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世帯年収4,000万円の超絶パワーカップルでも悲惨な老後…〈60代医師夫婦〉年金40万円・貯金2億円も、消費者金融で「お金を貸してください」のワケ【CFPの助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月23日 10時15分

世帯年収4,000万円の超絶パワーカップルでも悲惨な老後…〈60代医師夫婦〉年金40万円・貯金2億円も、消費者金融で「お金を貸してください」のワケ【CFPの助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

物価高だ、不景気だ、と巷で騒がれていても、そんな話はどこ吹く風。収入が多く、資産潤沢な高所得層は一定数います。誰もが羨むような経済状況であっても、そんな人たちも老後は苦労するというケースも……。本記事では、島さん(仮名)の事例とともに、富裕層の老後破産についてFP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が解説します。

超絶パワーカップルの老後破産

島裕二さん(仮名/67歳)、幸さん(仮名/66歳)は医師夫婦です。30代のころに同じ病院で勤務していたときに職場結婚。3人の子供達たちが大学を卒業したことをきっかけに退職しました。

夫婦そろって年収は2,000万円を超え、夫の裕二さんが59歳、妻の幸さんが58歳のときに引退するころには資産も2億円以上になっていました。

夫婦は現役時代、忙しくて2人そろっての休みをとることはなかなかできませんでした。「私たち、これまで本当に頑張ってきたよね」2人は互いを労います。これまで仕事に打ち込み我慢してきたことをすべて叶えようと、引退後はタガがはずれたように、2人で仲良く国内外さまざまな場所へ旅行に行くことに。

最もお金がかかった旅は、引退直後に行ったハワイです。リタイア記念だからと、往復の飛行機はファーストクラス。現地でブランドものの服やバック、靴などを購入し、それを身に着けて異国の街を歩き、リゾートホテルでの食事は忘れられない思い出となったそうです。

しかしこのときは、今後は現役時代に頑張った分のご褒美が待っていると信じて疑いませんでした。こんな旅行をこれからは何度もできるね、と笑い合い、何度も豪華なシニア旅を繰り返したのです。

このままではまずい…遅すぎた危機感

いくら2億円の資産があろうと、そんな生活は長く続きません。

島さんが67歳になったころ、2億円もあったはずの手元資金を使い果たしてしまい、クレジットカードも分割払いの金額が膨れ上がって、ついには消費者金融へ……。「お金を貸してください」とがっくりと頭を下げます。老後にあろうことか消費者金融から借金をするようになってしまったのです。

さすがに危機感を覚え、住んでいたマンションも売却して手元の資金2,000万円程度を確保。海外旅行に行くのもやめ、ブランド品も控えるようにしましたが、もはや収入に見合った支出にコントロールすることはできなくなっていました。

基本的な金融リテラシーさえ持たないお金持ちたち

FPが島さんご夫婦の家計を振り返ると、なんと毎月200万円もの支出があったことがわかりました。現役のころから2人は生活費だけで月間120万円ものお金を使って生活していたのです。必要だと思う分を使っていく家計スタイル。それでも世帯年収4,000万円を超える高収入だったため、特段工夫することなく2億円を超える資産をつくることができていました。

しかし、リタイア後はそれまで以上に家計管理が杜撰に。散財が止まらず、往復で400万円もするような旅行に頻繁に出かけたり、ブランドものも新しいものが出るとすぐに買ったりと浪費癖を加速してしまったのです。

特に海外旅行は交通費・宿泊代だけでなく、現地での買い物において想像よりもはるかに大きな支出となっていたようです。ブランドものの購入は、自宅にすでに着ていない服が溜る一方、本当に欲しいのかどうかを区別しないで購入してしまう状態。支出に歯止めが利かなくなっていました。

2億円と聞くと誰もが羨む余裕の生活ができる資産額だと考えてしまいがちです。しかし当然、「羨まれる資産額=際限なくお金を使えること」ではありません。島さん夫婦は年間3,000万円のペースで支出していましたので、やっと年金を受け取り始めたころにはすでに資産を使い果たし、マンションを売らなければ生活できないレベルになってしまっていたのです。さらには、それでも支出を抑えられず、消費者金融にまで手を出す始末……。

65歳からは夫婦で月に20万円ずつ、合計月40万円を受け取ることができる公的年金も受給開始されましたが、年間で2,000万円以上使ってしまっていたため焼け石に水状態です。収支の改善は喫緊の課題のはずでした。誰もがわかっていそうなことですが、使ってもよいお金には上限があり、それを超えれば手持ちのお金はマイナスしていってしまいます。ではなぜ島さん夫婦にはそれがわからなかったともいえる行動をしてきたのでしょう。

大変単純なことですが、結婚当初からお金に困ることがなかったことが根本原因となっていました。夫婦でお金について相談する必要のないほどお金に余裕がありました。どの程度まで使ってもいいのかを把握せず、お金のリテラシーを身に着けてこなかったのです。それを把握せずに生活していたことが最大の問題といえます。

資産が十分であっても老後のマネープランニングは重要

まず大事なことは、毎月の家計の収入と支出の適正化です。当然のことですが、収入に見合った支出をしていればこのようなことになりませんし、まして2億円も資産があれば毎月の収支がマイナスしていてもそうそう資産が底を尽くようなことは起き得ないはずです。

「老後2,000万円問題」が一時話題になりましたが、あくまで平均的な生活費支出の高齢夫婦が100歳ころまで生きた場合に、夫婦2人の公的年金の平均的な受給額で不足する金額の目安のことです。

島さん夫婦のようにそもそもの支出の金額が大きい場合、2億円あっても足りないという事態に。自分達はいくら支出が見込まれるのか、老後を迎える前に事前に把握しておく必要があります。

自分達が望む生活を送るにはどの程度お金が掛かるか、公的年金の受給額の見込みから、どの程度マイナスが見込まれて、資産は人生の最期を迎えるまでに余裕を持っていられる支出で生活していく必要があります。

それ以上の生活や支出を望むならばやはり早期にリタイアすることなく、非常勤の仕事などで収入を得ていくことも可能です。また、2億円も資産があるならば運用しながら取り崩すことでもっと資産の寿命を延ばすことも可能です。

老後2,000万円問題が当てはまる夫婦

老後に必要なお金は若いころの支出の習慣が基準になることが多く、リタイア後も現役のころのようにお金を使っている家庭も実は少なくはありません。

公的年金で受け取れる金額は現役時代にいくら稼いでも、月額で20万円ちょっとにしかならなりませんので注意が必要です。

総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編) 2023年(令和5年)平均結果 (2人以上の世帯)」によると、世帯主が65歳以上リタイア世帯の貯蓄額は2023年時点で2,504万円となっています。老後には2,000万円必要とありますが、それはあくまで平均的な年金収入、支出の場合ですので、2,000万円を用意しても足りないこともあり、場合によっては島さんのように2億円あっても不足するケースも。

〇〇円問題というのはその人によってまったく異なり、自分がどの程度の支出が必要なのか、それに対して年金収入がどの程度あるのか、これを事前にしっかり考え、何歳まで働いてどの程度の収入を得るのか、年金の繰下げなども選択肢として考え、自分が望む生活に最大限近いお金の計画を立てる必要があります。自分が望む生活のための資金計画、戦略を現役のころからしっかり考えておきましょう。

小川 洋平

FP相談ねっと

CFP

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