「もう仕事に行かなくていい!」→うれしいはずが逆に不安になる日本人…FIRE実践者が語る「平日昼間に出歩く違和感からの脱却」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月3日 11時45分
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もしFIREするのに十分な資産ができたとしても、会社を辞めた後が不安という声が聞かれます。というのも、私たちは小さな頃から「決められた時間に決められた場所へ行って、勉強や仕事をする」という毎日を送ってきているからです。そこで本稿では、実際に1億円を貯めてFIREした寺澤伸洋氏による著書『ぶっちゃけFIRE 手取り25万円で子育てしながら1億円ためる方法教えます』(主婦と生活社)より一部を抜粋し、「会社に行かない生活」についてご紹介します。
会社に行かなくていいというのはどんな気持ちですか?
「私は大学を卒業して就職してからずっと同じ会社で働いており、一度も仕事を辞めて会社に行かなくていいという状況になったことがありません。会社に行かなくていいというのはどのような気持ちなのでしょうか。不安になったりしないのでしょうか」このようにご質問される気持ち、よくわかります。経験上、この「会社に行かなくてもいい」ということに対する解放感と、それと同時に襲ってくる不安感というのは、辞めてみないと本当にわからないものです。
若くして次を決めずに退職したときの不安感
僕自身は、会社に行かなくていい状況になったのは今回のFIREが2回めです。1回めは、次のことを何も決めずに新卒で入った会社を10か月で辞めたときでした。
そのときの僕は、まだ23歳。辞めて1か月めは解放感でいっぱいだったのですが、2か月めあたりからは「まわりの友人はみんな仕事をバリバリやっているのに、自分だけが朝起きてもいく場所がなく、社会から取り残されたような気持ち」になり、非常に苦しかったのを覚えています。
さらにお金もどんどん減っていき、不安に拍車がかかりました。当時はいきおいで会社を辞めてしまいましたが、辞めるまで、まさか自分がこんな気持ちになるなんて想像もしていませんでした。
ご質問のとおり、きっと何のプランもないまま会社を辞めた場合は、当時の僕と同じようにかなり不安になると思います。ただ、僕もあのころは若すぎたので、「会社で働かない自分のような人間はダメだ」という常識にとらわれすぎていた一面もあったかとは思います。
今回の退職で感じた成長
しかし、きちんとプランニングをおこない、資産も構築し、十分働いた後の44歳での退職では、次のとおり23歳のころとはまた違った感情を抱きました。
・将来を見通せていると不安がなくなる
・企業で働かないことがダメだと思わなくなった
・自身が成長し、停滞に寛容になれた
■将来を見通せていると不安がなくなる
まず、退職が計画的であったため、次のように将来がある程度見通せました。
・自分が最低限いくら稼げば何歳まで生きられるのか ・その稼ぎはどうやって生み出せばいいのか ・まったく稼ぎがなかったとしてもいつまで資産がもつのか
こうしたことをきちんと知っておくだけでも、漠然とした不安がなくなるものです。
■企業で働かないことがダメだと思わなくなった
23歳のころは、企業に所属していないと世の中から取り残された感じを受けていましたが、今ならそれは視野が狭かったからだといえます。
僕も40代半ばとなり、働き方にもさまざまな形があることを知りました。企業に所属していることがすべてではなくなったため、「このままでは自分はダメな存在になってしまう」と自分自身を追い込むような思考をすることもなくなりました。
むしろ、会社から給与をもらうのではなく、自分の力でどこまでできるかを試せると思い、ワクワクしています。
■自身が成長し、停滞に寛容になれた
23歳のころは、会社を辞めたあとに何も成長していない自分に対して、「このままじゃヤバい」、「何かを学ばないといけない」と焦りばかりが生まれていました。
たった数か月だったのですが、停滞している自分の人生を受け入れられませんでした。一方で今回のFIREにあたっては、「少しくらい停滞したからといって、人生に大きな影響はない」と寛容になれたと感じます。
今ではむしろ、退職したほうが成長するのではないかとすら思っています。ただ、こうして企業で仕事をしなくなったことに関してはドンと構えられるようになりましたが、別の意味で環境の変化にとまどうことがありました。
FIRE後のとまどい…鎧を脱ぐリハビリが必要
長く会社員をしていたこともあり、退職後に特にとまどったのが、平日の日中に外を出歩くことです。
僕は今までずっと内勤でオフィスにいる生活をしていたので、平日の日中に新宿や銀座の街を歩いている自分に大きな違和感と、何とも言えない罪悪感を抱いてしまったことを思い出します。
刷り込みというのは本当に恐ろしいもので、頭では「もう会社に行かなくていい」とわかっているはずなのに、潜在意識が「えっ、本当に平日の昼間に外を出歩いてもいいの?」と語りかけてきます。
この状態が退職後1〜2か月は続きましたから、本当の意味で会社勤めから解放されたのは3か月くらい経ってからでしたね。
思い起こせば、我々は就職してからどころか、小学校に入学して以来、必ず「決められた時間に決められた場所へ行って、勉強もしくは仕事をする」という生活を送ってきているはずです。
ですから、「日中は必ずどこかで頑張っていなければならない」という感覚が染みついているのでしょう。
僕自身も学生時代から毎日、晴れの日も雨の日も、体調のいい日も悪い日も、とにかく学校や会社に遅刻しないように意識し、日中は頑張って勉強や仕事をする生活をし続けてきました。
特に会社員になってからは、朝の6時台に起き、満員電車に駆け込み、メールの対応に追われ、会議に参加し、合間を縫って資料を作り、夜になったら帰る……といったことをずっとくり返してきたわけです。
そんな生活から一気に「どこにも行かなくていい生活」になったら、それは心のどこかで不安になったりとまどったりして当たり前。心から自由を得るためには、何十年分もの思い込みの鎧を脱ぎ捨てるためのリハビリが必要だと思います。
僕自身もその鎧を脱ぐのに少々時間がかかりましたが、その後は「人生のすべての時間が自分のための時間である」という感覚を持つことができました。まだ若いうちにこの感覚を持てたことは、自分の人生にとって非常に有意義だったと感じます。
寺澤伸洋
作家/講演家
※本記事は『ぶっちゃけFIRE 手取り25万円で子育てしながら1億円ためる方法教えます』(主婦と生活社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。
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