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遺産相続の「法定相続分」とは?…法律から見た「相続人の範囲」と「遺産分割の割合」【相続専門税理士が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月22日 12時15分

遺産相続の「法定相続分」とは?…法律から見た「相続人の範囲」と「遺産分割の割合」【相続専門税理士が解説】

(画像はイメージです/PIXTA)

相続時の遺産分割においては、民法で定められた「法定相続分」によって、相続人となる人、また、その立場によって分割される遺産の割合などが明確に決められています。多くの場合、遺言書があればそれに従うか、もしくは遺産分割協議で相続人同士が納得のうえ分割しますが、そうでない場合、法定相続分に則った遺産分割が行われます。自身もFP資格を持つ、公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

相続時、相続人の遺産の取り分を定める「法定相続分」

父が他界し、これから相続手続きを行うことになりました。過去に相続を経験したという知り合いから、民法の「法定相続分」では、どのように遺産を分けるかが決まっていると聞きましたが、法定相続分とはどのようなものでしょうか? 会社員(40代・神奈川県秦野市)

法定相続分とは、亡くなった人の財産を相続する際に、各相続人の取り分として、法律上定められている割合のことです。この割合は亡くなった人との関係によって変わります。

「法律上定められている」とはいえ、遺言書があればそれに従うことになるほか、遺言書がなくても、遺産分割協議で話し合い、合意が形成できれば、必ずしも法定相続分で分ける必要はありません。

あくまで話し合いの目安になる割合、あるいは、話し合いがまとまらずに裁判で争う際に使う割合だと考えてよいでしょう。

「法定相続人」とは、どのような立場の人なのか?

法定相続分での遺産を分割した際に、遺産を受け取ることのできる人物を「法定相続人」といいます。この法定相続人のなかでもどの順位に該当しているかによって、相続割合は変わってきます。

ここでは、誰が法定相続人となるのかについて解説していきます。

◆亡くなった人の配偶者は、必ず相続人(内縁関係・事実婚を除く)

まず、亡くなった人の夫や妻、つまり被相続人の配偶者は、必ず相続人となります。ただし、この配偶者というのは、市区町村役場に婚姻届を出した人に限ります。内縁関係や事実婚の相手は、相続人にはなりません。

逆に、婚姻届が提出されている夫婦であれば、結婚生活の期間の長さなどは、関係ありません。仮に、婚姻届を出した翌日に結婚相手が亡くなったとしても、配偶者として相続人となります。

◆子は当然相続人だが…「配偶者相続人」「血族相続人」の考え方

被相続人に子どもがいた場合、子ども(直系卑属)も配偶者と同様に必ず相続人となります。相続順位としては第1順位になります。

もし被相続人に子どもがいない場合は、その親(直系尊属)が第2順位として相続人に、親もいない場合はきょうだいが第3順位として相続人となります。

法定相続分に沿って遺産を分割する場合は、配偶者と、相続順位の最上位者のみが相続人となります。そのため、もし被相続人に子どもがいた場合は、被相続人のきょうだいが相続人になることはありません。

法律用語でいうと、配偶者のことを「配偶者相続人」、それ以外の親族を「血族相続人」といい、血族相続人がいる場合、配偶者と親族が、ともに相続手続きをおこなうことになります。

また、被相続人の子どもがすでに亡くなっている場合はその子ども、つまり被相続人の孫がいれば、その孫が相続人になります。このことを「代襲相続」といい、孫は「代襲相続人」と呼ばれます。

そのほかにも、レアなケースではありますが、子どもがおらず、両親も他界している方が亡くなった場合は、被相続人の祖父母が代襲相続人となります。

また、被相続人に子どもも親もおらず、第3順位に相続権が発生した者の、当のきょうだいも亡くなっている場合は、きょうだいの子、つまり被相続人の甥や姪が代襲相続人となります。

◆養子も実子と同様に相続人

被相続人に養子がいた場合は、実子と同様の扱いとなり、相続人になります。

また養子は、育ての親と生みの親、どちらが亡くなった場合でも相続人となります。しかし、特別養子縁組をしている場合は生みの親との親子関係が消滅するため、育ての親が亡くなったときにのみ、相続を受けることとなります。

◆これから生まれる子も相続人

もし、妻が妊娠中に夫が亡くなってしまった場合、お腹にいる胎児も、相続人になります。

しかし、生まれたばかりの子どもには意思能力がないため、遺産分割の際には代理人を立てる必要があります。

◆結婚していない相手との間の子でも、認知されていれば相続人

結婚していない相手との間に子ども、非嫡出子がいる場合は、その子どもを認知しているか否かで相続人になるかの可否が決まります。認知している場合は相続人になり、相続分も嫡出子と変わりません。

◆再婚相手の連れ子も、養子縁組していたら相続人

被相続人が再婚しており、再婚相手に連れ子がいた場合、被相続人が連れ子と養子縁組をしていれば、連れ子も相続人となります。逆に、養子縁組をしていなければ相続人にならないため、注意が必要です。

「法定相続分」は、どのように計算する?

ここまで、被相続人とどのような関係の人が法定相続人となるかを解説してきました。

誰が相続人となるのかが法律で決まっているのと同様に、相続人が相続する割合も「法定相続分」として決められています。これも相続の順位によって変わってくるため、順番に解説していきます。

◆配偶者と子どもの相続割合…それぞれ1/2

配偶者と子どもが相続人の場合は、配偶者が2分の1、子どもが2分の1を相続することになります。

子どもが複数いる場合には、この2分の1を、さらに子どもの人数で均等に分けることになります。子どもが2人なら、相続割合の2分の1を2人で分けて、子ども1人あたりの相続割合は4分の1に、3人いれば6分の1になります。

先述した通り、養子や認知した子どもも法定相続人であり、法律上の子どもは、実子も養子も関係ありません。すべての子どもに均等に法定相続分が与えられています。

◆子がなく、被相続人の親も相続人となる場合…2/3:1/3

被相続人に子どもがおらず、配偶者と親が相続人となる場合の相続割合は、配偶者が3分の2、父母が3分の1となります。もし両親2人とも存命の場合は、3分の1を2人で分割し、それぞれの相続分は6分の1ずつとなります。

◆子がなく、被相続人の兄弟姉妹も相続人となる場合…3/4:1/4

法定相続人が配偶者ときょうだいの場合ですは、配偶者が4分の3、きょうだいが4分の1となります。

きょうだいが複数いる場合は、やはり4分の1を均等に分けることになります。また、父母の片方だけが同じきょうだいを「半血兄弟」といいますがが、もしこの半血兄弟がいる場合の相続分は「父母の両方が同じ兄弟姉妹の法定相続分の半分になる」というルールがあります。

また、相続人のなかに相続を放棄する人がいた場合、相続放棄した人は最初から相続人ではなかったものとして扱われるのため、その人を除いて法定相続分が計算されることになります。

◆兄弟姉妹が他界し、その子(甥姪)が代襲相続する場合

きょうだいがすでに他界して、甥姪が相続する場合の法定相続分は、きょうだいと同じです。代襲相続となっても相続分は、そのまま引き継がれます。

もし、1人のきょうだいに子どもが複数人いる場合は、元々きょうだいが相続するはずだった割合を、子どもの人数で均等に分けることになります。

◆子がなく、親・兄弟姉妹・甥姪もいない場合は、配偶者が100%相続する

もし、子どもがおらず、両親もきょうだいも甥姪もいない場合は、配偶者が遺産のすべてをそうぞくすることになります。

◆配偶者が他界しており、相続人が子どもだけの場合…兄弟姉妹で均等割り

配偶者がすでに他界しており、相続人は子どもだけ、ということになると、子どもが遺産のすべてを相続することになります。もし、子どもが複数人いる場合は、2人きょうだいなら2分の1ずつ、3人きょうだいなら3分の1ずつと、人数で均等に分けることになります。

岸田 康雄 公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)

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