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何度も何度も助けてと…夜中に喚き散らす〈82歳父〉に〈49歳の娘〉心も体も限界、「老人ホーム」に救いを求めて【親の介護の壮絶実態】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月21日 5時15分

何度も何度も助けてと…夜中に喚き散らす〈82歳父〉に〈49歳の娘〉心も体も限界、「老人ホーム」に救いを求めて【親の介護の壮絶実態】

(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢化、長寿化が進むなか、介護問題の深刻度が増しています。「親の介護のために」と仕事を辞めるケースも。そうなると自身の老後に影響を及ぼしたり、孤立化により最悪の事態が起きたり……。そうならないためにも「老人ホームへの入所」も、ひとつの選択肢です。

高齢者の12%が認知症…2060年には18%に

「もう限界」と綴った、49歳女性。同居する認知症の父親を介護するようになり5年。ここ1年ほどで症状が進み、目を離せなくなったといいます。また、このような状況ではとても仕事を続けられないと、会社に退職を申し出ましたが、一旦、休職扱いとなり、介護に専念できるようになりました。

79歳になった父親はまだ足腰は元気で、目を少しでも離すと外に出てしまい徘徊。近所の人に保護されて戻ってくる、ということを繰り返すようになりました。また真夜中には大声で「助けて!」と連呼。そのたびに起こされ、様子を見に行くと何事もなく、そのまま眠ってしまう。そして女性が戻ってしばらくすると、また「助けて!」と連呼する。最後まで自宅で介護したいと思っていましたが、このままでは、何か事故が起きてしまうか、または自分が先に倒れてしまう……何かあってはマズいと思い、ケアマネジャーに相談のうえ、老人ホームへの入所を決めたといいます。

高齢化・長寿化が進むなか、増加傾向にある認知症患者。

厚生労働省の資料によると、2022年、認知症高齢者は443.2万人。これは高齢者の12.3%にあたります。その後の推計としては、2030年に認知症高齢者は523.1万人、高齢者の14.2%。2040年には584.2万人、14.9%。2050年には586.6万人、15.1%。2060年には645.1万人、17.7%に達するとされています。

一方、介護者の状況はどうでしょうか。妻からみた親の介護状況について調査した、国立社会保障・人口問題研究所『第7回全国家庭動向調査』の結果からみていきましょう。

年齢別に介護が必要な親がいる妻の割合をみていくと、20代では6.7%、30代で11.5%、40代で25.6%と上昇していき、50代では42.5%と、5人に2人以上の水準になります。ちなみにその後、60代では33.4%、70代では5.0%でした。さらに現在介護している割合は、20代で3.9%、30代で3.2%、40代で4.9%ですが、50代で13.9%と一気に跳ね上がり、60代では15.3%に。70代では8.5%に減少します。

結構な数の人が「親の介護」に携わっていることが分かりますが、さらに前出の通り、その介護をする親の8人に1人が認知症という状況です。

認知症でも入所可能な「老人ホーム」

認知症でも入れる老人ホームとしては、大きく4つ。まずは担当ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談をします。認知症の症状がそれほど進んでいない段階であれば、本人と共に見学をして決めたいところ。

●グループホーム(認知症対応型生活介護)

認知症の症状をもつ9人を1グループにした少人数制の施設。認知症の症状が重い場合は断られる場合もある

●特別養護老人ホーム(特養)

公的な介護施設で、原則要介護度3以上の人を対象。ただし認知症の場合は要介護度2以下でも要件を満たせば入居可能な場合あり

●有料老人ホーム

民間企業による運営で施設によって認知症の受け入れ態勢は異なる

●サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

民間企業が運営するバリアフリー対応の賃貸住宅。認知症の受け入れ態勢は施設によって異なる

認知症の父親が毎晩「助けて!」と連呼していたワケ

女性の場合、近所に認知症患者を受け入れている有料老人ホームに空きがあり、スムーズに親を老人ホームに入所させることができたとか。最後まで自宅で介護をするつもりだった女性にとっては少々不本意な結果ではありましたが、1年近くぶりに職場に復帰。休職扱いにしてくれた会社に感謝しかないといいます。

しかし、認知症の症状が進んでいる父親。きっと、色々と迷惑をかけてしまっているだろう……少々、気が引ける思いだったといいます。ところが、入所後、しばらく経った後「毎日、穏やかに過ごされていますよ」と、予想だにしていなかった言葉がスタッフから返ってきたといいます。

――毎晩、「助けて!」って叫びませんか?

――最初は言っていましたけど、いまは言わなくなりましたね

「日ごろから、呼ばれていなくても様子を見に行ったり声掛けをしたりしています。そうしているうちに、何かあったら来てくれる人がいると、安心したのかもしれませんね」とスタッフ。

――そうか、呼ばれたから行くではダメだったか……

さすがはプロ。どちらにせよ、父親を老人ホームに預けてよかったと、大変だった介護生活を振り返ります。

介護の問題として、要介護者も介護者も、社会から孤立するケースがあります。当初、介護と仕事の両立を目指すも断念。離職してしまった結果、社会との接点を失くしてしまう……結果、最悪の事件が起きてしまうことも。毎年、介護離職者は8万~9万人ほどいるといわれています。

孤立化を招く介護離職をいかに減らすか……社会の命題です。

[参照]

厚生労働省『認知症施策について』

国立社会保障・人口問題研究所『第7回全国家庭動向調査』

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