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親には感謝していますが…月収28万円・家賃7万円、都内1人暮らし30歳独身サラリーマンの後悔【FPの助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月10日 11時15分

親には感謝していますが…月収28万円・家賃7万円、都内1人暮らし30歳独身サラリーマンの後悔【FPの助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、高卒と大卒の生涯年収には約5,000万円の差があります。こうした状況から、奨学金制度などを利用して大学進学を決めたという人も多いでしょう。ただ、本制度の利用にあたっては、慎重に検討する必要があります。奨学金制度の注意点と家計改善の方法について、具体的な事例をもとにみていきましょう。FP Office株式会社の中山梨沙FPが解説します。

大学進学率は約6割…親が“多少無理をしてでも”大学に行かせたいワケ

文部科学省「令和5年3月卒業_高等学校卒業者の学科別進路状況」によると、高校を卒業後、約60%は大学に進学し、約15%程度が就職を選んでいます。

大学進学者が増えている背景はさまざまですが、賃金格差もその理由の1つでしょう。給与は業種によって異なるため、必ずしも、高校卒業者より大学卒業者のほうが年収が高いわけではありませんが、統計上は賃金格差があるといえます。

[図表1]は、厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」に基づいて筆者が作成した高校卒業者の平均年収と大学卒業者の平均年収です。これをみると、最終学歴が高校の人よりも大学の人のほうが年収が平均5,000万円高いとの結果が出ています。

この賃金差を見ると、多少無理をしてでも我が子を大学に進学させてあげたいという親が多いのも頷けます。

しかし、大学進学には多額の費用がかかります。大学進学ガイドブックによると、受験や入学時の費用だけでも平均154万円かかるといわれ、年間でかかる学費は国立・私立、文系・理系によって異なるものの、平均的に70~80万円かかります。

親が全額負担するのが難しい場合、奨学金を利用することで負担を緩和させることが可能ですが、安易な利用は危険です。利用する前に知っておかなければならないポイントがいくつかあります。

大学生活が楽しく、バイトができないと奨学金を2万円増額…30歳拓也さんの「後悔」

今回ご紹介するのは、都内に住む30歳男性・拓也さん(仮名)の事例です。

拓也さんは、高校時代成績優秀でしたが、あまり裕福な家庭ではなかったことから、奨学金制度を利用して大学に進学することを決めました。

奨学金はいくつかの団体で申請することが可能ですが、もっとも一般的なのは、日本学生支援機構の奨学金です。拓也さんが利用したのは、この日本学生支援機構の「第二種奨学金」でした。

申し込む際に、大学卒業後は利息が発生する旨について説明を受けていた拓也さん。当初は月額8万円を奨学金に頼り、あとは自分でアルバイトをして生活しようと決めていました。

しかし、大学入学後は、キャンパスライフが楽しく、また思ったより忙しくなってしまい、想定よりアルバイトに時間を割けないことに気づきます。そして、「社会人になったらどうにかなるか」と、途中から借りる金額を月額8万円から月額10万円に増やしました。

社会人になって気づいた「予想外の事態」

その後、あっという間に4年間が過ぎ、無事新卒の社会人として1歩を踏み出した拓也さん。都内での1人暮らしをはじめ、忙しいながらも充実した新生活がスタートしました。

しかし、拓也さんはすぐに想定外の事態が発生していることに気づきます。それは、「額面と手取り額の差が大きい」ということと、「奨学金の返済は卒業後に1%ほどの利息がつく」ことの2つです。

拓也さんは、提示されている給与はすべて自分の手元に入ると思っていましたが、毎月の給与からは社会保険料等が天引きされており、実際の入金されたのは4~5万円も少ない金額でした。

また、奨学金は、4年間で450万円ほど借りており、返済期間は20年、利率は1.1%です。月々の返済額は約2万1,000円ほどで、このまま返済を続けると、利息だけで50万円ほど余分に払わなければなりません。

拓也さんの収支について、当初の見込みと現実をまとめると、下記のようになります。

〈拓也さんの当初の見込み〉

■収入

給与:24万円

■支出

奨学金返済:1.8万円

家賃:7万円

生活費等:10万円

■収支

24万円-1.8万円-7万円-10万円=約5万円

残りの約5万円は毎月貯金し、10年後結婚資金などにあてる。

5万円×12ヵ月×10年=600万円

<現実>

■収入

給与(手取り):19万円

■支出

奨学金返済:2万円

家賃:7万円

生活費等:10万円

■収支

19万円-2万円-7万円-10万円=0円

結果として、給料が入っては出る状態になり、計画していた貯金はまったくできていません。30歳になったいま、給与は28万円(手取り22万円)と、当初よりは上がったものの、昨今の円安の影響で物価も上がり、生活費も上昇しています。そのため、状況にあまり変化はありません。

困った拓也さんは、お金の専門家であるファイナンシャルプランナーに相談することにしました。

親には感謝していますが、親に任せきりでよく調べもせずに奨学金を借りてしまい、本当に後悔しています。このままでは、結婚どころか、資産形成もろくにできないまま年を取ってしまいそうです。どうすればいいでしょうか?

相談を受けたFPは、拓也さんに次のような助言を行いました。

奨学金制度を利用する場合は、借りる段階で「返済計画」を明確に

まず、奨学金制度を利用する際には、借りる金額だけではなく、将来の返済計画も明確にしておきましょう。借りたものは必ず返済しなければなりませんし、返済するにはお金を稼がなければなりません。

大人になったら、自動車や不動産など、ローンを組んで(=お金を借りて)大きな金額の商品を購入する場面も出てきます。そのため、奨学金で早いうちからその感覚を養っておくのは大事です。

奨学金の申込時に、借入金額・返済期間・適用金利で試算し、将来返済が可能かどうか確認することをおすすめします。

また、ここで見落としてはいけないのが、給与の支給金額と手取り額の違いです。およそ15%が社会保険料の支払いに充てられ天引きされるため、その分手元に残る金額は少なくなります。

拓也さんが今後取り組める「3つ」の対策

拓也さんは今後、収支改善を行う必要があります。収支改善の基本は、「収入を増やす」、「支出を減らす」、「お金に働いてもらう」の3つです。

1.収入を増やす

拓也さんの場合、収入を増やす方法は、いまの会社でステップアップすることです。また、昇進が見込めない場合には転職を視野に入れてもいいでしょう。

2.支出を減らす

短期間で収入のアップが見込めないいま、拓也さんがまず取り組むべきは支出を減らすことです。まず現状の収支を可視化し、支出のうち必ずかかってくる固定費と、減らす余地のあるお金を分けましょう。

現在、家賃に月7万円かかっていますが、実家から勤務先に通える環境なのであれば、少し余裕が出るまでは実家から通うというのも1つの手です。

また、都内ではなくあえて関東圏の郊外に住むなど、賃料の安い物件に引っ越す方法もあります。もしも勤務先に社宅がある場合は、お金が貯まるまで利用するのもよいでしょう。

こうすることで、大幅に固定費を削減することが可能です。

また、減らす余地のある食費や日用品にかかる出費は、あらかじめ1回あたりの予算を決めておくと、支出額を抑えることができます。予算を決めておけば、スーパーやコンビニでついつい余計に買ってしまうといった“都度買い”を防ぐことができます。

3.お金に働いてもらう

こうして捻出した余剰金を使って、同時並行でお金に働いてもらいましょう。運用商品は値動きのあるもので、長期目線で増やしていく心がけが大切です。投資信託はネットで1,000円からでも運用可能ですから、まずは無理のない金額から始めてみましょう。

ただし、余剰金のほとんどをすぐに運用に回すのは危険です。人生なにが起こるかわからりませんから、「生活防衛資金」として、ある程度現預金にも置いておくことがポイントです。理想としては、毎月かかる生活費の1年分程度現預金に貯めておくといいでしょう。

とにもかくにも、まずは現状把握です。収支を可視化することで、次なにをすべきかが見えてきます。悲観せず、現実に目を向けていまできることを実行していきましょう。

中山 梨沙

FP Office株式会社

ファイナンシャルプランナー

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