する施設です。認知症に対応できる専門職員が配置されており、必要な支援を受けながら、家庭的な環境で安心して日常生活を送り、症状の緩和を目指します。

特別養護老人ホーム(特養)……月額6~15万円程度

特別養護老人ホームは、原則として要介護度3以上の方が対象ですが、認知症の方は要介護度2以下でも入居できるケースもあります。

また、看護師も配置されており、医療的ケアも可能です。ただし、つきっきりの看護が必要な場合、受け入れられない場合もあります。

介護付有料老人ホーム(特定施設)……月額20~45万円程度

介護付有料老人ホームには、介護士のほか、作業療法士や理学療法士といったリハビリ職や看護師が配置されています。部屋は個室になっており、24時間スタッフが常駐していることから、安心して過ごすことができます。

いずれの施設の場合も、入居したい旨を伝えると、相談員などの専門スタッフが自宅や施設、病院まで赴き、ヒアリングが行われます。その後、入居が可能と判断された場合は具体的な入居時期を打ち合わせるという流れです。

検討している人は、まずは施設に問い合わせてみるといいでしょう。

よかれと思っての提案だったが、申し訳ない…Bさんの後悔

Bさんは結局、Aさんを介護付有料老人ホームに移住させることにしたそうです。「よかれと思って実家を離れてもらったのに、申し訳ない……」Bさんは後悔の念に襲われています。引っ越しと新たな施設の入居費で出費はかさみますが、致し方ありません。

高齢化にともない、認知症を患う人は増えています。また、今回のケースのように、急な環境の変化に伴う強いストレスが原因で認知症を発症するケースも少なくありません。

お金が潤沢にあったとしても、準備を怠り、勢いで決断するのは控えましょう。認知症は親にも自分にも起こりうる可能性があります。「自分には関係のないこと」「いまは考えるのが面倒だ」と思わずに、周囲や専門家に相談のもと、念入りな対策を心がけましょう。

武田 拓也 株式会社FAMORE 代表取締役

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