年金月6万円の貧困生活に一筋の光…自営業の夫を亡くして細々と暮らす68歳女性、日本年金機構から届いた“緑色の封筒”に涙したワケ【CFPの助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月9日 11時15分
![年金月6万円の貧困生活に一筋の光…自営業の夫を亡くして細々と暮らす68歳女性、日本年金機構から届いた“緑色の封筒”に涙したワケ【CFPの助言】](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goldonline/goldonline_62162_0-small.jpg)
(※写真はイメージです/PIXTA)
OECDによると、日本の高齢女性の約4人に1人が貧困とされています。68歳のAさんは数年前に夫を亡くし、わずかばかりの貯蓄とを切り崩しながら、年金月6万円で細々と暮らしていました。そんなとき、日本年金機構から届いた“緑色の封筒”に「助かった」と思わず涙します。いったいなにがあったのか、株式会社よこはまライフプランニング代表取締役の五十嵐義典CFPが、Aさんの事例をもとに詳しく解説します。
年金収入月6万円…細々と暮らす“おひとりさま”のAさん
2023年の秋ごろ、その数年前に夫を亡くしていたAさん(68歳)は、1人で暮らしていました。
夫は長年自営業だったことから、亡くなったあとAさんに遺族年金は入りません。したがって、年金収入は自身の老齢年金である月6万円のみでした。
そのため、Aさんはパート勤務による給与収入と、夫がのこした遺産でなんとかやりくりしながら、細々と節約生活を送っていました。
しかし、年齢のこともあり、なかなか思うように身体が動きません。しばらくして、Aさんは体調を崩してしまい、働くことが難しくなってしまいました。
こうなると、定期的な収入は年金の月6万円のみになり、あとは貯蓄を切り崩すしかありません。
日本では年々貧困世帯が増加し、特に「高齢者の貧困」が社会問題となっています。また、OECDのデータによると、日本の高齢者の貧困率は男性:16.4%、女性:22.8%と、女性のほうが貧困率が高いという結果になっています(OECD「Pensions at Glance 2021」より)。
「夫の遺産もあっという間に尽きてしまうかも」「このままだと、生きていけない……」Aさんは、絶望の淵に立たされてしまいました。
ある日、自宅のポストに届いていた「緑色の封筒」
そんなある日、Aさんがある日ポストを覗くと、“緑色の封筒”が入っていました。差出人は「日本年金機構」となっています。
なかを確認すると、「年金生活者支援給付金請求書」なるものが入っていましたが、なぜAさんのもとに届いたのか、よく理解できません。そのため、近所に住む知り合いのファイナンシャルプランナーに聞いてみることにしました。
“緑色の封筒”の正体「年金生活者支援給付金」とは
Aさん宛てに緑色の封筒が届いたのは、2023年9月のことです。Aさんが持参した封筒を確認すると、たしかに緑色の封筒は年金生活者支援給付金についての案内で、「年金生活者支援給付金請求書」が同封されています。
「年金生活者支援給付金制度」とは、低所得の基礎年金受給者を対象とした福祉的な給付金制度です。2019年10月、消費税が10%に上がるのを機に、増税分を財源としてスタートしました。
年金生活者支援給付金のうち、老齢基礎年金の受給者を対象とした「老齢年金生活者支援給付金」あるいは「補足的老齢年金生活者支援給付金」の受給対象は下記のとおりです。
1.65歳以上で老齢基礎年金を受給していること
2.前年の年金収入(非課税収入は除く)とその他の所得の合計で約88万円以下であること
3.市町村民税非課税世帯であること
上記すべてを満たせば、「老齢年金生活者支援給付金」か「補足的老齢年金生活者支援給付金」の対象となります。
なお、給付金の金額については、年金の加入記録、受け取っている老齢基礎年金の額などをもとに決定されます。
また、給付金の支給期間は、10月から翌年9月までの1年間です。毎年、次の1年間(10月~翌年9月)の給付金を支給するか否か判定されます。
Aさんのもとに緑色の封筒が届いたワケ
Aさんがパートを退職したのは2021年のことです。
2021年時点でAさんはすでに65歳を過ぎ、老齢基礎年金を受給していたため、要件1つ目「1.65歳以上で老齢基礎年金を受給していること」は満たしています。
しかし、給与収入があり、市町村民税も課税されていたことから、「2.前年の年金収入(非課税収入は除く)とその他の所得の合計で約88万円以下であること」「3.市町村民税非課税世帯であること」を満たさず、2022年10月~2023年9月までの給付金は支給されませんでした。
しかし、仕事を辞め2022年の収入が年金のみとなったことによって、2.3.の所得要件を満たし、2023年10月分から新規に「老齢年金生活者支援給付金」が受けられるようになったことで、緑色の封筒が送られたのです。
受給にあたっては、送られた「年金生活者支援給付金請求書」に必要事項を記入し、切手を貼ってポストに投函すれば、手続きは完了となります。
その後、年金機構から審査結果の通知が送られ、年金と同じく2ヵ月に1回、2ヵ月分ずつ支給されます※。
※ 日本年金機構HP「年金Q&A (年金生活者支援給付金請求書(はがき型))」
大きな金額ではないが…給付金の存在に、Aさんは思わず涙
請求書には、これから受給できる年金生活者支援給付金の見込額が表示され、Aさんの場合、月4,500円以上の額で表示されていました。1年に直すと5万5,000円ほどになりそうです。
Aさんは、「そんなに大きな金額ではないけれど、手続きをするだけで年5万円以上ももらえるなんて……助かりました。なんだか救われた気分です」と涙ぐんで喜んでいました。
FPの助言のもと、Aさんは早速請求書を書いて請求し、無事に給付金の受給がスタートしました。
2024年を迎え、Aさんは69歳になりました。Aさんの前年(2023年)の収入は給付金を除くと年金のみであったため、次の2024年10月分以降もそのまま給付金の支給対象になるでしょう。
給付金を積極的に活用して“生活の不安”を軽減しよう
ここまでみてきたように、働くことが叶わず年金以外の収入がない場合、受給要件に当てはまれば「年金生活者支援給付金」を受けることができます。
給付金の額は決して多いとはいえませんが、給付金が継続するとなると生活が潤い、不安も少し軽減できることでしょう。
支給対象となる場合はその必要な手続きを忘れずに行い、この給付金について不安な点や気になることがある場合は「給付金専用ダイヤル」に相談するといいでしょう。
五十嵐 義典
株式会社よこはまライフプランニング代表取締役
特定社会保険労務士/CFPⓇ認定者
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