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初対面の人との会話が苦じゃなくなる!「雑談力」を一気に上げる、とっておきの方法【人気エッセイストが助言】 

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月28日 10時0分

初対面の人との会話が苦じゃなくなる!「雑談力」を一気に上げる、とっておきの方法【人気エッセイストが助言】 

家族や友人との会話のなかで、前に聞いたことと同じ話題を、相手が話すシーンに遭遇することも多いのではないでしょうか。また、逆に自分が同じ話題を繰り返ししてしまったと気づいて、気恥ずかしい気分になることもあるかもしれません。エッセイストである阿川佐和子氏の著書『話す力 心をつかむ44のヒント』(文藝春秋)より、今回は、同じ話を繰り返しすることの「意外なメリット」について、詳しくみていきましょう。

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前にも聞いた、前にも書いた

人が話をしているとき、

「あ、その話、前にも聞いた」

そう思うことがあります。そういうときはどうしましょうね。

子供の頃、父の兄である伯父が広島から上京し、ウチでご飯を食べていると、たいてい「前にも聞いた、その話」事件が起きます。

そして我が家族は伯父に見えないところでこっそり人差し指と中指を立て、「2回目」と確認し合い、ケラケラ笑い転げておりました。思えば意地悪なことをしたものです。自分が話を繰り返す年頃になると「おおらかに聞いてあげればよかったな」と反省します。

中村メイコさんがご自宅で話をしながら、ふと不安になり、

「あたし、この話、前にもした? 2回目?」

娘たちにそう問うと、

「2回目じゃないわよ。4回目!」

厳しい娘たちはばっさり母上にそう告げるそうです。

会話だけではありません。原稿を書きながら、「ああ、この話は前にも書いたな」と思うことは多々あります。そういうときは、「以前にも書きましたが」とか「他の本にも書いたとおり」とか前置きをして、ちょっと書き方を変えてみたりします。

現に読者の皆様は、「あれ、この話、また書いてるぞ」、「同じネタでまた稼ごうとしているぞ」とお気づきの方もいらっしゃることでしょう。まことに申し訳ない。

そう言っておきながらナンですが、自分でも「また書いている」と気づいて少し落ち込むとき、思い出す言葉があります。

昔、作家の吉行淳之介さんがおっしゃっていたのです。

「人の話を勝手に書いたら盗作と言われるかもしれないけど、自分の話ぐらい盗作させてもらいたいよ。一人の人間が、そんなに面白いエピソードをたくさん持ってるわけじゃないんだから」

ま、私の場合は、インタビューしたゲストのお話をたくさん使い回ししていることが多いので、自分のエピソードだけではないんです。

和田誠さんの映画オモシロ話

そういう意味で私がもっともたくさん使い回ししているのは、和田誠さんから伺ったお話でしょう。

和田さんはとにかく面白い話題に欠かない方でした。ご本業はイラストレーターでグラフィックデザイナーであり、そして「麻雀放浪記」など数多くの名作を残された映画監督でもありましたが、本質的に映画と映画音楽とミュージカルとジャズが大好きな方でした。

一緒にご飯を食べているとき、ふと「ほら、マリリン・モンローが端役で出てた女優物語、なんてタイトルでしたっけ? ああ、出てこない」なんて誰かが呟くと、間髪を容れず

「『イヴの総すべて』ね。1951年に日本で公開されたの。主役はベティ・デイヴィスで、物語の最後のほうで新人女優としてチラッと登場するのがマリリン・モンローなんだよね。監督のマンキー・ウィッツって人はこの映画と前年の『三人の妻への手紙』で、2年連続でアカデミー賞を獲ったんだ。あれはいい映画でしたね」

と、そんな具合で返ってくる。まるで歩く映画辞典のような方でした。

たぶん映画辞典にもそんなことは書いていないだろうということまでご存じで、今でも忘れられないオモシロエピソードとしては、こんなものがありました。

映画『カサブランカ』(マイケル・カーティス監督、1946年公開)は、主演女優はイングリッド・バーグマン、男優がハンフリー・ボガート。映画の中でドーリー・ウィルソンが歌う「時の過ぎゆくままに」も世界中で大ヒットして、ジャズのスタンダード・ナンバーにもなった名曲として知られています。

主演男優にキャスティングされたハンフリー・ボガートは、実のところ絶世の甘いマスクの美男子ではない。それまでは鳴かず飛ばずの役者だったのですが、この映画で認められ、彼の出世作となりました。ただ、ハンフリー・ボガートがキャスティングされる前に、実は他の男優が候補として上がっていたということです。さて、それは誰だったでしょう。

「えー、誰だろう……?」

和田さんのまわりに集まった仲間はそれぞれに頭を巡らせますが、それらしき名前が出てきません。その間を待ったのち、和田さんがニヤリと笑みを見せ、そして語り出します。

「それは、たぶん世界中の人が知っているほどの有名人。でも役者としては有名ではない」

ますます、わからない。いったい誰?

和田さんがおもむろに口を開きます。

「それはね、レーガン大統領」

えええ? たしかにレーガン大統領が昔、役者だったという話は聞いたことがありました。でもダイコン役者という噂では?

「いや、案外、いい役者だったみたいだよ。『カサブランカ』に抜擢されたぐらいなんだから」

竹野内豊さんとの「雑談」にも“使い回し”

私はこのエピソードをあちこちで披露して、たくさんの人を驚かせ、何度となく楽しませることができました。

その最たるものは、私がちょこっと出演した映画『ニシノユキヒコの恋と冒険』(井口奈己監督・脚本、2014年公開)のワンシーンでのことです。

主演の竹野内豊さんと、なぜか私は喫茶店にて雑談をしなければならなくなりました。お茶を注文するタイミングや台詞はいちおう決められていましたが、雑談の内容についてはまったく脚本に書かれていません。

井口監督からは、「映画について好きなようにお喋りしてください」という指示でした。困ったぞ。目の前にイケメン竹野内君がいるだけで、どうしていいかわからないのに、何を話せばいいんじゃ?

そのときふと、和田さんの話を思い出したのです。

「『カサブランカ』って映画、ご存じですか?」

「ええ、知ってます」

「主演男優はハンフリー・ボガート。女優はええと、あ、イングリッド・バーグマン」

「そうでしたね」

「でも実はこの映画で最初にキャスティングされた男優はハンフリー・ボガートではなかったんですって」

「へえ、知らなかった」

「じゃ、誰だったと思います?」

「うううう。わかんないなあ」

「世界的には有名人だけど、役者としてはそんなに有名じゃない人なの」

そんな具合に私は、まるで友だちに語るがごとく得々とそのエピソードを竹野内さん相手にしたところ、

「はい、カット! このシーン、終了!」

え、これ、リハーサルじゃなかったの? と思っているうちに、そのシーンは緊張する暇もなく終わりました。和田さんのおかげです。

阿川 佐和子 作家

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