1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

メチャクチャしんどい…相続問題が長引く4つのパターン「相続人同士が疎遠・遺留分に問題あり・遺言書が疑わしい・資産の使い込みあり」【弁護士も警戒】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月23日 11時15分

メチャクチャしんどい…相続問題が長引く4つのパターン「相続人同士が疎遠・遺留分に問題あり・遺言書が疑わしい・資産の使い込みあり」【弁護士も警戒】

(※画像はイメージです/PIXTA)

少子化、高齢化の進展や、単身者の増加などにより、相続のスタイルも変化しています。今回は、とくに相続問題に発展しやすい事例のうち「長期化しやすいケース」について、法律的見地から具体的な解決方法を探ります。不動産と相続を専門に取り扱う、山村法律事務所の代表弁護士、山村暢彦氏が解説します。

「相続人多数×疎遠な関係」では、トラブルになりがち

相続問題で裁判になったと聞くと、多くの方は「相続人同士、よほど仲が悪いのだろう」「相続分で折り合いがつかなくなり、裁判になったのだろう」と思われるのではないでしょうか。

しかし、相続人同士の関係性以前に「相続人が多すぎて、一部の人と連絡が取れない」という理由によるものが、かなり多くあります。

典型的なケースに「子どものいない方」の相続があります。子どもがいない方の場合、被相続人の親が存命なら親に、そうでないなら、きょうだいに相続権が渡ります。さらにそのきょうだいが亡くなっていると、その子ども、つまり、被相続人の甥・姪に相続権が行くことになります。

昨今は少子化傾向で、ひとりっ子や、きょうだいがいても2人~3人が多く、4人きょうだいとなるとかなり少なくなりますが、60代よりも上の世代となると、5人きょうだい、6人きょうだいという方も珍しくありません(第15回出生動向基本調査より)。

配偶者も子どももいない人が亡くなり、多くいたきょうだいも亡くなっているが、その子どもである甥・姪、それぞれ2~3人ずついる…という場合、相続人の人数は、10人程度まで増えてしまいます。人数が増えれば増えるほど、一部の相続人と連絡が取れない、連絡しても反応がない、あるいは海外に暮らすなどしていて居所がわからないといった事態も起きやすく、話し合いができないこともままあります。

このような場合、一体どうやって解決を図るのかというと、「裁判所」に持ち込むことになります。

「反応がない」という状況は、「付き合いがないから面倒くさくて対応しない」ことも多いのですが、裁判所から連絡がきた段階で「さすがにこれはマズい」と思い、出てきてくれて解決することもあります。裁判所に持って行けばとりあえず動いてくれるわけです。

「居所が不明」という場合は、状況によって手続きの名称が変わることがありますが、「不在者財産管理人」や「相続財産清算人」といった〈いない人の代わりに処理してくれる人〉を選任し、同じように裁判所で処理することになります。

一般の方は、裁判所について「起きたトラブルを、白黒つけて解決するところ」といった印象を持たれているようですが、実際には、そのようなドラマチックなことはあまり多くありません。

実際の裁判所は、法的に停滞している手続を終わらせるための機関であり、「紛争の終局的解決機関」という位置づけなのです。そのため筆者は、依頼人の方々に「相続は裁判所に持っていけば終わります」とよく申し上げています。

遺言書があっても、トラブルが防ぎきれないケース

遺言書がある場合、被相続人が遺産の配分を指定できるため、基本的に、相続は非常に簡易に進められることができます。

しかし、遺留分までも綺麗に定めておくのはむずかしく、場合によっては裁判所で「遺留分侵害額調停」「遺留分侵害額請求訴訟」といった調定と訴訟手続きをして終わらせることもあります。

具体的にどのようなケースがあるのでしょうか。

◆不動産が絡むと、遺産分割はどうしても不公平になりがち

「遺留分を綺麗に定められない」ケースの多くは、不動産が関連しています。遺言書が作成された10年前・20年前と、現在の不動産の評価が異なっているというのがひとつの理由です。

路線価や公示地価等、その当時に参照できる国の基準から計算式を書いておけばどうにかなるのかもしれませんが、筆者が知る限りそのような遺言書は見たことがなく、いくら計算式をもとに細かく定めても、本当に円満解決できるかは不明です。

相続トラブルにおいて、不動産の「評価」に関する問題はどうしても発生しやすく、また、ややこしくなりがちです。なかには「揉めないことって、本当にあるのでしょうか?」とおっしゃる相談者の方もいらっしゃいますが、それでも事前対策は、やらないよりやった方が圧倒的にいいといえます。

◆亡くなる瀬戸際の手書きの遺言「これ、本当に本人が書いたの…?」

遺言書があるケースでのトラブルは、たいてい「遺留分の請求」で終わるのですが、大変なのは「遺言書無効確認訴訟」を起こすケースです。

公正証書遺言といって、公証役場で作成した遺言はキッチリと隙なく作成されますが、亡くなる瀬戸際に被相続人自身が震えるような字で書いたものは偽造の疑念をもたれたり、認知症の疑いがある場合は、遺言書そのものの信ぴょう性が問われることもあります。

それにより、遺言書無効確認訴訟へと発展することになります。

◆財産の使い込みが疑われるケースは、解決まで長期化しがち

もうひとつ、長期化するケースとしてあげられるのが「財産の使い込み」です。これは着地まで想像以上に長引きます。

何年分もの通帳履歴を出し、それをすべて追及することになりますが、大体の場合、本当に使い込んでしまっていてお金が戻せません。また、使い込んでしまっている人からの反発もあり、決着まで2年、3年とかかることも多く、非常にストレスが大きくなります。

こじれる前にどうにかしておかないと…

知っておいていただきたいのは、遺言書無効確認訴訟や不当利得変換請求訴訟をしただけでは相続は終わらないということです。

これらはあくまでも「相続が始まる前提問題」を解決しただけですので、そこからようやく「遺産分割調停審判」という本ルートに戻ることになります。通常の争いが「調停審判」という一連の手続だとすると、それにオプションとしてもうひとつ、訴訟が増えてしまうようなイメージです。合計で5年がかりとなってしまうことも珍しくありません。これは本当に「メチャクチャしんどい」です。

一方で、揉めてこじれる前に一度専門家に相談をしておくと、その後の見通しも立てやすくなるといえます。費用感や着地などについて専門家におおよその予想を立ててもらうことで、ご自身が使える時間やコストとすり合わせ、「この程度で譲歩しよう」「この程度で折り合っておこう」など、目途をつけやすくなるからです。

相続全般にいえますが、揉めてこじらせることなく「穏便な手続き」で終わらせられるように、事前対策と早期相談を心がけていただくことが大切です。

(※守秘義務の関係上、実際の事例と変更している部分があります。)

山村法律事務所 代表弁護士 山村暢彦

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください