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東京都渋谷区の3坪の地面に、相続人が25名も!?…50代パート主婦、突然引きずり込まれた〈地獄の相続手続き〉から這い出せたスゴい方法

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月28日 11時15分

東京都渋谷区の3坪の地面に、相続人が25名も!?…50代パート主婦、突然引きずり込まれた〈地獄の相続手続き〉から這い出せたスゴい方法

(※写真はイメージです/PIXTA)

平穏な日々を送っているある女性は、親族を名乗る見知らぬ男性からの連絡で、突然面倒な相続問題に巻き込まれてしまいます。相続放棄することで抜け出そうとしますが、それでは大変な手間がかかることがわかり…。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、事例をもとに解説します。

見知らぬ親族からかかってきた、突然の電話

今回の相談者は、50代の主婦の田中さんです。突然巻き込まれた相続の問題に困惑し、対処法を相談したいとのことで、筆者の事務所を訪れました。

「先日、知らない方から突然電話があり、すでに亡くなっている私の実父の相続の件で話があるといわれたのです」

田中さんは弟と2人きょうだいで、父親は田中さんが3歳、弟が1歳のとき死別しています。その後、母親は再婚し、田中さんきょうだいは母親の再婚相手の子どもとして育てられました。実父の記憶はまったくないといいます。

「電話で聞いたところ、実父の祖父名義の土地があり、実父の弟さんが相続するため、遺産分割協議に協力してほしいというのです。電話をくださった方から〈書類を送るからすぐ確認して!〉といわれまして、先日受け取ったのですが、びっくりするような内容でして…」

わずか3坪の土地に、相続人が25名も!?

これまで一度も会ったことがない、叔父という人からの手紙によると、実父の祖父の土地は、渋谷区の高級住宅街にある、わずか3坪ほどのものだとのこと。ところが、同封されている家系図をみたところ、子ども、孫、ひ孫を合わせて相続人は25人もいるのです。

田中さんに電話をかけてきたのは、該当の土地の相続を希望している、実父の弟にあたる叔父本人でした。

「電話では、挨拶もそこそこに用件だけまくし立てられ、正直、気分が悪かったです。それに、私にとって父親といえば、かわいがって育ててくれたいまの父だけですし、実の叔父といっても他人と同じです。さっさと相続放棄して関係を切りたいのですが…」

司法書士が顔を曇らせたワケ

打ち合わせに同席していた提携先の司法書士は、田中さんの話を聞くと顔を曇らせ、「それは相当しんどくなりますよ…」といって、ペンを片手に説明をはじめました。

①相続放棄するには、亡父の戸籍を全部集め、家庭裁判所に申述する。しかし、亡父の戸籍を集めるにも時間と費用がかかり、家庭裁判所への書類の提出にも手間がかかる。

②自分で手続きすれば費用は抑えられるが、司法書士や弁護士に手続きを依頼すると、それなりに費用がかかる。

このような相続に巻き込まれては、まさに地獄のような状況になりかねません。

そこで司法書士がアドバイスしたのは「相続分の譲渡」でした。自分の相続の権利を特定の相続人に譲渡すれば、相続するものはなく、実質的に相続放棄と同じ結果になります。それなら「譲渡証書」に実印を押印し、印鑑証明書と戸籍謄本を添付することで手続きが完了します。

田中さんは「それはいいですね!」といったあと、少し考えこんでしまいました。

「ですが、それは印鑑証明や戸籍謄本を、例の叔父に託すってことになりますよね。正直、抵抗がありますね…。弟とも相談してみます」

打ち合わせはとりあえず終了しました。

叔父が依頼している司法書士を窓口にして手続き完了

後日、田中さんから電話が入りました。田中さんの弟が叔父に電話で確認をしたところ、諸々の手続きは司法書士に頼んでいるとのことでした。

登記の専門家である司法書士に送付すれば、よく知らない親族の目に重要な書類が触れることもないので安心です。そのため、まずは司法書士の連絡先教えてもらい、必要書類を送付するようにアドバイスしました。

その後、田中さんと弟は、先方の依頼先の司法書士と連絡を取り、相続分の譲渡の手続きを終えることができました。

「今回の件、突然のことで本当に驚きましたが、アドバイスをもらって大変助かりました」

報告の電話をくれた田中さんはほっとした様子でした。

今回、相続登記を4代さかのぼったことで相続人が25人も見つかったわけですが、令和6年4月1日以降、相続登記の申請が義務化され、相続後3年以内に相続登記をすることが義務付けられています。それに伴いってこのようなケースは減っていくでしょう。

「財産を受け取らない=相続放棄」と認識している方は多いのですが、今回のように相続人が多い場合は、相続の権利譲渡が有効です。

また、これらの手続きにあたり、印鑑証明書や戸籍謄本といった重要な書類が必要ですが、親族とはいえ、これらの個人情報を渡すことに抵抗があるケースもあるでしょう。ですが、司法書士等の専門家が手続きをしているなら、個人情報の扱いへの懸念はなくなり、安心だといえます。

※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

曽根 惠子 株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

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