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年金なんてあてにならん!50歳居酒屋店主、客の前で高らかに“生涯現役宣言”も…常連客「月々400円で国民年金の受取額を増やせるよ」→驚きの増加額に歓喜【CFPの助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月22日 11時15分

年金なんてあてにならん!50歳居酒屋店主、客の前で高らかに“生涯現役宣言”も…常連客「月々400円で国民年金の受取額を増やせるよ」→驚きの増加額に歓喜【CFPの助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

自営業・フリーランスにとって、老後の資金準備は死活問題です。居酒屋を営んでいる50歳のAさんも、年金はあてにできないと「生涯現役」を宣言していました。しかし、常連客から「老後の年金を増やす方法がある」と耳にしたAさんは、FPのもとに相談へ行くことに……。Aさんの事例をもとに、月々「たった400円」でできる年金の増やし方をみていきましょう。FP Office株式会社の茂野博起FPが解説します。

居酒屋店主Aさんが常連客から耳にした、「年金が増やせる」ウワサ

駅から少し離れた商店街で、居酒屋を切り盛りしているAさん(50歳)。お客さんのほとんどは、昔なじみの常連たちです。そのため、老後について話すことも多く、Aさんはその度「年金なんてあてにならん! それに、この店がなくなったら困るだろ?」と“生涯現役”宣言を貫いていました。60代になっても、細々とこのまま店を続けていくつもりです。

そんな折、常連客から思わぬ話を聞きました。

常連客「このあいだ床屋の店主から聞いたんだけど、自営業の人たちって月々400円払うと年金の受給額が増えるらしいじゃない。羨ましいねえ」

そんな制度が本当にあるのか……? 気になったAさんは、たまに店に来てくれていたファイナンシャルプランナーのもとへ相談に訪れました。

月数百円の課金で将来の年金が増えるって聞いたんだけど、本当……? 実際、どれぐらい増えるの?

Aさんはこれまで、怪しい投資話など偏った情報を得ることが多く、半信半疑の様子です。そこで、筆者はAさんに、付加年金の仕組みについて詳しく説明することにしました。

「付加年金」は無理のない掛け金で堅実に受給額を増やせる

付加年金は、月々の掛金400円で堅実に公的年金の上乗せをすることができます。

第1号被保険者のための制度であり、会社員や公務員、そして主婦などの加入は認められていません。老後の資金を心配する自営業やフリーランスにとって有効な選択肢のひとつです。

その付加年金の受給額ですが、下記の算式で求めることができます。

付加年金受給額=200円×付加保険料納付月数

老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給額は複雑な計算式を経て算出されますが、老齢基礎年金に上乗せされる付加年金については、非常にシンプルな計算で求めることが可能です。

現在50歳のAさんが10年間、付加年金保険料として400円を掛け続けた場合、受給額は[図表1]のようになります。

200円×12ヵ月×10年間=2万4,000円と、年間2万4,000円が老齢基礎年金の年額に上乗せされることになります

条件があえば「さらなる増額」も可能

もしも、Aさんがこれ以上の付加年金額増加を望むのであれば、条件しだいでは、国民年金の高齢任意加入被保険者として65歳まで不足期間分の掛金を納めることも可能です。 ※ 高齢任意加入被保険者……国民年金では、20歳から60歳に達するまでが強制加入期間となっていますが、60歳以上65歳未満の期間において任意加入できることとし、過去未加入の期間があるなど加入期間が不足しているために老齢基礎年金の受給資格期間を満たすことができない人や満額の老齢基礎年金を受給できない人について、加入期間を増やす道が開かれています(日本年金機構HPより引用)。

Aさんに5年間の国民年金未納期間があったとします。その場合は60歳を迎えてから「高齢任意加入被保険者」となることで、65歳までの5年間引き続き国民年金と併せて付加年金も掛け続けられるのであれば、[図表2]のように年間3万6,000円の上乗せになります。

つまり、付加年金をなるべく早い段階で加入しておけば、保険料納付期間も自ずと長くなり、増額分も増えるということです。

仮に、20歳から60歳まで40年間(480ヵ月)付加年金に加入した場合には、付加年金受給額だけで年額9万6,000円になります。

将来の年金に不安を抱えている自営業者やフリーランスは、さまざまな制度と比較しながら、付加年金加入も検討してみてはいかがでしょうか。

加入2年でもとが取れる!「付加年金」のメリット

付加年金の主なメリットは次の4つです。

1.加入継続2年間で元が取れる

付加年金は、2年間加入を継続すると掛け金総額の元が取れる仕組みになっています。このメリットは、加入のハードルをぐっと下げてくれます。

2.年金の「繰下げ受給」は付加年金にも適用される

年金の繰下げ受給とは、本来の受給開始年齢である65歳よりも受給のスタートを繰り下げる(=遅らせる)ことで、その分増額した年金を受け取ることができる制度です。

付加年金もこの「繰下げ受給」の対象となっているため、通常の老齢年金とあわせて付加年金も増額されます。

1ヵ月繰り下げるごとに0.7%増額されるため、たとえば老齢基礎年金の受給開始年齢を70歳とした場合(60ヵ月繰り下げた場合)、受給額は42%増えます。

つまりAさんの場合、60歳で高齢任意加入被保険者となれば3万6,000円付加年金を受給できるところ、さらに年金を5年繰下げることで

3万6,000円×1.42=5万1,120円(年額)

となり、通常よりも約5万円増額した年金を受け取れるということになります。

3.付加年金の掛金は所得控除される

付加年金の保険料相当額は、健康保険料、介護保険料、そして公的年金保険料などの社会保険料控除の対象として所得控除されます。

この所得控除によって課税総所得金額が抑えられることから、所得税・住民税ともに納税額を安くすることができるのです。

4.「物価スライド」の影響を受けない

公的年金は物価や賃金の変動に応じて毎年改定され、それに伴い年金受給額も変動します。この点、付加年金は「定額支給」となっているため、物価変動の影響を受けることはありません。物価下落時など、その恩恵を受けることになります。

iDeCo利用者は要注意!「付加年金」のデメリット

このように、手軽さや制度設計の明瞭さなどが魅力の付加年金ですが、メリットばかりではなく、デメリットや注意点にも目を向ける必要があります。

1.iDeCo(個人型確定拠出年金)の利用上限枠を縮減させてしまう

第1号被保険者の場合、iDeCo(個人型確定拠出年金)の利用上限額は、月額6万8,000円となっています。

しかし、もし付加年金に加入した場合、iDeCoの利用上限額から付加年金保険料の400円が差し引かれ、6万7,600円がiDeCoの掛金上限枠となります。

iDeCoの利用を考えている人や、すでに利用している人は注意が必要です。

2.加入2年以内に死亡した場合は損をする

もしも付加年金に加入してから2年以内に亡くなった場合は、拠出した掛金を回収しきれません。

3.年金の「繰上げ受給」を選択した場合、付加年金受給額も減少する

年金の「繰上げ受給」は、本来老齢年金の受給開始年齢である65歳より前に、最大5年間繰り上げて(=前倒しして)年金を受け取ることができる制度です。繰上げ受給の場合、老齢年金と付加年金はその分減額されることとなります。

年金の繰上げ受給を視野に入れている場合は、この点も踏まえて慎重にプランを立てていく必要があるでしょう。

4.加入時や停止時は、その都度手続きが必要 

付加年金に加入したい場合や反対に停止したい場合には、その都度手続きが必要です。

加入時は「国民年金付加保険料納付申出書」を、停止時は「国民年金付加保険料納付辞退申出書」を、市区町村役場またはお近くの年金事務所に提出する必要があります。

5.国民年金基金との併用はできない

国民年金基金と付加年金の併用加入はできません。

付加年金への加入を決めたAさん、隠居も視野に

FPから一連の説明を受けたAさんは、「月々たった400円でこんなに増えるのか。入らないのはもったいないな」と付加年金への加入を決断しました。

また、繰下げ受給も前向きに検討するそうです。「もともと体がもつまで店をやるつもりだったけど、これがあればもしかしたら、店を閉めてゆっくりしてもいいかもな」と嬉しそうに話していました。

このように、「付加年金」は自営業者やフリーランスのような第1号被保険者にとって確実な公的年金の上乗せが叶う制度です。

一方、デメリットも存在するため、付加年金の特徴を知ったうえで、iDeCoなどの諸制度と付加年金の併用を模索するなど、あらかじめ綿密なプランを立てて老後の資金準備の最適解を見つけていきましょう。

これを機に、将来の年金生活についてじっくりと考えてみてはいかがでしょうか。

茂野 博起 FP Office株式会社 日本FP協会認定CFP®

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