平均月収40万円…日本のサラリーマンが唖然とする「手取り額」、さらなる負担増で「自助努力」さえできない悲惨
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月22日 7時15分
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(※写真はイメージです/PIXTA)
日本を支えるサラリーマン。しかし実質、給与減が続き、終わらない物価高にため息は深くなるばかり。その先を想像しても、さらに負担感が増す未来しか見えてきません。日本を取り巻く、厳しすぎる現実をみていきます。
いつまで続く「実質給与減」…サラリーマンの財布、さらに厳しく
厚生労働省『毎月勤労統計調査』によると、今年5月の速報値で、「現金給与総額*1」は29万7,151円で前年比1.9%増、「きまって支給する給与*2」は26万3,539円で前年比2.5%増でした。
*1:所得税、社会保険料、組合費、購買代金等を差し引く以前の総額
*2:定期給与のことで、労働契約、団体協約あるいは事業所の給与規則等によってあらかじめ定められている支給条件、算定方法によって支給される給与のことで、所定外労働給与を含む
よく言われている通り、名目賃金の前年を上回る伸びを記録し続け、回復傾向にあり、賃上げの効果がでていることを見てとることができます。しかし、2020年を100とした名目賃金指数を消費者物価指数で割り引いて前年同月と比べた実質賃金の上昇率は依然としてマイナスを記録し続け、26ヵ月連続。2年以上も、実質、「給与減」の状態に見舞われています(図表1)。
![](https://ggo.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/800m/img_630a543d1be69a45ef1dc65542f7e26d111096.jpg)
――あれ、そんな値段だったっけ?
いつもの“アレ”が、いつの間にか値上げされていて戸惑う……この何年かは、そんなシーンにたびたび遭遇しました。
つい先日の16日、限られたお小遣いでランチ代をやりくりしているサラリーマンたちの強い味方、「松屋」で値上げ。たとえば牛めし並盛は400円から430円になりました。そして「ココイチ」は8月からの値上げを発表。ベースカレー(ライス300g)のポークカレーでは、東京・神奈川・大阪の店舗価格が591円から646円、その他地域では570円から646円。地域別価格を廃止し全国で価格を統一する方向だといいます。
ほんの数十円の値上げがボディブローのように効いていく……この状態、いつまで続くのか、気になるところですが、「この秋くらいには実質賃金がプラスに転じるのでは」という専門家の声が多数聞こえてきます。ただ、「米国でトランプ大統領が誕生したら、賃上げにはマイナスに影響する可能性が高い」という専門家の声も多数。
世界情勢にも左右される、サラリーマンの給与。引き続き、節約を心がけるしかないようです。
手取りは額面の4分の3…さらなる負担増も既定路線
厳しい状況が続くサラリーマンですが、先月の給料日や、夏の賞与の支給日には、定額減税により手取りがアップ。久々に笑顔になった人も多いのでは。
厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると。サラリーマン(正社員・平均年齢43.6歳)の平均給与は、手当て込みの月収が39万9,600円、賞与(117万円)込みの年収が596万9,700円です。
月収40万円とすると、手取りは30万2,800円ほど。額面の75%ほどになります。一方、賞与117万円に対し、手取りは90万円弱。額面の76%ほどになります。つまり実際は額面の4分の3しか手にできないというのが日本の平均的なサラリーマンです。
■平均的な日本のサラリーマンの給与「額面と手取り額」
項目 | 年収 | 月給 | ボーナス |
---|---|---|---|
額面収入 | 5,970,000円 | 400,000円 | 1,170,000円 |
所得税 | 192,600円 | 12,905円 | 37,745円 |
住民税 | 300,100円 | 20,107円 | 58,813円 |
健康保険 | 304,500円 | 20,500円 | 58,500円 |
厚生年金 | 557,235円 | 37,515円 | 107,055円 |
介護保険 | 55,419円 | 3,731円 | 10,647円 |
雇用保険 | 35,820円 | 2,400円 | 7,020円 |
手取り額 | 4,524,326円 | 302,842円 | 890,220円 |
給与明細をみるたびに唖然としていた手取り額。ただ改めて聞かされると「こんなに引かれていたんだ」と肩を落とす人も。それだけに、今回の定額減税、「1回や2回、手取りが増えたとて」と言いつつも、やはり笑みがこぼれたことでしょう。
ただし、良いことがあれば、悪いことも。この春、大々的に報じられていた「子ども・子育て支援金」。少子化対策の財源確保のため公的医療保険料と併せて徴収するといったもので、政府の試算によれば、被保険者1人あたり月450円になるとか。賃上げや歳出改革により「実質的な負担は生じない」と繰り返し説明していたものの、保険料で徴収するわけなので、手取り減であることに変わりはありません。少子高齢化が進行しているなか、さらなる負担は仕方がないと分かっていながらもモヤモヤ感が残ります。
国民全体の所得に占める税金や社会保険料の負担の割合を指す「国民負担率」は右肩上がり。しかし高福祉のヨーロッパ諸国は日本を超えることから、「まだまだ日本国民は負担できる!」と主張する関係者は多く、さらなる負担増は既定路線といえます(図表2)。
![](https://ggo.ismcdn.jp/mwimgs/8/d/800m/img_8d2c02150181b661a12521316c371ecf100712.jpg)
また日本は現役世代が高齢者を支えるという仕組みのため、天引き額が増えるからといって、その分、自身の将来=老後が安泰というわけではありません。今以上に年金が増えるなんて期待できないというのも既定路線のため、国もそれぞれに自助努力を呼びかけている状況です。
しかし、そんな努力さえできないという人も。金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯]令和5年』によると、「預貯金で日常の出し入れ・引き落としに備えているお金さえない」と回答した人が3.1%。この数値は近年、増加傾向にあります。「せめて、努力くらいさせてほしい……」、そんな悲痛な声があふれています。
[参照]
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