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更地の状態で〈1億円〉なら?→土地の相続税評価額「自宅が建っている」「貸家が建っている」「土地を貸している」それぞれのケースの計算実例【税理士が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月28日 11時15分

更地の状態で〈1億円〉なら?→土地の相続税評価額「自宅が建っている」「貸家が建っている」「土地を貸している」それぞれのケースの計算実例【税理士が解説】

(画像はイメージです/PIXTA)

土地の相続税評価額は、土地の状や、土地の建物の利用状況によって変わります。具体的な事例を見ながら比較してみましょう。※本記事は、公認会計士・税理士・行政書士の深代勝美氏の著書『改訂3版 ゼロからはじめる相続 必ず知っておきたいこと100』(あさ出版)の中から一部を抜粋・再編集したものです。

利用状況によって「土地の相続税評価額」が変わる!?

貸家が建っている土地では評価減に

土地の相続税評価額は、土地の状況だけではなく、その土地の建物の利用状況によっても変わります。ここからは更地の時の評価額である自用地価額が1億円として、事例で考えてみましょう。

自宅が建っている場合、自用地価額により評価するので、評価額は1億円となります。

ただし、自宅の場合には、「小規模宅地等の特例」の適用という制度が利用できます。自宅について特例の適用を受けると、330m2まで80%の評価減となります。

したがって、自宅の敷地が330m2だと仮定すると、評価減となって評価額は、

1億円×(100% − 80%)= 2,000万円

となります。

また、土地や建物を貸している場合についても見ておきましょう。

もし貸家が建っている場合は、

自用地価額 ×(100% − 借地権割合 × 借家権割合)

という計算式で評価します。貸家には、賃貸アパート・マンション、貸店舗、貸事務所などのように賃貸借契約を結んでいる場合が含まれ、このような貸家が建っている敷地を貸家建付地と呼びます。

借地権割合は地域によって異なるのですが、60%の地域と考えると、借家権割合は30%なので、今回の場合は、

1億円 ×(100% − 60% × 30%)= 8,200万円

の評価額になります。

◆貸地の場合も評価減になる

次に、土地を貸している場合はどうでしょうか。他人の建物が設けられていて、借地権が設定され、地代を受け取っている貸地は、

自用地価額 ×(100% − 借地権割合)

で評価します。借地権割合が60%だと、

1億円 ×(100% − 60%)=4,000万円

の評価額となります。

この場合、評価額4,000万円ですが、貸地は借地権者に購入していただくか、地主と借地権者の話し合いがまとまれば一緒に売却するかなどしかなく、利用できないだけでなく、処分もしにくい財産ですから、相続税評価が時価より高いとの意見もあります。

なお、よくあるケースですが、親の土地に子どもが建物を設けて、地代を支払っていない場合については、子どもには借地権の権利がないものとされています。そのため自用地価額(更地)により評価することになり、この例では1億円の評価額になります。

このような土地を無償で利用している方法を使用貸借といいますが、昔は親子間の使用貸借が問題視されていて、贈与税が課税されていました。

しかし、親の土地に子どもが無償で家を建てることが社会で一般的に行われ、税法が社会の実情にそぐわなくなり、親子間の使用貸借は認められるようになりましたが、評価は下がりません。

「貸家建付地」として扱ってもらえない場合とは?

家族への賃貸や駐車場などは線引きが難しい

貸家建付地となるかどうかというのは、相続財産の評価においては大事なポイントです。貸家建付地になるかどうか判断が分かれるケースについて考えてみましょう。

①子どもが同居しているケース

親名義の貸家に子どもが居住している場合、息子が住んでいる部分は一般的には家賃の支払いや受け取りはありません。

この場合、無償での部屋の利用でしかないので、他人にアパートを賃貸しているわけではなく、貸家建付地評価とはなりません。仮に契約書も作成して、常識的な賃料を銀行振込で支払っているのなら、貸家建付地評価となる可能性が出てくるでしょう。

②駐車場は原則として更地評価

貸家が建っている部分と駐車場、空地が一団の宅地内にある場合、どの部分までを貸家建付地とするのかというのも判断が難しい事例です。

通常、駐車場として利用している土地は、原則的に自用地として更地評価とします。また、駐車場の利用者に貸家の入居者以外の利用者がいるなどの場合も更地評価になってしまいます。

しかし、貸家と駐車場が一体で利用され、駐車場の利用者がすべて貸家の入居者であれば、利用の単位を同一と見て貸家と駐車場の全体を貸家建付地として評価します。

建ぺい率や利用者の状況で判断する

アパートが数棟あって、それぞれのアパートの敷地のどこまでが一体利用かどうか判断が分かれるのなら、建築基準法に基づく「建ぺい率」で計算する方法もあります。

建ぺい率とは敷地面積に対する建築面積の割合のことですが、建ぺい率40%の地域の400m2の宅地内に100m2の貸家を建てたとすれば、100m2 ÷ 40% = 250m2の敷地が必要となります。この程度の面積までであれば一般的に貸家建付地評価ができるでしょう。

また貸家の敷地内の駐車場についても、駐車場の場所と貸家がフェンスや塀などで明確に区分されている場合には、建ぺい率などより貸家部分が広くとも貸家建付地と考えることができるでしょう。

しかし、アパートと駐車場が道路を挟んで右と左にあるような場合には駐車場は更地評価になります。

深代 勝美 公認会計士、税理士、行政書士 深代税理士法人 理事長、(株)アンテックス代表取締役社長、経営コンサルタント

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